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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
第1部-1章 剣聖少女前日譚と旅の始まり

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8話 彼女の正体とダンジョン??


 アリアは、久しぶりのお風呂を最高の形で終えた。

 そこまでは良かった。


「なんで待ち伏せするかな」

 そんな愚痴が漏れる。

 

 どう考えても、脱衣所にいた女性たちが公衆で話したが原因だと推察できる。

 

「まぁ、そんなことをしても無駄なんだけどね。転移」


 気配でわかるため、転移ですぐさま宿の部屋に転移をした。髪を乾かしそのまま眠ってしまうのであった。

 翌朝、目が覚めるとまた包囲されているのがわかる。

 どれだけお礼したいのかと、少々混乱する気持ちを抑えつつ、白湯を飲んだ。

 そして覚悟を決め、外に出た。


「どういったご用件でしょうか? 私、言いましたよね、それ以外の件ならまだ話を聞くぐらいはしたあげますよ」


 自分でも内心驚くレベルで、上からものを言ってしまった。それを顔に出さないように、慎重に応対する。


「この度は、何度も申し訳ございませんでした。剣聖少女様が嫌がっているのをわかっていたのに、なんとお詫びすればいいか」


 彼女、とても反省している様子で誤ってきてた。ただアリアは、違和感を感じていたのだ。

 なんかこの人、仮でやっているような気がする。もっと強そうなのに、演技しているようにも見える。


(脳内から失礼します、あなた冒険者ですよね)


 彼女は、ビクついた様子である。とてもわかりやすくて結構。

 

(どうしてそれを? バレたことがなかったのに)

(魔法を専門とする連中に、隠蔽魔法をかけてもらってる気がしただけだよ)


「お詫びは受け取った、これ以上は付き纏わないでね」

 そう言って、箒を取り出し空に逃げたのであった。


 この国名物の丘の上にあるカフェで、食事をとっている最中新聞を眺めていたらコーヒーを吹き出した。


『剣聖少女アリア、夜の女性を助け付き纏われる』


 絶対いつかつぶすと心に誓うアリアなのであった。


「すみません! アイスクリームお願いします」


 そうしているちに、陽が暑くなってくる。

 春から夏へと切り替わりの時期がやってきているのを、アイスを食べながら感じるアリアなのであった。


……

 カエリアは自分の家で、姉妹の回復術師と話していた。


「どうしてバレたと思う?」

「鑑定じゃないですか? 剣聖様、魔力も凄そうだけど」

「いやそれでも見破られたら、回復術師失格だよサリナちゃん」


 カエリアも、この姉妹も隠蔽は完璧だと思い込んでいたため、今回のことで動揺していた。

 

「とりあえずカエリアは寝なさいよ、ずっと探してたんでしょう」

「そうだけど、不安で眠れないよ」

 

 カエリアは、不安をこぼしていた。それでもなんとか眠ったのであった。


 ……


 アリアは、お昼もあのカフェでご飯を食べ散策していた。

 街は賑わっており、観光客も多くいた。

 そんな中、私はまたつけられている。ただし、素人集団ではない。

 

「魔法を扱える連中か」


 これはまた厄介ごとに巻き込まれそうだと思うが、まだ国をたとうとは思わなかった。

 せっかく数週間滞在すると言ったのに、こんな早く出るのは正直に言ってめんどくさいのである。

 そして追ってきてる二人組は、土地勘があるとわかる。すごく自然に溶け込んでいる。

 観光客とは違った感じが漂う。

 おそらく、このまま路地に入っても挟み撃ちにされるだけだと考える。


(コソコソ付けてきてるあなたたち、用があるなら聞くけど)


 テレパシーに驚いているのが、気配でわかる。自分たちがバレたことで、相当焦った様子なのも窺えた。


(ほんとは、私たちから行こうと思ったけど手間が省けたわ)


 だいぶ、取り繕ってはいるが無駄なことだ。私は、振り返りそうだと確信している相手に近づいていく。


「剣聖様ですよね。単刀直入にお伺いします、どうやってアレを見破ったのでしょうか」


 やはりあの女性関連か。それにしても回復術師とはね。判別方法は簡単である。

 右手首に皮のブレスレットハンドが巻いており、その中央に緑色の石が回復術師、青色なら結界術師、魔術師の回復なら右に緑で左が銀色、結界なら右が青で左が銀である。

 魔法使いは、何も付けない。


「なんかおかしいと思っただけよ。それにしても暑いのによくそんなローブを着てられるわね」

「これは、夏用なんです。だから夏でも快適に使えるんですよ」


 これは、勉強になった。そう思っていると、二人が突然頭を下げてきた。

 それに驚いたのは、私ではない。私の周りにいた人たちだ。

 観光客やらが、よりコソコソと話している。


「ここでは場所が悪いわ。どこか、一目につかない場所がないかしら」


 大人しげな方が、すぐさま転移を発動させたのである。

 場所は、この国のどこかの路地裏にある空き地スペースである。


「さっきのは、また新聞に書かれるかやめて。そして名前は何?」


 二人は、当たり前すぎてかすっかり忘れたようであった。


「私の名前は、サリナよ」

「申し遅れました、エルと申します」


 サリナは、ポニーテールの小柄な女性。エルは、サリナよりは大きいが平均的な、ナチュラルボブの女性である。

 お互い茶髪である。


「さっきのは、どういうつもり? あんな人前で頭を下げられたらただでさえ目立ってんのに、余計目立つんだけど」


 二人は、申し訳なさうにもう一度頭を下げた。先に口を開いたのは、サリナのほうだった。


「お願いがあります、カエリアと一緒にクエストを受けてはいただけないでしょうか?」


 まさかのお誘いで少しびっくりしたが、それはいったんおいておいて、話を聞くことにした。


「カエリアは、借金してるんです、それの返済を手伝ってほしいのです」


 だから、身分を隠してまで夜のお店で働いていたのか。


「カエリアと一緒にダンジョンに潜ってはいただけませんか」

「それはいいけど、彼女はこのことを知らないでしょう」


 どうやら適当で言ったことが、本当だったらしい。少し心配になりつつも提案をしたのだ。


「このことを全て、話して明日ここに会いにきて」


 そう言って私は、後にしたのであった。

 そして翌日、カエリアと二人がやってきたのだ。


「どうかよろしくお願いします」


 カエリアの見た目は、夜のお店でロングの金髪で美しいドレスに身を包んでいたがそれとは正反対だった。

 服は、ボロくなっているが防具はピカピカに磨かれていた。髪は黒髪で、少しばかりボサボサ加減である。


「行こうか、いざダンジョンに!」

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