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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
第1部-1章 剣聖少女前日譚と旅の始まり

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34話 冷たい目


 ダンジョンが見える場所まで着いた。ダンジョンの外観は、遺跡のような場所である。


「えーと、ここは地下五階層まであるみたい」

「中の構造は、だいぶ複雑そうに生成されているみたいだし厄介だな」


 そんなことを言っているフェクトだが、満更でもなさそうな顔である。

 そんな私も、ダンジョン攻略は楽しみで仕方ないのだ。


「じゃあ行くわよ」


 そうして、ダンジョンに入っていくのであった。

 中は、探索済みと思われるような荒れた感じになっている。ライトでダンジョン内を明るくする。最初は、暗くて見えなかった場所は、冒険者の戦利品の落とし物なんかもある。


「相当慌てて逃げたんだろうな」


 フェクトは、周囲を見るなり状況を見て判断していく。気配感知には、魔物の気配も他のダンジョンに比べて多いと思う。


「ダンジョン探索を最近誰も来てないな、そのせいで魔物の量が増えすぎてる」

「やっぱりそうなんだ、なんかやけに多いなって思ってたんだよね」

「あ、そういえば言うの忘れてたが、ダンジョン内の魔物は、俺を見ても関係なく襲ってくるからな」

「了解」


 ダンジョンで生成された魔物とダンジョン外の魔物では、構造からして違うので当たり前か。

 そんなことを話していると、ゴブリンの群がこちらに勢いよく向かってきていた。

 フェクトは、その勢いを上回るスピードで蹴散らしていた。


「うわー、ゴブリンキングまで居たんだ」


 ゴブリンキングは、フェクトが最初突っ込んだ際に、真っ先にやられたみたいだ。

 何もできなかったようだ。


「魔石は回収してよ」


 魔石を回収しつつ、先に進んでいく。先ほどよりは、だいぶ広い場所に出てきた。

 私が辺りを照らしたら、種類の豊富な魔物がお出迎えをしてくれていたのだ。


「いっぱいいるね!」

「楽しそうだな」

「君こそ」


 私は剣を取り出し、襲いかかってくる魔物を薙ぎ払う。

 その横では、フェクトが力任せな勢いで魔物を蹴散らしていた。

 そんな勢いに負けず劣らず攻めてはくるものの、ゴブリンやコボルト、スケルトンなどの魔物では一切の抵抗虚しく、魔石に変わっていく。


「大量だね、これでまたお金増える」

「こんな奴ら倒しても、微々たるものだろ」

「それでもいいのよ、増えるだから」


 余裕な表情で、しかも会話しながら魔物を蹂躙する姿は、魔物たちからすると、地獄以外の言葉では言い表せなかっただろう。

 そんなことには気にも止めず、剣を振るったのである。

 戦闘が終わる頃には、地面のあちこちに魔石が落ちている。それだけ、多くの魔物がいたことがわかったのだ。


「まだ序盤だって言うのに、だいぶ溢れてたんだな」

「この騒ぎは、もうこのフロアには伝わっていると思うから、ここに攻めてくるかもね」


 私からしてみたら、そちらの方がありがたいのである。そっちの方が、探索が楽にできるからだ。

 そうして、マップで場所を確認する。

 まだ、このフロアではここのような、大きな場所がいくつかあるようだ。

 そして、そのような場所から溢れ出てきた魔物たちが、ここに向かってきているのがわかる。


「フェクト、魔法を使っていいからね!」

「それは、ありがたい!」


 一気にフェクトの魔力量が跳ね上がる。先ほどとは、比べ物にならないものだ。

 フェクトは、得意げな表情を浮かべ指を鳴らす。次の瞬間、フェクトが三体現れたのだ。


「分身魔法か、全員が違う動きしているじゃん」

「向かってきてる奴らは、俺に任せろ」


 そうして、私たちが入ってきた場所を除く三カ所から、魔物が溢れ出てきたのだ。


「黒砲」

「バレットガン」

「黒炎・バースト」


 ダンジョン内が、大きく揺れる。一瞬、ダンジョンの結界が見えた。ダンジョンは、外部からの攻撃を防ぐために、結界を張っているのだ。

 自身にダメージが陥らないように相当頑丈である。

 それでもフェクトには、言わなければならないことがある。

 

「やりすぎだよ、魔石が溶けてんじゃん」

「調子に乗りすぎました、ごめんなさい」


 感知を見る限り、向こう側で待機していた魔物にも大きな被害があったようだ。

 魔物たちは、混乱している様子なのが、反応を見るなりわかる。


「とりあえず、正解の道を進んでいくだろ?」

「当たり前でしょ、私たちはあくまで魔族の討伐目的なんだから」


 正解である、中央の道を進んでいく。そうして、混乱していた魔物たちを狩りつつ、ボス部屋の前までたどり着いたのだ。

 そして、ボス部屋の扉を開けると、そこには誰も居なかった。正確には、気配が全く感じ取れなかったのだ。


「隠密系の魔物かな?」

「いや違うな、魔族の方だ」


 フェクトは、余裕そうな表情で言っているが、少し身構えていた。


「だいぶ広いし、装飾も豪華だね」

「あぁ、ほんと緊張感の欠片もねぇな」


 フェクトは、小言をいうがそんなことは気にしない。

 なぜなら、魔族から現れてくれたからだ。


「そこにいるのは、わかってるよ」


 私の声が、部屋の中に響きわたる。フェクトも気づいたのか、殺気が感じられた。


「せっかく、ダンジョンで遊んでたのになんであなたがいるのですか」

 柱の後ろから、スッと出てきたのはどこにでもおりそうな魔族だった。

 猫背だが背は、だいたい百七十程度であろう。よく殺し屋なんかが使っている、ナイフを構えている。


「え、知り合いだったの?」

「知るわけねぇだろ」


 魔族は、少し小刻みに震えていた。最初は、武者ぶるいとも思ったがみた感じ違う。

 目の前にいる私やフェクトに、怯えている。

 最初は、強気にだして行こうかとも思ったのだろう。それが最後の方は、声が震えていた。


「あんた、冒険者殺してるだろ。殺してなかったら、見逃していたんかもな」

「――ッ! 嘘をつけ! お前の剣からは、同族の匂いが染み付いてやがる」


 声が震えて、所々裏返った声で言ってくる。


「遺言は、それでいい? どうせあと二つのボス部屋にもいるのはわかってるんだしさ」

「俺は、魔族だ! お前ごときに、俺は……」


……

 首が飛んだ、言い終わる前だった。


「――はい、おしまい」


 主人の、ゴミを見るような冷たい目つき。それが最期に彼が見た光景だろう。

 俺は、そんな目をしたし主人になんて声をかけたらいいかわからない。

 ただ、それでも一言俺は言うんだ。


「アリア、お疲れ様」


 すぐに、冷たい目は元に戻る。

 そして、解体ツノを取り終えると第二階層に向かうのであった。


 

 

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