14話 真相と攻略完了
ランドは、不貞腐れた状態のまま二階層の攻略が始まったのだ。
先ほど同様、上位の魔物が出てきている。
ルーミは、それを感知したらすぐに言うようになっていた。
「ルーミ、その調子だよ!!」
「ありがとうございます」
ただ、魔物はなんとか倒しているものの、だいぶ苦戦を強いられている状況である。
それとは別に、ランドは大ぶりな攻撃で倒していっているが、そこまで数を倒せていない。
それどころか、体力がなくなってきているのがわかる。
「ここを抜けたら少し休憩にするから、頑張って」
私は、二人を鼓舞するように声を出すが戦闘で手一杯みたいだ。
ミーシャの方は、どこにいたら邪魔にならないか考えて行動しており、小さいながらにしっかりしている。
最後の最後まで、あの幻影に負けなかっただけはある。
「はいおしまい」
周辺にいた魔物を一掃しつつ、魔石回収がてら休憩とした。
「ルーミは、もうちょっと基礎をどうにかしないとだね」
「――わかりました」
「ランドは、大ぶりの攻撃もいいけど、確実に倒せるやり方をするべきだよ」
「……」
ランドは、無言のままだった。ルーミは、それを叱っていたが、全く持って聞いていないであろう。
そして、また第二層の攻略を進めるが、思うように進めなかった。通常に比べて、だいぶ時間がかかってしまっていた。
魔物が強いわけでもなく、道が入り組んでいるわけでもない。ただ、パーティの雰囲気がとてつもなく悪かったからだ。
「とりあえず今からボス戦だから」
「何もしないでってことですよね」
アリアは頷いた。そして、ボスの扉を開けたのだ。
目の前には、首なしの騎士デュラハンが立っていた。首は手にもち、馬に乗っている。相当な強さであるのは間違いなかった。
「でもね、私には勝てない」
剣を構えて突っ込んでくるデュラハンを、一撃で仕留める。首を突いたら終わったのである意味、楽な魔物とも言えるであろう。
そして三階層の魔法陣に乗り、ボス部屋に飛んだのであった。
怯え切ったケルベロスが出迎えてくれたのだ。
どう考えても、コイツがこのダンジョンの主で間違いないだろう。
ただ、何かがおかしい。
「なんで魔族がいるの?」
ケルベロスの背後には、魔族が座っていた。魔族の男はニヤリと笑みをこぼしていた。
「まさか剣聖少女を連れてくるとはね、ランド」
「――はい」
「分かっているとは思うが、やらないとどうなるか分かってるよな」
魔族の男は、顔が見えないがものすごい圧をランドにかけている。
おそらく、仲間五人を殺害したのはコイツであることには間違いなかった。
ルーミもミーシャも先ほどから、怯え切った表情をしている。
「ランド、言うことは聞かなくてもいいよ」
「え……な、なんで」
私は、瞬時にケルベロスの首を斬り落とし、魔族の男と目があった。
「ずいぶんとたくましい顔つきですわ」
それと同時に、剣を下から上に突き上げた。
「危ない危ない、ほんと血の気の多いな剣聖と言う奴らは」
少し、恐怖した声つきで喋っている。本能的に、本当に危なかったと思っているのであろう。
そのせいか、本来ならランドの後ろにでも逃げればいい話なのに、丁度中心部で立っている。
「どうした、震えているぞ」
「別にどうってことはないよ」
これも嘘だ。恐怖が体を蝕んでいるのがわかる。今さっきの一振りでこの男は、折れてしまっている。
「私があった魔族はこれで二人目だが、案外弱いんだね魔族って」
魔族の表情が険しくなっている。怒ってはいるものの、やはり恐怖の方が強いみたいだ。
「さっきまで自分が強いって思い込んでたみたいだけど、自惚れるのもいい加減にしな」
「……」
何も言えなくなってしまっていた。それどころか虚な眼差しでこちらを見つめてくる。
「さっさと、剣を抜いてほしいんだけど。私まだ、本気の魔族と戦ったことがないしさ」
「……」
彼は抜こうとしなかった。なんとも面白くない。
「これで楽にしてやるよ」
次の瞬間、魔族の首が天に舞う。
「回収と、とりあえず話を聞かせて貰おうか」
「はい、本当はアイツに狙われていてそして、逃げるように入ったのがダンジョンでした」
「アイツは、ダンジョンの中でも変わらず追ってきており、逃げ切れずに五人は亡くなりました」
ミーヤとランドは全てを話なす。
五人を食べない代わりに他の冒険者を連れてくるように指示をされたと言っている。
それで、どうすることもできず今回の経緯となったと言っていた。
「とりあえず、この森を抜けた先に村があるみたいだから、そこで改めてギルド職員を加えて話を聞くから」
「はい」
二人は、これで全て終わったことに感謝していた。
その後、私たちは村に到着した。
即、村のギルド長との話し合いとなったのだ。
未成年でダンジョン攻略に連れていったことに対する諸々な違反について、魔族について、ダンジョンについての話し合いは、日付が変わっても話し合いは続いた。
「とりあえずよかったね、お咎めなしで」
「その代わり、ダンジョンの発見及び攻略の成功報酬は無くなりましたけどね」
「ランド、あれ私が居なかったらそれプラス冒険者としての諸々剥奪及び禁固刑だったけどね」
ランドは、顔を真っ青にしていた。私の、魔族という証拠がなければ、本当にめんどくさいことになっていた言えるであろう。
「とりあえず二人とも、お仲間の供養をしっかりするんだぞ」
「分かってます、今回は助けていただきありがとうございました」
「あ、ありがとうございました」
「ミーシャちゃん、これから大変なことも多いだろうけど、頑張ってね」
「私は大丈夫! ミーシャね、冒険者になっておねーちゃんみたいな剣士になるよ」
ミーシャは、目を輝かせてそう言ったのだ。その言葉を聞いたアリア自身、満面の笑みを浮かべていた。
「それだったら強くならないとだね! 応援してる」
そうして、私は一泊して村を後にするのだった。三人に見送られながら、私の旅は続くのだ。




