表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
1部-4章 14歳になった私の旅は、魔神王の気配をのせて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

148/602

142話 決着と疑問


 すみません完全に忘れました。



 ホーンドラゴンは、気がついたようだ。自分を殺した相手が潜伏している場所を凝視している。


「剣聖、いつから気がついていた? 我々の気配は遮断されてたはずだ」


 魔族が数人出てくる。ただ全員、どこか欠損している。それどころか、血を浴びたのかところどころ汚れていた。


「最初からだよ、ドラゴンには気付かないようにしてたけど」

「そうか、我々がお前を生贄として捧げてやる!」


 音を置き去りにした速度で、私を囲み攻撃に移ってくる。攻撃は、どれも単調で面白みを感じない。

 退屈と感じてしまうレベルである。

 それが顔にモロに現れていたのだろう、魔族たちの攻撃は勢いをます。


「勢いが増した所で意味ないから、まだホーンドラゴンの方が魅力があるよ」


 奥の方から魔力が増加するのを感じ取る。

 ドラゴンの範囲攻撃は間違いないであろう、目の前に復讐できるチャンスがあるんだ、攻撃するのは当たり前だろう。

 無数の魔法陣が生成される。魔法陣をよく見ると、先ほどより高度に作っているのが一目でわかるほどだ。


 次の瞬間、魔法が放たれる。


「いいよいいよ、その調子だよ、魔族くんもしっかり避けな!」


 私は高みの見物をしつつ、魔族たちを観察する。

 先ほどのスピードが痛手となっているのであろう、明らかにスピードは落ちている。

 それに魔法がまったくと言っていいほど出来ていない。

 その理由は明白だろう、魔力切れを起こしているのが容易に想像が出来る。

 また一匹、また一匹と、魔族が葬られていく。それはまるで、作業をしているかのようだ。

 そんな魔力で殺されるコイツらは、そこまでの存在なのだろう。


「なんなんだコイツ!? なんでこんなにも強くなってんだ!」


 魔族の一人が、泣きそうになりながらそんなことを叫んでいる。

 ただ叫んだ所で解決などしない。


「当たり前じゃない、復讐が一番怖いのよ」

「くそったれー!!」


 それが彼の最期の言葉となった。それに続くかのように、魔族は殺されていく。

 そして最後の一人を始末した瞬間、魔法は収まったのだ。

 それに伴って、ドラゴンは地上に体を休めるかのように、着地する。

 ドラゴンは、骨だけでもわかる。相当疲れが体に出ていたのが、伝わってくるのである。


「あなたの本命はこの私よ、まだ戦えるよね」


 あの攻撃の間、私から一切目を外さなかったこのドラゴン。

 それだけ、私にも警戒しているのがわかる。それだけ

注意深く観察されている。

 

「観察はいいことだね、でも私の前では無意味なんだよ」


 両翼の翼を斬り離す。そしてそのまま鳴くことも出来ないドラゴンは、ただ翼を見つめる姿が頭に残る。

 そのまま続けて、私は首元に辿り着く。


「これでチェックメイトだ!」


 高密度の魔力が全身に駆け巡っているのがわかる。そしてそのままドラゴンの翼は回復する。


「マジか!?」


 そんなことを思ったのも束の間、一気に上空に飛ぶ。咄嗟に掴まったとはいえ、体にはダメージをあびている。

 私は、思いっきり吐いてしまう。

 次の瞬間、私は上空に放り出される。

 ただすぐには思考は動かない、ただじっとゆっくりに感じてしまうほどの空間に彷徨った気分だ。

 それは、ある方法で現実に叩き戻される。ドラゴンの尻尾が、私を地面に急降下させたのだ。


「やば、遊びすぎた」


 思わず声に出してしまう。ただ、そんな反省はしている時間なんて私には存在しない。


「これで勝った気に思うな」


 箒を出し、そのままドラゴンよりも高く飛び上がる。


「今度こそ終わりだ!」


 私は、スピードに体を委ねただ首を斬ったのである。

 そしてそのまま、消滅したのであった。地上に降り立った後私はあることに、気がついた。


「なんだ、もう雨降ってないんだね。夢中でそんなこと気づきもしなかったな」


 そうして、私は二人の所に戻る。結界が見える、そこには二人が一生懸命、料理している姿がある。


「ただいま、料理ありがとうな」


 私を見るなり、飛びついてくる二人。


「心配したんだぞ、上空に飛んだ時とか」

「アリア、もう大丈夫だよ! 雷はもう平気!」


 ナズナは、ほこしいことを言う。おそらく雷をだんだんと聞いているうちに、慣れたのだろう。

 そうしてドラゴン退治と並びに、魔族討伐も成し遂げたのであった。

 その日の夜。フェクトが珍しくテントから出てくる。


「晩酌中に悪いな、今日のことなんだけどいいか?」

「なんか気になることでもあったの?」

「いや、これといって気になるところはないんだけど、今回の件どう思う?」

「どう思うって言われてもね……」


 私は、言葉に詰まったのか何も出てこない。思わず側にあった、エールに手をつけた。

 そして考えるフリをしつつ、時間が過ぎるのを待つ。

 ただ、そんなことをしていても意味がないことは、私もわかりきっていた。

 考えなしに、私は適当に口走ってしまう。


「フェクトはその何、あの雷が魔力を帯びていたって言いたいの?」

「そうだとも言い切れないが、でもその可能性はあると思ってる」


 フェクトは、言いたいことだけ言ってまたテントに戻っていく。

 それに、それが本当かどうかなんてもう分からない。ホーンドラゴンは、間違いなく私の目前で消滅した。

 ただ、フェクトのそれを聞いて思い当たる端が浮上する。

 あのドラゴンは、確かにあの弾幕で捻り潰す感じの魔法、並大抵の魔力では出来ないといえるであろう。

 それに、魔族が言っていたことも今となっては、気になる点が多い。

 私の頭は、グルグルと考えが回る。それは決して、今解決できることではないと断言できる。


……

 ここはどこか場所。


「あのドラゴン、強かったはずなんだけどな、やっぱ剣聖相手には無理か」


 男は不敵に笑う。

 そして手には、あの玉をコロコロと転がしながら夜が老けていくのを、ただ呆然と見るのであった。


「次は必ず成功させる、それが我らの願い」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ