表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
1部-6章 冬の旅路と15歳と学校

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

239/605

233話 友人


 この騒動が落ち着いたのは、それから数時間後のことだった。

 剣聖の私、師匠、イデリア、フェクト、ナズナの活躍により、事態は迅速に片がついたのだった。

 王都の街中は、今回の被害がどれだけ酷かったのか、それを物語っていた。

 多くの人が冷静さを失い、転移もままならない状況の中でのこの事件。

 それは大きく報じられた。


「今回の原因って、王族が持ち込んだものらしいじゃん」


 そんな噂は瞬く間に広がり、王族に対する不信感が募るばかりである。

 今回のことに関して、王族側は何も発表しなかった。した所で無駄だと思ったのだろう。

 それだけ、今回のことを重く受け止めているのだと考えている。

 それに伴ってか、王族に対する不平不満が新聞を賑わせていた。


「第五王子の件、だいぶ批判されてるね」

「そりゃね、兵士が無駄に怪我したんだ。私だったら、確実に一人で行かせるね」

「アリアそれは流石に……」


 フェクトからはドン引きの顔で見られたが、そう言われても仕方ないことをしていた。

 

「それに問題は、ミニシアの方だ。自分も強くなったからといって、指示を聞かないのは流石にアウトだよ」

「それに関しては、私からも言っておいたけど、多分あの調子じゃ、またやらかすわよ」


 家で寛いでいると、門のチャイムがなった。すぐさまガードが対応してくれた。


(シューミンという名前の方が面会希望ですけど?)

(通して)

「承知いたしました」


 玄関に移動すると、ちょうどドアが開いた。私の顔を見るなり、とてつもなく早い速度で土下座をぶちかましてきた。

 その衝撃は凄まじく。会うたびに思い出しそうなほどである。


「この度は、誠に申し訳ございませんでした。私の不徳の致すところにより、多大なるご迷惑をおかけいたしました」

「顔を上げてシューミン。あなたは悪くないわ、言うことを聞かずに、飛び出したあの子が悪いのよ」


 それでもシューミンは顔を上げようとはしなかった。地面に顔を擦り付け、とても申し訳無さそうにしていた。


「シューミン。せっかくだし一緒に歩かない? 外で歩きながら話そうよ」


 ようやくシューミンは、顔を上げた。そうして、中々ない組み合わせで、散歩がスタートした。

 シューミンは、とても申し訳なそうに後を歩いていた。


「せっかくのクラシカルメイド服が汚れてない? 大丈夫」

「いや特には。それにこれは汚れてもいい格好ですので」

「そんなに固まらなくて良いのに。後ろじゃなく、一緒に歩こう」


 そうして傷付いた街中を散策しながら、散歩は続いた。その間、ほとんど会話らしい会話はなかった。

 ずっと少しばかり、緊張した面持ちで歩いているのが伝わってくる。


「あ、あの、アリア様。私をあの子以上に強くしては、いただけないでしょうか」

「強さっていうのは、単純の努力と才能によるものだ。君がするべきはそこじゃないかな?」


 今のこの子に教えても、それだけでは強くならない。

 圧倒的な強さでは、人をいつしか絶望に落としてしまうからだ。

 師匠はそれを知っていた。だからこそ、師匠の師匠に何年も挑み、打ち勝った。

 その時の努力が、今の師匠を形成していると言えるだろう。


「シューミン。私が旅立つ前日、組み手をするよ。その時にどれぐらい強くなったか見せてもらう」

「わ、分かりました」


 そんな会話をしていると、前方から見たことある顔が段々と近づいてくる。

 

「キャンシーじゃん!? どうしてここに居るの?」

「アリア久しぶり。王都が大変なことになってるって聞いたからさ、どんな様子か戻ってきたんだよ」


 周りを見るが、キャンシー一人である。私が不思議に思っていると、察したかのように、口を開いた。


「今、仲間のみんなは他の国で待機してるんだ」

「そうなんだ。まぁ今は確かに、大勢で動くより単独で動いた方が良いかもだね」


 キャンシーは私の隣に居た彼女に視線を向ける。


「私は、シューミンと申します。とある人にお仕えしています」

「そうなんだ。てっきり、新しい仲間だと思ってたよ!」


 そんな話をしていると、街中が何処となく騒がしいのに気が付いた。

 三人ともが、それぞれ腰に下げていた剣に手を掛け、警戒体制に入る。

 そんな時だ。私たちが歩いてきた方向から、慌てた様子で走ってくる気配に気が付いた。


「号外だよ号外!! 王様たちが戻ってきたと情報提供」


 そんなことを言いながら、新聞を撒きながら少年は駆け抜けて行った。


「あの王様戻って来たんだ。何処に隠れてたんだろ」

「シューミンは知らなかったの?」

「はい。第五王子とは何度も面識はありますが、そのお父様となると全くお見かけしたこともありませんね」


 キャンシーは、とても驚いた表情でシューミンを見ていた。


「王族とあったことがあるんですか? 貴族様の関係者とは思ってたけど、言葉が上手く出ないわよ」

「そこまで驚かなくても構いませんよ。普通で結構ですから」

「そうだよキャンシー。せっかくだし、親交深めてみたら。互いに剣士なんだし、気は合うと思うよ」


 そう言って私は城の方に、向かった。二人の困惑した顔は気になるが、まぁ大丈夫だろう。

 そうして城の近くに行くと、大規模なデモが起きていた。

 軍隊はそれの対応に終われ、パンク寸前である。私はそれを逆手にとって侵入に成功する。


「さて、王様に会いに行くかしら」


 城内の中に入り込み、そそくさと王宮の間に向かっていく。途中、門番に見つかりそうになりながらも、向かっていた。

 そうして扉を開けると、そこには見知った顔が一名と、他にも王子らしき人物が複数。それに玉座には王様が座っていた。


「そんなに驚いた顔をしなくて良いわよ。ちょっと私は話があって来ただけだから」

「剣聖様!? どうやって侵入なされたのですか? それに剣聖様、今は大事な時なんで後退室を」


 第五王子はとてもよそよそしい態度で、私の前に現れる。それをお構いく私は踏み出すのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ