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10話 初攻略と初めての……


 七階層、一気に魔物が増え、種類が変わり強さは上昇していた。上階層は弱い魔物が多く、初心者が戦うのにはうってつけの場所でもある。

 

「剣聖様、怪我とはないようですね」


 回復術師の二人は、カエリアの治療以外何もやることがないのだ。

 何か仕事がしたいと無意識に思ってしまっているのか、私に何度か聞いてくる。


「今のところはないね、魔物の対処も余裕だしね」


 そうして、段々と入り組んだ道も増えてくる。それに伴って、魔物が一気に凶暴に襲いかかってくる。


「あれオーガ!? 私も応戦します」

「大丈夫だよ、だから言ったでしょ、今は休んでて」


 次の瞬間、オーガの首が宙を舞う。自分が強いと信じきっていたかのような魔物オーガであり、だからこそ簡単に敗れるのだ。

 ダンジョンでは、魔物を倒したら魔石になる。そのため、資源をとりたい場合は生息地で倒す以外方法がないのだ。

 そうしているうちに扉が見えてくる。ボス部屋だ。

 中に入ると、そこには一匹の魔物がどっしりと構えていた。


「あれは、アイスグリズリー!! 七階層で特殊系の魔物が出るなんて」

「落ち着きなさいエル、いかなる時にも冷静じゃないと」


 サリナがエルを鼓舞している。そこはやはり回復術師としての自覚はちゃんと備わっているようだ。

 それを確認できて少し安心した。

 

「まぁ、任せておきなさい!」


 アイスグリズリーは、氷柱を生成させ攻撃に移ってくる。

 飛んでくる氷柱を斬り裂きながら、歩いて近づいてく。相手にとって、攻撃が一切決まらない相手の対処は怖いものだ。


「私をそんなので止められると思うな」


 アイスグリズリーは本能的に怯えている。自分の前にいる相手には、勝てないと今更警告しているのであろう。

 後ろに待機している三人を、狙おうとしていたようだが無理だとわかったみたいだ。

 完全に、戦意を喪失している。


「それでもお前は魔物なのか。魔物だったら、根性を見せやがれ!」


 アイスグリズリーは言葉に反応するかのように、立ち上がり、大きな爪で切り裂く体勢に入っている。

 

「そう、それでいい」


 次の瞬間、アイスグリズリーを斬り伏せた。斬られたアイスズリグリーは、満足そうな顔をするのであった。

 そうして、七階層を突破するのであった。それからも同じく、ダンジョン攻略が進んでいく。

 そうして、八階層のボスも討伐し、九階層のボスである、トロールを斬り伏せ最終層にワープするのであった。


「最初からボス部屋みたいだね」

 

 目の前には、キメラがこちらを見ている。四足歩行、金色の毛並み、足はグリズリー系の爪をもつ魔物だ。

 それぞれを縫い合わせた魔物だ。


「ボスとしているのは知ってたけど、あんなの倒せませんよ」


 カエリアの足は震えている。

 アリアは、無言で背中を押したのだ。キメラはそれに反応するかのように、一気に詰め寄ってくる。


「あ! 一殺一刀」


 それは、右側の前足に見事、縫い目に斬り口が入る。それにより血飛沫をあげ、カエリアの前で止まった。


「カエリアその調子だよ。自分を信じて」


 声援を送るが、カエリアはそれどころではない様子だ。体が上手く動けなくなっている。

 突然のことで、頭が真っ白になっているかのようだ。

 

「カエリア! 戦いの最中は何があってもボサっとしない!」


 思い出したかのように、動き出すカエリア。

 まだぎこちなく、お世辞にもあれで大丈夫と言える状況でもないが、今は手出しする気はない。

 キメラは、先ほどの攻撃後、モタモタしていたカエリアがあったおかげでだいぶ後に飛んだ。

 ただ、怪我をした右足は自ら切断していた。

 カエリアとキメラが無言で向き合っている。いつ戦闘が再開されてもおかしくない。

 おそらく次の一撃が最後になるとわかっているからだ。

 右足の傷は致命傷に近い。


「残像剣!」


 左から斬ると思わせて右か。

 それは見事に決まる。完全に誘導されたキメラは、成す術なく斬られたのだ。

 そうして魔石へと変貌したのであった。


「勝った……勝った!!」

「やったねカエリア!」

「おめでとうカエリア!」


 三人は抱き合って泣いている。初めてのダンジョン攻略だ、一生記憶に残るほど喜べばいい、アリアはそう思うのであった。


「本当にありがとうございました。なんてお礼を言ったらいいか」

「私は、あくまでも手伝いをしただけだよ。それじゃ本命のほう、行きますか!」


 私は、すぐさま魔法陣に乗り出口に戻ってきた。そうして、すぐさまサリナの転移で国まで戻ってきた。

 次は、借金の話。その場所に案内してもらい、ドアを蹴破る。


「皆さんこんにちは! 剣聖アリアと申します」

 

 奥の男以外、目を見開いて驚いた顔でこちらを見ている。賞金首の男が、お金を数えているところである。その顔は、いかにもお金大好きと言わんばかりである。

 そうして一呼吸おいて、賞金首の男は驚いていた。


「け、剣聖少女!? 何しにきやがった!」


 賞金首の男改め、殺し、超喝、強盗をやってきた懸賞金、ダイナール二枚と白金五枚の男、ダーストが話しかけてきた。


「そりゃ、ここの悪徳闇金事業の破壊に決まってんじゃん」


 私は、終始にこやかに受け答えをする。そうして、ようやく気がついたのだ、私の他にも人がいることを。


「お、お前は、カエリア! お前が告発したんか!!」

 

 ダーストは、ありったけの大声で怒鳴っている。どうやらダーストは相当バカであるようだ。


「自白ありがとうね、それで奴隷になるのでいい?」

「なるわけねぇだろ! このクソガキ!!」


 よりにもよって私がいる前で、剣を抜いたのだ。どうやら死ぬ覚悟が出来ているということで、問題ないであろう。

 こちらに遅い足で向かってくる、剣を大振りしようとして隙だらけだった。

 剣を振るうが、それは簡単に避けれるほどだ、まだ先ほどのキメラの方が強い。


「剣聖に剣を振ったこと、あの世で後悔しな!」


 首が吹き飛んだのだ。

 そうして、私は初めて人を殺したのであった。


「ごめんね、こんな羽目になって」

「それはわかっていたことです。だからこそあの二人を連れてこなかったのでしょう」

 

 そうして、周りに居た連中も仇を取ろうと必死に攻めてくるが全員気絶させる。

 そうしてギルドに今回のことを全て報告した。ギルドも薄々このことに気がついていたようだ。

 それを水面下におさめようとする矢先、この事件が起きたというわけだった。

 払い過ぎたお金は、全てを戻すのように私の権限で戻すよう指示をする。

 このことは、大々的に新聞に載り、このことに関与していた者たちは失墜したと大々的に新聞に掲載されるのであった。


「じゃあ私はいくよ、あ、そういえば私のことはアリアって呼んでね。それでカエリアたちはどうするの?」

「うん、ちょっと待ってね」


 カエリアたちは、なぜか何度も深い深呼吸している。


「アリア、私たちはこれからも冒険者を続けていくわ、この国もいずれ出る予定で動くわ!」


「そしたら、またどこかでね!」


 そうして、私はこの国ハルナータから旅立つのであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても読みやすく楽しめました。 アリアの圧倒的強さ…すごいですね。 ダンジョン攻略も面白かったです。 [一言] ありがとうございます(*^^*)応援してます!
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