表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
1部-5章 剣聖は旅を気ままにやっていきたい

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

210/632

204話 解熱の実とも呼ばれている実


 サルは手頃な石の上に座り、ゆっくり話そうと言わんばかりである。

 イライラしていたら相手の思う壺だ。深呼吸をして心を落ち着かせる。


「お主は、何を求めてこんな場所に来た?」

「仲間を救うため、薬になりそうな物を探しに来た」


 頭をポリポリと掻きつつ、話を聞いている様子だ。


「お前の仲間は人間なのだろ? ポーションとかいうやつを使えば良いだけじゃないのか?」


 至極真っ当な質問である。普通ならそうと答えればいいが、その解答は私の答えではない。


「驚かないでね。魔神なんだよ、私の仲間って」


 周りで聞いていたサルの魔物が、殺気を曝け出してきている。今にでも私に飛びかかってきそうな状況だ。


「テメェら落ち着け! お前らが殺気を出したところで、なんら意味はない」


 納得出来ないのか、機嫌が悪いのがこちらに伝わってくる。

 魔物からしてみれば、魔神なんて厄介である。ましては関わりたいなんて、思う魔物はまずいないだろう。


「うちの若い連中が済まない。それだったら、あなたがここに来るのも納得だ。ついてこい」


 私は促されるまま、後をついて行く。その間も、周りからはずっとこちらを睨まれていた。

 正直に言おう。私はこの状況に対しムカついていたし、剣だって取り出して暴れても良かった。

 ただそんなことをやってしまえば、この状況は作れなかったと自覚している。


「あなたには迷惑ばかりかけているな。本当は、あなたならこんな所、すぐにでも抜けられたでしょう。それなのに、言葉で逃げろと促すなんて、変わったお方だ」

「ただめんどくさくなっただけだよ。君たちを殺しながら進むより、逃げるように促したほうが早いと思っただけだよ」


 彼は「ありがとう」と言うように、こちらをチラッと見て頭を少し下げるのであった。

 そうして開けた場所に出た。木々を見ると、見たことのない果実が実っていた。


「これって?」

「これは解熱の実とも呼ばれるガングの実です。昔の人々はそれをよく利用していました」


 ガングの実―見た目はけして美味しそうとは言えない程の水色であり、刺々しい見た目をしている。

 

「でもこれって魔物や魔族に使えるの?」

「はいもちろんです。魔物などの発熱原因は主に、魔力の暴走です。それを抑える効果を持っているのです」


 ただこれをどう使うか、皆目見当もつかない。それを察したかのように、彼は続けてこういったのだ。


「これを絞り、抽出された汁を飲みます。味は苦くてこの世ではないような感覚に陥りますが、効き目は最高ですから」


 目が笑ってない。それに言い方を察するに何度も飲んだ経験があるのだろう。

 それを聞いてもう一度視線を向けるが、寒気を感じてしまった。


「それでは失礼します。良い旅を」


 そう言い残し、彼は森の中に消えていった。私はそれを見送り、すぐに果実を余分を含め十個程ボックスにしまう。

 そうしてすぐさま、元いた場所に戻っていくのであった。


「うんあれって?」


 いた場所が見えてくるなり、気配感知を発動させる。その理由は簡単である。異常に魔物が集まっているからである。

 それにフェクトを守りながら、必死に抵抗しているのが見えた。


「あいつらって、さっきのサルの魔物?」


 すぐに見当がつく。おそらくコイツらは報復行動に打って出たのだ。

 それも、私と彼が話している間に。


「ナズナ! フェクトの側に居てあげて。ここは私が相手をする」


 私はすぐさま行動に移した。上空から飛び降り、勢いよく着地する。

 サルたちはビビり、少し後ろへ下がっていった。

 ただ、そんなことで帰るのならこんなことをすることはないだろう。

 それだけ、覚悟を決めて行動しているということが伺える。


「私の仲間に手を出すなんて良い度胸ね! そこだけは褒めてあげる」


 魔物は、唸り声をあげ飛びかかってくる。それをすかさず、斬り払い次々に斬っていた。

 ものの数分足らずで、ほとんどが消滅している。残った数匹は、途方にくれたような様子なのが伺えた。


「まだ殺るの? さっさと帰ってほしいんだけど」


 そうしてようやく、私はフェクトの側に駆け寄れるのであった。

 フェクトは、ぐったりした様子である。どんどん衰弱していっているのが分かる。


「フェクト、すぐに良くなるからね。なんたって、ガングの実をとってきたからね」


 次の瞬間だった。あまりに突然のことで、私は気づけば、宙を舞っていたのだ。


「アリア!? フェクト何やってるの!」


 ナズナは驚いた様子で私を呼び、すぐさまフェクトを怒鳴り出していた。

 地面に勢いよく体を打ち付け悶える私。なんとも言い難い絵図がそこには広がっていた。


「アリア来ないで……それだけはダメだって」


 先ほどまで衰弱していた体とは思えないほどである。それだけ、この果実がやばいということなのだろう。

 ただこれを飲まない限り、良くならない。


「ナズナ全力で抑えつけてて、なんとしてでも飲ますから」

「ヘーイ。フェクト観念しなさいニャー」


 ナズナがフェクトを押さえつけようと画策している間に、薬を準備する。

 ベトベトな液体が、少しずつ落ちていく。その色も、外見同様の見た目の色をしており、とても飲みたいとは言えなかった。


「そろそろ準備出来るけど、抑えつけられた?」


 横を振り向くと、ナズナの全力で殴られていた瞬間であった。吹っ飛ぶとかではなく、地面にバウンドするように叩きつけられていた。

 地面にはクレーターが出来上がり、とても病人にしていい行動とは呼べなかった。

 私がこの光景にドン引きしていると、こちらに気が付いたナズナが駆け寄ってくる。


「これで、フェクトに飲ませられるニャー」

「そ、そうだね」


 これ絶対、私復讐されるやつだよと内心ビビりまくる。


「フェクトごめんね。少しだけ我慢してね」


 ナズナに抑えつけられ、全てを悟っているかのようなフェクトに薬を飲ませるのであった。

 翌日治ったフェクトに、ガングの実を一個絞った液体を、無理矢理飲まされるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ