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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
1部-4章 14歳になった私の旅は、魔神王の気配をのせて

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153話 文献探し


完全に忘れてました。

申し訳ありませんでした!


 図書館は、先ほどの出来事が嘘のようにいつも通りのように開いていた。

 少々驚きつつも私は、図書館に入っていく。外はまるで別の時間軸を歩んでいるかのように、ゆったりとした空間が広がっていた。

 読書に勤しむ者、勉学に励む者、様々な人が自由の時間を過ごしている。


「お客様、ここは初めてのご利用でしょうか?」


 話しかけてきたのは、出入り口のすぐそばにあった案内にいた人である。

 本を閉じ、こちらへ向かってくる。


「はいそうです、ある文献を探してまして」

「どのような種類のものでしょうか」

「自然厄災についてです」


 彼女はこちらですと案内を始めた。ここには、見た限り膨大の書物があると気配でわかる。

 それを大体把握出来ているとは、尊敬の目で彼女を見てしまう。

 そうして歩くこと数分、一際大きな本棚の前で立ち止まった。

 そして、杖を取り出し魔法を唱え、憶測ではあるが厄災について書いてある本を取り出しているのであろう。


「ありがとうございます」


 また歩くこと数分、席に案内され私は文献を読み漁った。突然肩を叩かれる。

 私の体は驚きのあまり、その場から離れ天井付近まで飛び上がってしまう。

 呼吸が乱れていることがわかる。そして、席の方を見ると私を案内していた彼女もまた、驚いた表情をしてこちらを見ていた。


「大変申し訳ございません、驚かせるつもりはなくてえーと、もう閉館時間なのですが」

「あ、え!? 嘘、ほんとだ、すぐに帰りますから、ほんとすみませんでした」


 私は、すぐ近くにあった窓から外の風景を見る。辺りはすっかり真っ暗になっており、集中し過ぎていたのだ。

 そして何より、驚かせたことや、閉館時間まで粘っていたことなどを含め謝った。


「いえいえ、剣聖様にそこまで熱心に読んでいただけたら、本も喜んでいます」

「それなら良いのですが」

「まだ文献を読み終わっていないようなので、こちらで別に保管いたしますね」


 そうして、私は図書館を後にした。

 外に出て軽く体を伸ばす、そして周りを見るともうすっかり復興を済ませいつもの日常戻っていた。

 そして私はすっかり忘れてしまっていたのだ、二人の存在を。


(今どこいる? 早くご飯食べようぜ)


 とても暗いトーンの声が、私の脳内にひびきわたる。そして思い出すのだ、フェクトとナズナの存在を。


「ほんとごめん、文献読みに図書館に行ってた」

「扉の隙間から一言書いてくれたら良かったのに」


 私は二人に誤り続けた。そして、ご飯を奢ると言う形で話は決着を迎えた。

 そして、酒場で勢いよく頼む二人を見ながら私はエールを飲んだ。


「そして何か収穫はあったか? だいぶ時間を掛けたんだ、何かしらあるだろ?」

「それね、あったにはあったけど、その情報が使えるかはわからない」


 読んだ文献は、全部で五冊分だ。ほとんどが、それといった情報のないものに近く、あまり手応えのある収穫はない。

 ただその中にも使えそうな情報はあった、ただそれは裏付けもされていないほぼ御伽話に出てくるようなものであった。

 私は、濁すだけ濁して今は何も話さなかった。そして、私たちは宿に戻り朝を待つ。

 そして翌朝、私は早くに目が覚めた。静かな街並みを窓から眺める。

 まだ朝日が登り始めた段階で、眠たい目を擦りながら私は外に出る準備していく。

 そして、昨日の反省を生かし二人の扉の隙間から手紙を置いておいて出発した。

 外に出て軽くストレッチしつつ、体を温めていく。そして、久しぶりにランニングを始めるのであった。

 ここの国は、多くの坂の名所でもあり走り甲斐のあるコースだといえるであろう。

 ずっと戦闘続きだった体には、良い息抜きだと言えるであろう。

 走りながら、今後のことを少し考えていく。

 このまま行くと、魔法会、ダークウィッチーズ、厄災の三つ巴の戦いは避けられないであろう。

 厄災のアイツは、ウィッチーズの構成員を殺してしまっている。それに対し、いちゃもんを付けてくるのは目に見えている。

 そしておそらくそれは、魔法会の支部がある国で行うであろう。

 厄災の奴らからしてみれば、国でやった方が好都合だ。そんなことを考えていると、話かけられたのだ。


「おはようございます、剣聖様!」


 それは昨日、図書館で出会った彼女である。こんな朝早くに彼女は何をしているんだと疑問が湧いてくる。


「おはようございます、早いですね、何か用事ですか?」

「あ、出勤です、一日本を読むだけなので、早く出勤しようがあまり関係ないので」

「そう言う物なんですね、今日もお伺いしますね」

「お待ちしております、厄災に関する情報、調べておきますね」


 彼女はにこやかな笑顔を見せ、図書館の方へと向かっていく。

 そんな彼女を見送り、そして私も、そろそろ帰るかと考え箒に乗り込み宿に戻ったのであった。


「アリアおはよう、今日は随分と早起きだね!」

「ナズナ降りてきたのね、フェクトはまだ部屋?」


 ナズナは首を横に振った。そして、出入り口の扉が開く。

 そこには、騎士団の一人がボロボロになって入ってきた。


「え、何かあったんですか、大丈夫ですか?」


 私はすぐさま駆け寄り声をかけた。見た感じ、魔法攻撃を受けたような痕がある。

 それに肌にピリつくこの感じ、雷魔法の形跡だと思って良いであろう。


「昨日捕らえた囚人が目を覚まし、突然暴れ出したんです」

「それで今の状況は?」

「今はフェクトさんがいち早く気がついたため、落ち着いてはいるのですが念の為剣聖様を呼んできてほしいと」

「わかったわ、ナズナも行くわよ」


 私たちは、場所を聞いてすぐに向かう。おそらく状況把握しきれず、暴れてしまったのが原因であろう。

 そんなことを考えつつ、箒のスピードをあげる。


「フェクト様子はどんな感じ!」

「あ、アリア来たのか、今は落ち着いてるがいつ気が動転するか掴めねえ」


 彼は、魔法陣の中心である椅子に固定され今は眠っている。

 それを私は見つめることしか出来なかった。

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