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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
1部-8章 冒険者は攻略してこそ冒険者だと思います

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320話 指示を出す者


 司書さんと共に、オーガ退治に勤しむ。この原因を探るにもまず、この状況をどうにかしなければならない。


「まだ三人とも戻ってこないね」

「あちらも相当数居るのですよね、それならまだ無理かと」


 だが国の外で戦っているのは、フェクト、ナズナ、アークエスの三人である。

 その三人が揃って、時間が掛かることは考えにくい。何か起きているのだろうか?

……


 アリアが心配している頃、フェクトたちは魔物退治に勤しんでいた。

 拳を繰り出し魔物を倒す。足を繰り出し魔物を倒す。それを何度も続けても、終わる気配は一向に感じられなかった。

 それどころか、より数を増している様に感じる。


「お前らそこ退け! 一気に魔法でこじ開ける」


 魔力を右手に集中させ魔弾を飛ばす。早い一撃を繰り出し爆発させた。

 その勢いで撃った部分に隙間が出来る。それを補う様に、近くに居たものからそこを埋めるように動き始めていた。


「指令を出しているやつを倒さない限りダメってやつか。ナズナ、覚醒して良いから一気に掻き乱せ」

「フェクトに言われるまでもないニャー」


 ナズナは覚醒させる。それと同時に、魔物たちは後ろへ下がり始めていた。

 あの魔物をここまで指示通りにさせている時点で、指令を出している奴がどれだけ厄介な奴か想像出来る。


「離れたって無駄ニャー、わたしの前からは逃げられないニャー」


 ナズナの勢いを止められるはずもなく、魔物が蹂躙されていく。

 その場は、魔物たちからしてみれば地獄絵図と化していた。


「俺たちはその間に、指示を出しているやつを探すぞ」

「……は、ハイ!」


 アークエスの返事は、無理に出している声であった。それもそのはずだ、俺たちについてくるため相当無茶な戦い方で戦っていた。

 重量武器は、その一撃は一番のダメージを叩き出せるほどには強い。

 それをかれこれ一時間近く、全力で振り翳していたら疲労が見えてくるのも当然である。

 それだけ体力が削れていながら、その目はまだ諦めた感じではなかった。


「俺に任せて下さい! 俺はこの国で、白銀の冒険者として名を馳せているアークエスなんで!」

「それなら全力を出せ。早く倒さないと、ナズナに先を越されるぞ」

「はい!!」


 とてもn大きな声だ。目つきが変わり、斧を構え直す。

 それを感じ取ったのか、魔物たちは一歩、また一歩と後ろへ下がる。

 だがそんなことをした所で、無意味なことぐらい分かっている。

 だからこそ、後ろに下がるのを止めこちらに向かってくる魔物もちらほら居た。


「両断・乱れ打ち」


 飛ぶ斬撃。それをとてつもない早さで放っている。一瞬にして、飛び込んで来た魔物を消滅させていく。

 それに感化されるようにして、ナズナもよりヒートアップさせて行く。

 それにより魔物もだいぶ捌け始めている。


「これで探しやすくなる。俺みたく、どこかで観察している可能性も高いよな」


 気配感知を発動するが、特に目立ったやつは居ない。気配がゴリゴリと削られていくのを感じるだけだ。

 でもここまで気配が削られていても、この魔物たちの戦い方はまるで変わっていない。

 まるで最初の命令を実行するために、動いているかのような動きである。

 それがすでにバレているため、それ相応の対策を取れば特に問題はない。


「最初の命令はおそらく、穴が空いたら塞ぐ。おそらくこれで合っているだろう」


 だがなぜそんな命令を出した? 向かってくる魔物を殴り飛ばしながら考える。

 それに気になったことは他にもある。それは、おそらく命令にはない行動を取り始めているのが多いことである。

 後ろに下がりながら穴を埋める様に動いていたのが、数人は常に、こちらへ向かってきている。

 それによりおそらく、指示の効力が段々と弱くなり始めているのを感じる。

 それによって考えられる要因は、倒された可能性だ。ただ、それならとっくに解けても良いはずである。

 だが現実は違う。まだ解けておらず、まだどこかに居るはずである。


「フェクトそっちに行った!!」


 大きな声で叫ばれる。アークエスの方を見ると、確かにローブを身に纏った魔物がこちに走っていた。

 息を切らしながらも全力で逃げてきている。自分がやられたら全て終わりと分かっているような走りである。


「こっちに来たのが運の尽きだったな。俺の前に来たことあの世で悔やむんだな!」


 右の拳に力を込める。そうして、一気に魔物に向けて拳を突き出したのだ。

 その勢いは凄まじく、ウィッチは派手に地面に打ち付けられた。


「まさかウィッチが首謀者? 相当大それたことをしたんだな。でもこれで終わりだ!」


 黒炎がウィッチに襲いかかる。次の瞬間、そうしてこの勝負が終わりを迎えたのである。

 大元が亡くなった以上、彼らにここを襲う意味はない。そのため、全力で逃げ出していく。


「ナズナ戻って来い。これ以上無駄な殺生は控えろ」


 ナズナの顔は、不満そうにしていたがすぐさま戻ってくるのである。

 アークエスは、その場に倒れ込んでしまう。完全に体力の限界を迎えたのが分かる。

 それだけのことを彼はやってのけた。


「どんだけの魔物を葬ったんだ? そこらじゅうに血の跡があるぞ」

「分かりません。無我夢中で倒してたので、全く考えてませんでした」


 手を貸してようやく起き上がれるレベルである。武器をボックスにしまい、肩を借りて歩き始めた。


「ナズナは先に行ってくれ。アリアたちも魔物と戦闘しているみたいだ」

「了解ニャー」


 そうしてナズナは、すぐさま豆粒になるぐらい早いスピードで、その場を後にした。


……

 その頃アリアは、オーガとの戦闘を繰り広げていた。国の中心部を目指し進行していくオーガを倒す。そんなことを続けていた。


「ようやく終わったみたいだね。これで少しは原因を探ることが出来る」


 私は心の中でも安堵する。ようやくやらなきゃ行けないことが出来そうだ。

 そんな時だった。女性の甲高い悲鳴が聞こえたのは。

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