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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
1部-4章 14歳になった私の旅は、魔神王の気配をのせて

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146話 大元登場


 地下四層、そこは森林地帯のダンジョンとして形成されていた。

 そこも情報が古いため、マップとは異なる形態となり情報は当てにならないと感じてしまう始末。


「それにしても、自然でもなかなか見ない大樹がそこかしこにあるな」


 フェクトは、少し興奮していようだ。

 フェクトも長く生きている。長命種族だからこそ、こういった風景には、普通より大きい感情をあらわにしてしまうのだろうと、勝手に解釈する。


「ねぇアリア、ここ故郷に似てる!」


 ナズナは、大樹に登りそんなことを言う。


「ナズナ、何か扉とか見える?」

「えーとね、ここよりも大きい木があって見えない!」


 ナズナは飛び降りてきて、そこを目指そうと言い出した。私たちもそれには賛成なので、なんの異論もなく進んでいく。

 待ち構えていたかのように、魔物が飛び出してくる。


「ウルフ系統か、大したことじゃないわ蹴散らすわよ!」


 一戦、また一戦と交えていく。それが幾度となく続いてくなか、時折場所を確認しつつ私たちはその場所に辿り着く。


「ようやくか、それにしても魔物、多かったな」

「確かにね、ここの大元が上がってきているせいか、怯えている魔物も居たわね」


 気配感知をより深く作動させる。そして、その大元の場所を特定を進めていく。

 そうして、大元がどこにいるか分かると流石に私でも、苦笑してしまう。


「このままだと、地下五階層入った時点で会うわね」

「そんなに早いのか、大人しく待っておけばいいものを」

「そんなことよりこの大樹調べようよ!」


 ナズナは待ちくたびれたのか、催促してくる。私はそれに答えるかのように、大樹を調べ始める。

 その時だ、その気配は突如として現れる。


「ナズナ離れろ!」

「へえ!?」


 ナズナは驚きのあまり、動けなくなってしまっている。それを好機と魔物はとったのだろう。次の瞬間、ナズナはツルに捕まりそのままどこかに飛ばされた。


「フェクトはナズナを追いかけて!」

「了解、そいつトレントとマンイーターを掛け合わせてるような魔物だ」


 フェクトはそう言い残し、ナズナの後を追った。

 その間も、この魔物はツルで攻撃しようと必死である。


「複雑に動いたって、意味なんてないわよ!」


 私は全て剣で弾きつつ、距離を詰めていく。木は大きく右から薙ぎ払おうと一撃をかますが、それも全て弾き返す。


「おいどうした、さっきのでもう終わりか?」


 本当に近づくまで、全く魔物の気配をさせなかった。それだけで、冒険者からしてみれば死の恐怖である。

 まるで死神のようなものだ。

 

「せっかく変異種なんだ、その力を有効に使わないのは呆れるわ」


 間合いに入り込み、そのまま斬り伏せた。そして切り株に座り込み、休憩を始めた。


「アイツらどこまで行ってんだ?」


 思わず口に出してしまっていた。


……


 その頃一方フェクト達は、何とかナズナをキャッチしたところであった。


「おい大丈夫か、しっかりしろ」

「ぁぁ、何なのアイツ」


 フェクトは、苦笑いしかできなかった。そんなことをしつつ、フェクトは周りを見る。


「おいしっかりしろ、周りを見てみろ」


 ナズナはフェクトに言われるまま周りを見るやいなや、すぐに戦闘に移行する。

 

「ここってさ、アイツがここに飛ばしてここで確殺するってことだよな」


 ナズナは、一点突破するかのような動きで魔物を翻弄していくが、それに負けず劣らず魔物たちも善戦している状況だ。

 ウルフ系統の魔物、トレントの変異種は完璧な連携をとって攻撃してくる。

 ツルの攻撃を避けつつ、そのタイミングを見計らって絶妙なタイミングで攻撃を施す魔物たちは、とても心を熱くしてくれる。

 それに答えるかのような攻撃を、俺たちは放つ。


「ナズナ、アリアにびっくりされるような戦いをしようぜ」

「あたりまえでしょ、私たちの拳を味わうがいい!」


 そうして、ダンジョンを破壊して戻ってくるのだった。アリアの顔を見ようと、駆け寄るが、期待とは違う反応で待ち構えているのであった。


……


「なんかすごい音させながら来てるけど、何やってんだろう?」


 とりま集まってきたオーガを斬り捨ててつつ、私は待つ。そうして、楽しそうに帰ってきた二人を出迎えつつ私たちは先に進むのである。


「早くしないと、大元来るわよ」


 私たちは足早で、ボスの部屋に辿り着く。


「なんでサキュバス!?」


 森林地帯には、正直言って似合わない存在がそこにはいた。

 サキュバスも私たちの顔を見るなり、ため息をつく。


「ごめんなさいね、ここのボス逃げちゃって」


 彼女は苦笑しつつ、やる気はあるみたいだ。そして、一切の澱みなく、攻撃を繰り出してくる。

 地面にヒビを入れるほどの鞭が、私たちに襲いかかってくる。

 それも何とも早い。その上、タイミングも完璧で避けるので最初は手一杯になりそうなほどだ。


「時間が無いんだ、手は抜かないわ」

「それはこっちも同じですわ」


 私たちの動きを先回りしたかのような動き、それを何とか躱し間合いに入る。


「ここまでね、アイツに勝ちなさいよ」


 サキュバスは消滅した。それも全く未練すら感じさせず。

 そして、落ちてくる頭を見てなんとも美しい目をしていると思ってしまうほどであった。


「次の階層行くわよ!」


 私は二人に声を掛けつつ、魔法陣に乗る。そして、次の階層へと向かう。

 そして気がつくと、目の前には大元が立っていた。


「遅かったな、さぁ来い殺ろうぜ」


 その顔は、何とも自信に満ちた顔である。


「ここじゃ狭いでしょ、どこか広い場所とか無いわけ?」


 大元は、辺りを見渡す。そう思ったのだろう、振り返って、どこに歩き始めた。

 その後ろ姿は、何ともたくましい姿をしている。後ろからの攻撃してこいと言わんばかりに無防備である。

 そして私たちと大元との戦いは、この時の私はすぐに終わるだろうと思っていた。

 ただその思いは、間違っていたのであった。

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