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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
第1部-1章 剣聖少女前日譚と旅の始まり

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12話 幻術と見つかったダンジョン


 突風が吹き荒れるなか、今日も箒に乗って進んでいきます。

 

「箒の風除けがあるといっても、相当今日は風が吹いてるわね」


 箒をしっかり握り、バランスを保っている。

 ただ、これ以上風が強くなれば風よけがあっても危険であることには違いない。

 どこか風を防げる場所を探さないとと思い、辺りを見るが見渡すかぎり平原があるだけ。


「ダンジョン……もないのか」


 アリアは、困り果てた顔をしながら箒のスピードをあげた。

 マップを開いても、国と国の中間地点を越えたばかりだ。

 それから数時間、ようやく森の中で小さな洞穴を見つけたのです。


「より風が強くなったわね、ここで今日は一晩過ごすことになりそうね」


 そうして、寝床を作りご飯を作って、剣の素振りをしたりして時間を潰す。

 そして、辺りが真っ暗になる頃辺りを照らしてご飯を食べ今日は早く眠った。

 翌朝、目が覚めると風はすっかり止み辺り一面霧に包まれていました。

 

「魔物かな」


 思わずそう口にしてしまいたくなるほどの、嫌な状況がよぎったのです。

 大抵、不自然な霧は魔物の仕業というのが決まっているのです。

 辺りを眺めていると、気配を感じ取る。


「マジかよ……それはあんまりだぜ」


 そこには、いないはずの師匠が立っていたのです。どう考えても魔物なのはわかります。


「アリア、手合わせをするか?」


 私の記憶から読み取った師匠であろう。私は、そんなのに騙されないのだ。

 なぜなら師匠なら、私と手合わせする時は死を覚悟して挑んでくる目つきだからだ。

 

「まだまだ甘いよ」


 師匠を斬り裂くと同時に、周囲の霧が晴れていく。そしてその霧に集まってきた魔物たちがお出迎えしてくれたのだ。


「アイツ、私に勝てないのをわかってたか」


 ゴブリン、コボルト、スライムといったとても弱い奴らだったのは、おそらく他の魔物は本能的に逃げたのであろう。

 幻術の魔物クルラス、お前はバカだ。

 私を殺すのだったら、こんなのでは到底無理だよ。そう思いつつ、旅を再開する。

 そんな時だった、一人の少女があげたような悲鳴が森の中で響いたのだ。

 その方向には、霧が発生している。

 すぐにそちらの方に、箒を飛ばす。魔物の気配のなかに、人間の気配もする。

 それも弱っている。


「いた!!」


 私は、箒から飛び降り剣を、魔物の方を斬り裂いた。やはり魔物は、幻術の魔物である。

 そしてそいつは、私が入ってきたことによりある種混合された人間が出来上がっていた。


「大丈夫か?」


 後ろで、尻餅をついていた女の子に顔を見せた。

 赤毛の女の子であり、その近くにはその親と思われる二人組が同じく魔物に連れていかれそうになっている。


「そいつが、魔物って気づけよ!」

 

 正直、苛立ちの方が先にくる。

 その苛立ちを魔物にぶつけたのだ。魔物は消え、二人は辺りを見ていた。

 そして子供を見つけると、すぐに抱き抱えた。


「ごめんミーシャ、私たちがあんな魔物に引っかかるなんて」


 ミーシャは、泣き叫ぶように泣いてた。それは当たり前だ、クルラスが現れた挙句、両親は連れていかれそうになっていたのだ。

 それで泣かない方が、よっぽどおかしい。


「剣聖少女様、助けていただきありがとうございます。なんてお礼を言ったら良いか」

「そんなことより、あなたたち何をしていたの? ここの近くには、村はないはずだよ」

 

 見た感じ、二人とも冒険者なのは間違いない。ただ、娘の方は、まだ十歳に満たない女の子だ。

 わざわざ、我が子にまで危険な事態に追い込んだのだ、どのみち良い冒険者とは言えない。


「私たちは、あるダンジョンを攻略をするためにここにきました」


 ダンジョンの攻略、すなわち未踏破の可能性が高い。


「子供を連れてすることではないはずよ」

「その意見は、ごもっともです剣聖少女様。本来であれば預けるべきなこともわかっております、ただ……」


 男の方の口が止まる。おそらく、事情があってここにわざわざ、連れてきたのであろう。


「それで、ダンジョンっていうのは?」


 私が、昨日ここを通った時そんなものがあるとは描いていなかった。

 そのダンジョンは、ギルドの方でも把握されていないもの。


「それは私からご説明します。この前、ここの地域で記録的な豪雨に見舞われ、その時に発見しました」


 そして、ダンジョン攻略失敗したと。そして、仲間を失った。


「あんたらの仲間が亡くなったんだろう。さっきの幻影でできた五人は、あんたたちの仲間だね」

 

 両親は、顔を見合わせ頷いた。そして思い出したかのように、口を開いたのだ。


「あ、忘れてました、私の名前はルーミです。見ての通り、レイピア使いです」

「俺は、ランドと言います。武器は、斧です」


 そして二人に、釣られてミーシャが自ら名前を言ったのだ。


「両親は、ダンジョン攻略中に魔物に殺されたの。だから今は、この二人が親代わりなの」


 それは、初めから思っていた。全く顔が違うからだ。ルーミの特徴は、金髪のストレートのロング。ライトは、赤髪の短髪である。


「二人には、後で聞きたいこともあるわ。ひとまず、あなたたちの寝床を案内してほしいわ」

「はい、こちらになります」


 ルーミに、すぐに案内をしてもらいたどり着いた。

 場所は、私とは別の洞穴である。

 かなり大きめの洞穴である。

 

「ミーシャちゃん、ちょっと洞穴で待っててくれるかな。私、この二人にお話があるの」


 ミーシャは、すぐに洞穴の方にいった。この年頃にして、すぐに話を聞けるのは、優秀だ。

 いざとなった時、聞き分けが良い方がいいからだ。


(で、あなたたちあの子の言っていることは、正しいのかしら)

(はいもちろんでございます、断じて間違いはございません)

(あの子の目の前で、彼女たちは殺されました)


 ランドは、私が問いを投げかけるや否や、すぐに答えた。

 そして、ルーミからは、あの子の目の前で亡くなったことを聞された。

 でも、一つ厄介のことがある。このことをこいつらは、報告していないのだ。

 ギルドでは、常に情報を求めている。それが、一般人や他の冒険者たちを守るための対策を打ち出せるからだ。

 そして、今現在ギルドに伝わっていないと考えると、相当めんどくさいことに巻き込まれたということになる。


(なぜ、ギルドに報告しない?)

(それは、私たちにはやり遂げなきゃ行けないことがあるんです)


 ルーミは、まっすぐな瞳でこちらを見てくるのであった。


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