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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
1部-4章 14歳になった私の旅は、魔神王の気配をのせて

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144話 攻略が相当昔のダンジョン


 まだまだ雨が続く今日この頃。私たちはとあるダンジョンの前にいた。


「まさか、雨宿りついでによった場所がダンジョンの入り口だったなんてな」

「ラッキーじゃん、久しぶりに思いっきり戦闘できるんだし!」

「アリアの言う通りだよ! 私だって体動かしたいしさ」


 フェクトは、自分の中で納得したのか少し笑いつつ私たちは、ダンジョンの中に入る。

 中の構造は、基本的に洞窟型であろうと推測できる。気配感知もより明確に発動させる。


「魔物の気配アリ! 反応的にゴブリンとかの低級」

「了解、俺が先行するから二人はゆっくり来てくれ!」


 フェクトは、やる気に満ちた声で言う。私たちは、軽く頷く。

 フェクトは、圧倒いう間に見えなくなる。それに伴って、近くにいた魔物の気配は、着実に消えていく。

 この速度からして、フェクトで間違いないであろう。


「ねぇアリア、ここのダンジョンって何階層?」

「あーちょっと待ってね、おそらく複数層ではありそうなんだけど」


 私は、マップを展開させる。

 ダンジョンの構造は、マップでは地下十階であると書いてある。

 最近の攻略はないのか、情報がいかんせん古いと感じてしまう。

 ただ、そちらの方が攻略をする上で楽しいのは確かである。


「えーとね地下十階かな、それより早く追いつく? フェクトに全部攻略されちゃう」

「それはダメだよ! 私だって魔物倒したい!」


 ナズナは、ゆっくりと歩いていた状態から、急激に速度を上げる。

 フェクトに追いつくべく、本気に近い脚力で走っているだろう。

 そのフォームは、とても美しく見入ってしまうほどだ。

 そんなことをしているから、私はダンジョンで一人になるのだった。


「遅いよ! 早く行こうよ」

「ごめんごめん、それにしても、随分と派手に暴れたのね、所々、へこんでいたわよ」


 フェクトは、とても申し訳そうにしているが、怒られているのには、納得をしていない表情をしている。


「顔に出過ぎ」

「うぅ……それはすまない」


 今度こそ、フェクトは申し訳なさそうにしている。そして、私たちは、着々と攻略をしていく。

 やはり上層は、魔物は弱くとても満足できる内容ではない。そんなやり場のない感情を魔物にぶつけつつ、ボスの部屋に向かう。


「とりあえずボス部屋には着いたけどどうする?」

「どうするって、何?」

「ほら三人でボコしたら可哀想じゃねえかよ」


 そんなこと、私たちは抜け落ちていた。私もナズナも早く終わらせるなら、それが手っ取り早いと思っていたからだ。


「そうだね、とりあえずフェクトが行きなよ」


 ナズナも同意見なのか、何も言わない。そうしてドアを開ける。

 次の瞬間、ドアを粉砕しながら魔物が開幕一番攻撃を仕掛けてきた。

 突然のことで充分な対策が出来ていなかった私たち。それぞれ、両側の壁に叩きつけられる。


「おいコイツ、なんかおかしいだろ!」


 フェクトのツッコミも分かる。ボスだけが異常に強くなっているなんてこと、普通はない。

 ただ、ここは長い間攻略されていないダンジョン。

 そのため、時間をじっくりと掛けて強くなってきたのだろうと、簡単に結論付けた。


「ゴブリンキングにしては大きいわね、それにあんな武器オーガでしか見たこと無いわよ」


 ゴブリンキングが持っている武器、それは金棒である。それも真っ赤なやつだ。

 その金棒には、私たちの血も床にポタポタと落ちるほどにはついてしまっている。

 それを見て私は確信した、あの赤い金棒は大変よく血を吸っているものだと。


「フェクト、あれは血に寄ってくるぞ!」


 私は軽くアドバイスを言う。なぜなら、ゴブリンキングは、フェクト目掛けて攻撃をしっかりと仕掛けているからだ。


「あっぶねぇな! もう少し落ち着けよ」


 軽くフェクトの拳がゴブリンに当たる。あのゴブリンは、普通よりは強いとこの時確信した。

 なぜなら、フェクトの攻撃を少しでも軽減させるために動いているのが見えたからだ。


「お前な、そんな攻撃しておいて冷静なんておかしいんじゃねえの!」


 拳が金棒を粉砕する。それに動揺しているのが側から見てもわかるほどだ。


「おいおい、すぐに対策しねぇと死ぬぞ、魔武式・一鉄拳」


 先ほどと同じように腹部に攻撃を加え、そのまま爆散して消滅した。

 そして二階への魔法陣が開かれる。


「いやーそれにしてもびっくりしたね、まさかあんな風に襲ってくるなんて」

「別にどうってことはねぇよ、それより癖のある奴らが集まってんじゃないか?」

「そんなことより行ってみようよ!」


 そうして私たちは、二階へと赴くのであった。


……

 ボスと戦っている頃、地下十階のボス部屋では、騒動に気がついたのか、魔物が動き始めていた。


「久しぶりのお客か、必ずここに辿り着くだろう、血が沸き立つ」


 魔物は、ニヤリと笑う。そしてアリアたちに届いてしまうかの勢いで、存在感を放ってしまう。

 それは、他の魔物たちからしてみれば、恐怖そのものであり、より強くならなければと鼓舞するかのようである。


「早く来い、早く戦わせてくれ」


……


 その頃二階にたどり着いた三人は、その気配に勘づいていた。

 それどころか、喧嘩を売ろうか悩んでいるような節が見受けられる。


「アリア落ち着けよ、必ず会えるんだから」

「いやさ、あんな気配されて放置って可哀想じゃない?」

「可哀想ではないよ」


 フェクトから強いツッコミを受けつつ、私は軽く不貞腐れてしまう。


「アリア、魔物気配感じるけどなんか殺気立ってるよ」

「あの気配の影響だろうね、ちょっと暴れよ」


 そうして後にここの階層で死んだ魔物たちが言ってしまうのだ。

 それはとてつもなく後悔した声で。


「殺気なんて立てるんじゃなかった」


 そう言わさしてしまうほど、二階層は荒れた。

 魔物は、なすすべなく全員ボコボコにされ、心を折られてしまうほどである。

 ボスすらも、始まる前から死んだ魚の目をしているようだったのだから。

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