124話 トラブルは突然に……
今回で三章最終回です。
この騒動が騒がれるのは明白だ。王都の一角で膨大の魔力が観測されたからだ。
そんな大ごとになるとは夢にも思っていない私たち。瞬く間に、家の周りを魔法会に包囲されたのだ。
「中にいる人たち大人しく出てきなさい! 無駄な抵抗は無意味です」
その声の主は、イデリアである。イデリアは、中に誰がいるか把握しているはずだ。
仕事は真っ当しなきゃならないと、線引きしているのだろう。イデリアには悪いことをしてしまったと後悔の波が襲ってくる。
「どうするよ? おそらく転移は制限されてるぞ」
「フェクトビビってんの? わたしだったら正面突破一択だよ」
「はいそこ喧嘩売らない、私たちも軽率だったしここは大人しく出るわよ」
二人は、マジか!? みたいな顔で私を見つめてくる。でもこれは剣聖としての落とし前の付け方と言ってもいいだろう。
そうして扉を開くや否や、全方向から魔法陣の熱を感じる。
いつでもそちらとしては、攻撃可能だと言うのを示しているのだろう。
大抵のやつならこんな状態なら、特攻するか諦めるかの二択であろう。
「みなさん落ち着いてください、何もしませんから」
「あなたたち、この家で何をやらかしたの?」
イデリアは、いつもより口調が強めで聞いてくる。完全に仕事モードであるのがわかる。
「何をやらかしたって、ただここの問題を解決しただけだよ」
「詳しく説明できますか?」
「その前に、魔法陣を解除してほしい、そんな状態では話す機にはなれない」
イデリアは、黙ったままだ。ただジッと私を見つめてきている。
「それはできないわ、剣聖アリア、魔神フェクト、獣人ナズナ、少しでも抑止力を用意しておかないと、何をしでかすかわからないからね」
それは、ごもっともな意見である。私は、それに対しては何も言い返せない。
「これ以上無駄なことを続けるなら、家ごと攻撃を開始しますが?」
「ここの家には、番人魔法があった、それも相当隠蔽魔法の効力が強かったみたいだ」
私の言葉を信じてほしいという気持ちがあるが、それが通じるかどうかは正直言って、わからないと言っていいただろう。
この状況だ、信じないと言われたとしても、仕方ないと思えてしまう。
「それを解除したって言うわけね、それで、先ほどの古めかしいほどの魔法陣は何かしら?」
「ここの所有権を私に譲るというものだ、それを祝って部屋は新品同様に綺麗だ」
そんなことをしていると、厄介なやつが来るのを感じ取る。
今はまだ会いたいとは思っていないため、流石に逃げたくなる。
「ここの初代所有者は、剣聖だ。そして自分が死んだ後の所有者は、選ばれず死んだ」
「そうかわかった、家の中に入らしていただくぞ、構わないな」
「それは構わないけど、家が受け入れるかはわからない」
私は正直に答えた、それでも、イデリアは家へと足を踏み入れたのだ。
そして、一通り回ったのち問題が解消されたと言い残し、帰っていく。
「アリア、私が以前見た時はあんな模様なかった、お手数をおかけした」
そんなことで、ようやく平穏の日常を手に入れたのだ。
「じゃあ、そろそろ買い物行くわよ」
そう言って、私たちは裏口から出ていく。その理由は簡単だ、王族が刻一刻と現れようとしているからである。
それから逃げるには、こうしたほうが手っ取り早い。
そうして逃げてきた私たちは、それを誰かに望まれたかのように行動をしてしまっている気分になる。
「なんだ、これ?」
頭の中身を第三者がかき混ぜているような、感覚に落ちいってしまう。
「二人とも大丈夫か?」
「わたしたちは別に問題ないよ」
これは人間だけを狙った犯行なのか、それとも何か他の狙いがあると言うのだろうか、私は立てなくなってしまう。
その場に、食べたものを吐いてしまった。
「アリア大丈夫か? 結界生成するから待ってろ」
フェクトの慌てた声が微かに聞こえる。これはどんな攻撃だ、それを考えたくても考える所じゃないとおもえる。
それが少し和らいだのは、フェクトの結界が私を包み込んだ瞬間だ。
「少しは楽になった、おそらく犯人は魔法を使ってる、フェクトは探しに行ってくれない?」
「ナズナ、アリアを頼むぞ!」
そう言って、フェクトはどこに飛んで行った。
「アリア大丈夫? とりあえず、家の中に入ろう」
ナズナにお姫様抱っこされながら、私たちは家の中に入る。
気配感知を作動させるが、どこか反応がイマイチだ。何かに無理矢理に干渉され、上手く作動していないのがわかる。
「これ、おそらくダークウィッチーズだ、アイツならやりかねない」
「でも、ここって王都でしょ、そんなことをやってのける連中ではないでしょ?」
「おそらくこれは、魔法会を機能させなくするためのもの」
ナズナは、ハッとした顔になる。ナズナは飛び出したそうにしているのがわかる。
「ナズナ私のことは良いから行ってきなさい、今まともに動けるのはあなたたちだけなの」
ナズナを送り出し、冷や汗が止まらないが今の私でもやれることをやらなければ。
体はとてもだる重く、そう簡単に動かせそうにもない。
「しっかりしなさいアリア、あなたは剣聖なんでしょ!」
なんとか立ち上がるが、血が逆流し、床に吐き出してしまう。
そんな時だ、魔法陣がそれに反応してか、番人魔法が発動する。
「新たな主人様よ、我が力にお任せあれ」
魔法でできた体、だがとても筋肉質をしており、いかにも番人という見た目をしている。
「じゃあお言葉に甘えて命令を出すわ、王都で起きてるこの現状を解決に導きなさい! 私もすぐに行くから」
「命令は聞き受けた、あなたはお強い、すぐにこの状況を打破できるであろう」
そうして番人は、久方ぶりの命令に心昂っているのだろう、とても嬉しそうに家から出るのであった。
「あいつも無茶苦茶なこと言ってくれるわね」
だがなぜだろう、先ほどまで私は動けないと考えさせられていたかもしれないのに、今は違う。
そして、このトラブルはまだ始まったばかりなのであった。
四章に入る前に、間章IF物語があります。どんな内容になるかお楽しみに。
三章もお付き合いいただきありがとうございました。




