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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
1部-5章 剣聖は旅を気ままにやっていきたい

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168話 話し合いと疑わなければならない状況


 その後、戦いは魔神王が居なくなったことを皮切りに、次第に魔族は消滅していった。

 そうして、国は平和が訪れたのである。

 街の至る所は、魔族との戦闘がどれだけ激しかったか分かるような跡が残っていた。

 それだけ、この戦いが相当な被害を出しながらも打ち勝った証拠なのだろう。


「今回、沢山の犠牲者が出たわね」


 それはこの国を守った私たちにとって、繰り返してはならない汚点である。

 それがどういうことなのか、しっかり理解し対策を取らなければならない。


「遺体をご遺族の元に返しましょう、皆さんよろしくお願いします」


 ミニシアは、テキパキと業務に勤しんでいた。彼女自身も、自分を守るために大きな犠牲の上で成り立っていることを分かっている。

 だからこそ、すぐに動いたのであろう。

 父親、母親は今回のことで強い罪悪感に際飲まれている。その影響か、まだ判断が定まっていない様子だ。

 それもあって、ミニシアが先導して指示を出しているのは、とても良いことだ。


「私たちは、街の復旧を手伝うわよ! フェクトはいい加減、男の方になりなさい」


 フェクトもそちらの方が良いと思ったのか、すぐに実行にうつった。

 その後、イデリア、第五王子も到着した。すぐに動きたいと思ったが、二人とも忙しいのだ。

 それは仕方ないことである。


 寝る間も惜しんで、作業をしていると朝日が登ってくる。新たな希望を携えた、朝がやってきたのだ。


「それじゃあ会議を始めましょうか」


 私、フェクト、ナズナ、イデリア、第五王子、ミニシア、アルグスは魔法界支部の一室に集まっていた。

 今回何が起こったのか、聴くためである。


「重々しい雰囲気は辞めてよね、会議というより聴くために集まったんだから」


 私は、イデリアの言った会議という言葉に反応してか、やんわりと物申す。

 イデリアは少し考えたのち、何事も無かったかのように始めたのだ。

 話の内容はこうである。


 何が起こったのか。

 それはどういう理由なのか?

 人為的で計画的な作戦。

 小さくなって侵入。

 ベルで呼んだ魔族が少し違和感があった点である。


 これに関して重要なのは、人為的な作戦の可能性が捨てきれない点である。


「今回の事件、全てミニシアを狙ったもので間違いないと思うけど」

「それはそうかもしれないが、それにしては巻き込み過ぎではないか? 剣聖様」


 第五王子からしてみれば、その意見はごもっともである。狙うなら、ミニシアだけを狙うだけでいい。

 それなのに、国を巻き込んだ事件に発展したことが引っかかるらしい。


「どさくさに紛れて殺そうとしたと考えられるのでは?」

「だがそれにしてはやり過ぎだと思わないのか!」


 私と第五王子との言い争いにまで発展しそうな状況は、話が変わることで治った。

 それを促したのは、フェクトである。


「アリアの言う通り根本的にそうだと思う、ただその計画は、魔神王によって乗っ取られたと考えられないか?」


 その言葉に、静かな時が流れる。

 今まで、人為的だと思われたことは全て魔神王の指示かもしれないと変わったのだ。

 だがどこから乗っ取られたか、いまいち定まらない。


「私も良いですか? おそらく犯人はベルを後から使った者だと思うのです」

「ミニシア嬢、それはどういうことか説明出来るかい?」


 イデリアは、優しくミニシアに話しかけていた、私たちの声で萎縮した声を見てそうしたのだろう。

 そこは軽率で反省すべき点だ。

 ミニシアの考えはこうである。


 最初の時点で、どう侵入したらいいか伝達したこと。

 魔族なら、魔法を扱えて当然。小さくなるなど出来なければ、元々用意していた魔法使いを使いやらせたこと。

 犯行的には突発ではあったが、色々な手段を用いて攻め入ったことがこの経緯に至った考えだと言った。


「思い返してみればそうです、最初に魔物の進行が突如に始まりました」


 それで結界を即座に張り替えようとした直後に、色々な手段を使い、魔族侵入を許した。


「資料によると、結界術師の死亡もしくは重症者がだいぶ多いな」


 フェクトは資料をパラパラ捲りながら言う。


「アリアが倒したっていう、ミニシアを襲った魔族も相当暴れてたみたいだし」


 ナズナの言ったことは確かにそうである。アイツは、門を突き破り突き進みながら、ミニシアの元にたどり着いてた。

 それは、住民たちから話を聴く限り間違いはない。


「その魔族、一直線に進んでいたとなっているわね、おそらくこの魔族は、一種の催眠状態だと言えるかも」

「確かにそうかもしれない! 戦っていたのに全然気付いてなかった」


 私は、髪をわしゃわしゃ掻きながらなんとも言えない感情に押しつぶされそうになる。

 そうして、この事件は一気に新たな展開を迎えることとなる。

 それは、壁の向こうにある廊下から、ドタバタと足を立てながら走ってくる彼からの一報であった。


「会議中失礼致します! 皆様にすぐお耳に入れたいことが」

「とりあえず水を飲むニャー、呼吸を整えて言いな」


 彼は、ナズナに差し出された水を飲み、深呼吸をした。最初、扉を開けた時とは比べものにならないほど、落ち着いた声である。


「ここから少し離れた場所にて、魔法使い二名を発見致しました! ですがすでに魔族に殺されていました」

「すぐに連れてきて、記憶を見るから!」


 そうして彼は、扉を閉め忘れたまま走って行ってしまった。


「まさかミニシアの言ってたことが近いなんて」

「これどうすんだ? このままだとミニシアが国家転覆を狙ったことになるじゃねぇか?」


 イデリアは頭を抱え、フェクトは不穏なことを言い出す始末だ。

 確かに、ここまで当たったら流石にないとは言い切れない状況だ。

 私たちは誰一人彼女がやったとは思っていない。ただ、記憶を見るまでは、それ相応のことをしておかなければならない。


「皆様の疑いの目を持つのは正しい限りです、私を捕縛してください」


 その目は、とても真っ直ぐした目でこちらを見つめてくるのであった。

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