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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
1部-6章 冬の旅路と15歳と学校

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238話 宣言と無視


 この度は申し訳ございませんでした。本来なら238話が公開のところ、239話が間違って投稿してしまいました。

 本当に申し訳ありませんでした。



 彼の目は本気だった。

 それだけ、この状況を打破したいと言うことなのだろう。それが伝わってくる。


「私に勝てると思っているの? 正体を知っているのよね」


 彼は何も言わず、ただ杖をこちらに突き立てていた。そのうち、杖に魔力が注がれいつでも準備出来ていた。


「殺る気ならさっさと撃ってきなさい。私に届くと思うのならね」

聖なる刃(ライトニング)


 放たれた一撃は、予想を遥に超える一撃。様々な感情が籠り、それを放出したある意味最高峰の一撃だと言えるだろう。

 そんな魔法を私の刃は、最も容易く斬り捨てる。


「良い一撃だったと思うけど、私には到底届かないわよ」


 次の瞬間、彼の首筋に刃を当てる一歩手前だった。


「これ以上は意味がないと思うけど。私たちは、聞きたいことがあってここに来たわけだし」

「聞きたいこと……?」


 彼は、困惑した表情をしながら体を後に下げた。周りに、仲間と思しきメンバーが彼を囲むようにして、こちらを睨んでくる。


「お前ら辞めろ。それで聞きたいことってなんだ?」

「翼の生えたオーガって知ってるかしら? そのオーガの歩いた跡を追って来たんだけど?」


 その瞬間、王族らしい格好をした男が何処かに逃げ出した。

 だがそんな闘争劇は、数秒たらずで終わる。ナズナに首根っこを捕まえられ、抵抗虚しく私の前に置かれる。


「そのお話だけはどうかご勘弁を。我々にはどうすることも出来ないのです」


 頭を地面に擦り付け、必死なのが伝わってくる。それ以上に、コイツらは何を知っているのが露呈した。


「それで君たちは誰?」

「俺たちは革命戦士だ!」


 革命戦士? 何を言っているのか正直微塵も分からなかった。

 ただその言葉だけは、はっきりと信念のある声だった。


「革命戦士ってなんだよ? 詳しく教えてみろ」


 フェクトはこう言う時に、突っ込んでくれるからありがたい。

 彼らは突然目を輝かせ、まるで子供が両親に何かを語る時のようなものを感じる。


「革命戦士とは、国で問題が起こった時その原因となるものを、排除するために立ち上がる組織です」

「そうしたら今回は、国が悪いと思い反乱を起こしたってわけか?」

「その背後にいるダークウィッチーズを目的としたものです」


 やはりか。そのため今回、こんな大それたことを起こしたのか。

 ただこの状況を察するに、やめ時がお互い分からなくなったのが伝わってくる。

 初めから分かっていたはずだ。それでも、この国を守るために、あるいは革命を起こすために互いの熱がヒートアップし続けたのだろう。


「お互いこれに関してはやりすぎだよ。第三者の介入がなければ、終わらなかっただろうね」


 この時私の心はホッとしていた。

 なぜなら、魔法界がこの件に関わった場合、この国はたちまち泥舟に乗り替わっていただろう。

 魔法界が国のトップになれば、完全にこの国は、国という皮を被っているだけに過ぎないからだ。

 魔法界に全ての権限を握られ、元の生活には中々戻れないだろう。

 革命戦士やらが生まれたとしても、一瞬で弾圧されて終わりである。

 この国は、その程度のやらかしをしたのだ。おそらく今回、運が良かっただけだろう。

 それだけが、この国の命運を分けたと言っても過言ではない。


「それでダークウィッチーズについて聞きたいけど」

「奴らはもうこの国には居ません。理由は、我々による反乱があったから。かろうじて逃げ出したと思います」

「研究施設とかないわけニャー?」


 彼らの顔を見るに、それは見つかってないと推察出来た。だが、あの王族が声を掛けてきた。


「研究施設は確かにありました。だが今はもう破壊され、原型すら留まっていないでしょう」

「とりあえず魔法界本部に連絡してください。ここ修復にはそれが最前ですから」

「分かりました。でも大丈夫でしょうか? 魔法界がこの国の舵を取るんじゃ……」

「それは大丈夫です。もう落ち着いた場合は、厳重注意と罰則だけですから」


 王族の男は苦笑しつつ、その顔は青ざめていた。そうして、ようやくフレリアと連絡が繋がるのだった。


(どうしたの、何かあった?)

(ようやく出た! 中々出ないから心配してたのよ)

(それで要件は?)

(オーガはとある国から出発したことが分かった。国は、内乱状態にあったけど私たちが鎮火しておいたから)


 フレリアは、少しの間黙ったままである。そうしてようやく口を開いたと思うと、たった一言言ったのだ。


(今すぐそこから離れて!)


 私はわけも分からず、その場に突っ立ていると、正門付近に、気配が突如現れる。


(イデリアがそっちに向かったのよ)

(まさかこんなに早く再会することになるとは)

(え、何かしでかす気!? それだけはやめてよね)


 そんな言葉には耳を貸さず、私は正門に走り出した。それに釣られるかのように、二人も私の後を追う。


「この気配、イデリアだろ! 何する気だ?」

「まだ考え中。ただ、このままだとこの国の舵は、魔法界に移ってしまう。それは阻止しないと」


 この国に、終わる末路を辿ってほしくはないと思っている自分がいた。

 だからこそ、行動に移してしまったのだと実感してしまう。


「イデリアと殺り合うことになるニャー。それでもわたしは、着いていくニャー」

「まぁそれは楽しそうだから良いけどよ。派手にやるなよ!」


 それはやれと言うことだろうか? そんなことを考えながら私は、正門の見張り台へと高らかに飛んだのだった。


「管理者様! 見張り台に三人ほど人影と思しき者が現れました」

「いちいち報告しなくても良いわよ。見えてるから」


 その声はとても暗いものだった。それにこの禍々しいほどの魔力、キレているのがすぐに分かってしまう程だ。


「魔法界! ここは既に終戦を迎えた、厳重注意、罰則以外は断じて認めないわ!」


 私は大声でそう宣言をする。だがこれだけでは、足りないことぐらい子供だって分かる。


「剣聖として、ここは一歩たりとも引くきはない! ここで攻撃しようものなら、剣聖が敵になると思え!」


 次の瞬間、魔法が飛んでくるのだった。

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