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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
1部-6章 冬の旅路と15歳と学校

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235話 新種の魔物?


 まだ寒さが残る季節の変わり目。そんな今日も私たちは、いつものように旅をしていました。

 もうすぐやってくる春の訪れを待つのをやめて、少し早く出発したのが功を奏したといえる。

 この変わり目の季節を自分の肌で体感出来るのは、素晴らしいことだと言えるだろう。


「アリア、ここいらで一旦休憩しようぜ。俺たち朝から飛びっぱなしだからな」


 心地よいほどの疲労感。確かにそう感じてしまうほどには、今日はすでに箒を飛ばしていた。


「それもそうね。ナズナもそろそろ地面に降りたい頃だろうし」


 背中を枕にして、ナズナは眠っていた。だが、耳がピコピコと動いているのを見るに、起きる前触れだろう。

 そうして、箒を地上の方に進路を変える。そうして降り立った場所は、果てしない荒野が続く山岳地帯である。


「それにしても何もないわね」

「山はあるぞ」

「あるぞー!」

「いやそれはそうなんだけどね……流石にね、それ以外魔物すら居ないんだよ」


 二人は、それに納得したのか何も言って来なかった。それに二人は、そんなことはどうでも良かったのだろう。

 数時間ぶりの地上にテンションが上がっているのが目に見えてわかる。

 坂道を駆け上がり、どちらが早く登れるかとかけっこをしてみたりと大はしゃぎである。

 私は思わず「それで良いのか魔神様よ」と口に出してしまうほど、二人は楽しんでいた。


「アリアも早く来いよ! やっぱり旅ってこういうもんだよな」


 二人とも、王都に居た時よりも心から楽しんでいるようで私は安心した。

 王都に居た間、色々なことがあった。その度に、私たちはそれに巻き込まれ、対処に当たっていた。

 やはり王都に帰るのは、辞めた方が良いと思ってしまう。それにあの件もあるのだから。


「アリアー! 早くくるニャーおいていくニャーよ」

「はいはい。すぐに追いつかれるんだから、もっと逃げた方が良いと思うわよ」


 次の瞬間、私は二人の目の前に現れドヤ顔で見つめていた。

 二人は驚きもせずただ、私を見ていた。


「ほらね」

「だと思ったけど、さっきまでいた場所にクレーターが出来がってるけど!?」

「あら、調整をミスったからしら? まぁ良いわ」


 指を鳴らし、クレーターは元通りとなる。

 そうして風が吹くとともに、荒野に生い茂っていた草が心地よい音色を奏でている。

 その音色は心を癒し、心身とともに安らぎ与えてくれそうである。

 決して、国や村では出来ない体験の一つと言えるだろう。


「やっぱり旅っていいね」


 二人は顔を見合わせて、クスクスと笑い始める。それは次第に大きくなり、二人だけのリサイタルが開催されていた。


「え、私おかしなこと言った!? 言ってないよね」


 私は不安になり、それを二人に確かめるがまだ二人は笑っていた。

 その光景もまた、二人はとても楽しそうである。


「おかしくないよ。ただ、アリアが改まって言うから笑っちまったよ!」

「ほんとそうニャー。突然何言い出すかと思って内心ビクッとしたニャー」


 そんな会話をしていると、誰かの腹の音が鳴る。それを皮切りに、全員のお腹の音が鳴った。


「ここらでお昼ご飯でも食べるわよ!」

「今日は俺が作ってやる、二人はゆっくりしてていいぞ」

「やったー!! フェクトのご飯大好きニャー」


 そうしてご飯が出来上がるまでの間、各々のやるべきことしたり、遊びに出かけていた。


「ご飯出来たぞ! 冷めないうちに早く食べようぜ!」


 ナズナに聞こえるようにフェクトは大声を出して呼びかける。

 その声に反応してか、すぐさまナズナはこちらに戻ってきた。とても満足した顔で戻ってきたため、リフレッシュが問題なく出来たのだろう。


「早くご飯食べようぜ」

「そうね、いただきます」

「「いただきます!」」


 フェクトは大好物のパンを頬張り、ナズナは肉にがっついていた。

 私はスープを一口飲み、体があったまるのを感じていた。そうして昼食も終わり、箒に乗り込み山岳地帯を進んでいく。


「ここいらに村とかはないの?」

「無いかな。あったとしても廃村の可能性が高いかも」


 王都から遠く離れた地。王族や貴族だけでは全てを把握出来ている訳では無い。

 こういった離れた地帯は、手付かずの自然がそのまま残っている。

 それにあの村の前に転移して、数週間が経っている。

 そこからずっとあてもなくただ旅をしているのだから、こういう現状には慣れていた。


「この前の授業で、こういった話もするべきだったかしら?」

「え、何? 今更そんなこと思ってたのか?」

「いやだってさ、旅について語ってほしい言われたんだからさ、こう言う話もした方がより知れるかなって思ってさ」


 フェクトは少しばかり考えたのち、口を開く。


「それはそうかも知れないけど、こういった手付かずの自然は残すべきだと思うぜ」

「それはそうだよ。ただ、あの子たちは今後一切こういった所に足を踏み入れるのは無いだろうって思うと、なんか寂しいなって思ってさ」


 フェクトは「そうかもな」と呟きながら周りの景色を見ていた。

 そんな状況を見ていたナズナは、私は興味無いですと言わんばかりの徹底さを見せている。


「こんな時だけどあそこ見て! オーガがいるよ、それも複数体」

「山岳地帯なんだから、いてもおかしくないが随分と歴戦の猛者みたいな奴らだな」

「わたしあれ倒すの楽しみ!!」



 二人ともすでに殺る気である。フェクト双剣を取り出し、ナズナも上空だと言うのに、威嚇を放っていた。


「流石にまだ早いんじゃ……ってぇ!?」


 まだ相当地面からは、離れているのに上を見るとそのオーガ金棒を振り下ろす瞬間だった。


「驚いたけど、私には関係ない。」


 剣で金棒をガードしつつ、一気に跳ね除ける。


「なんでコイツ、翼なんて生えているの!?」


 先ほど見た時は、一見普通の見た目だったはずだ。

 とてつもなく不可思議で、興味深いと思ってしまう自分がそこにはいたのだった。


 次回 摩訶不思議な魔物との戦闘

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