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第4話*決行、脱獄大作戦

長らくお待たせしましたm(_ _)m

奮闘記第4話です☆


今回は話の9割がギャグとなっておりますw

「………………は?」


 やっとの思いで発したものは随分と間抜けだった。


「だーかーらぁ、ここから出るんだろ!? それとも出たくないわけ??」


 そう言って先程自信満々で脱出宣言をしたスカイが、秋斗に詰め寄った。


「いや、出たいけど……は?どうやって??」


 若干混乱気味の秋斗なのだが無理もない、それほど今目の前にいる青年はとんでも発言をしているのだ。

 秋斗は同意の意を込めて老婆に目を向けたが、当の本人はまだ固まっている。こういう時こそさっきまでの元気はどうした。


「あーー!お前その目は信じてねぇな!! こんなのコレをこうやってだな…!」

 スカイは秋斗に鉄格子の柵を持ち横に開く様を見せた。


「あ~、なるほどね。…ってんな事できる訳――「開いとるぞ」


 秋斗のノリツッコミは、老婆により両断された。

 見事に転ける秋斗。てかいつの間に復活したんだばばぁ。

 ツッコミ所が有りすぎて呆けるばかりの秋斗だった。

 だが物事というは、そう簡単にはいかないものらしい。


「き、貴様ら!」


 先程の見張りが(立ち直り)戻って来たのだ。

 もちろん見張りは囚人達(主にスカイ)の不信な行動に目がいく。そして彼らのとっている行動を、


「何をして…――ってえぇぇーー!!」


 理解した。立派なリアクション付きで。

 その状況に混乱しているも、やはり訓練された兵。持っている槍の先はしっかりと先頭にいるスカイの方へ向けられている。


「今すぐ牢に戻れ!さもなくば――」


 ガンッ


「「…」」


 響く音。

 スカイが躊躇なく見張りに頭突きをかましたのだ。見張りは力なく倒れた。


「さっ、行くぞ!」


 何事もなかったかのようにスカイは先に行ってしまった。

 兜を身に着けている見張りに対して、彼の頭には何もないのはきっと気のせいなのだろう。

 老婆と秋斗の思考がシンクロした瞬間だった。



◇◆◇



 数分、数時間。

 どれくらいの時間が経ったのかは、それについての感覚が鈍っている秋斗達にはわからなかった。

 ただわかるとすれば、牢から出て随分走っている事。そして老婆の「老人を労れ」発言により何故か秋斗が彼女をおぶっている事。


「なぁ、まだ出口には着かないのか?」


「確かにのぅ。そろそろ外の空気を吸いたいものじゃ」


 黙々且つ周りに気遣いながらさ迷う中、心身共に痺れを切らした秋斗は前を行くスカイに尋ねた。


「え?俺出口どこにあるかなんて知らねーけど」


「……………………え?」


 あっけらかんと言うスカイにたっぷり3秒。老婆はまたもや硬直。


「ま、その内着くだろ!…って、どした?」


 どこをどういった過程で彼はこうなってしまったのだろう。

 秋斗途方に暮れる一歩手前、


「さっきからうるせぇんだよてめぇら!」


 3人の中の誰でもない声が訴えた。

 老婆も今の声で硬直が解けたらしい。3人は同時に声のする方を見た。

 その声の先は牢の内側。更に辿る。そこには小太りな男と細身の男、そして大柄な男が――って!


「「「「あ。」」」」


 秋斗と囚人3人の声が見事に重なった。 忘れる筈もない。ここ《・・》に来る原因ともいえるチンピラ3人組だ。


「…って、お前、さっきはよくも!」


 短い沈黙を破ったのは、秋斗の蹴りがクリティカルヒットした男――ブッタだった。


「勇者様、知り合いか…?」


「えっと、…まぁ」


 "知り合い"というような親しみのある関係ではない。かといって、全くの他人という訳でもない。

 そう思った秋斗は老婆の質問に曖昧に答えた。


「つーかなんでてめぇはそっち《・・・》にいんだよ!」


「そうでヤンス!」


 ブッタに続き今度は3人の中のリーダーである大柄な男――兄貴(仮)が声を荒げた。それに同調するのは細身の男――ヤンス。

 一緒に連行された彼らにとっては確かに疑問を持つ点だ。


「んだよ、さっきから聞いてればよぉ…」


 兄貴(仮)の言葉にいち早く反応したのはスカイだった。


「俺らは悪い事なんざ全くしてねーんだよ!だから出る、当然の事だ!」


 いや、お前はしたからな、悪い事。


 すかさず突っ込みを入れた秋斗。(もちろん心中で)そんな中、ふとある考えが頭をよぎる。


 そういや何だかんだでコイツらもこれといって悪い事してないんだよな…。起こしそうにはなったもののあくまで未遂。


 確かに騒ぎを起こしていたのは彼らが原因。だが、だからといってここまでされるのはどうなのだろうか。

 王女がどうとか言っていた気がするが、それでも道理に合わない。


 秋斗がそこまでの思考に至った時には、既にスカイの名を呼んでいた。スカイがキョトンとしながらこちらを見ている。


「……そいつらも出してやってくれないか?」


「「「「は?」」」」


 秋斗以外の声が重なる。

 それを見て秋斗は苦笑。


「何ていうかさ、コイツらも特にここまでされる理由もない訳だし…さ。原因ではあるけどな」


「「「!?」」」


「アキトがいいなら別にいーけd「「「お前!」」」


 スカイの言葉は兄貴(仮)達によって遮られた。

 最後まで言えなかったスカイはむっとした表情になるが、3人はそれに気付く事はなく、秋斗の手をガシッと掴んだ。


「えーっと」


 何事か状況が掴めない秋斗は、3人に若干引きつつも、手は振り払わないでいた。


「お前…、いい奴だな…」


 代表して涙目の兄貴(仮)が言う。

 ブッタとヤンスに至っては、鼻水まで垂らしている。

 感慨深い奴らだ。


「じゃ、開けるぜー」


「おー」


 スカイの合図に秋斗はやる気なさ気に返事した。牢の向こう側の3人は頭に"?"を浮かべている。

 スカイが例の如く鉄格子を開ける。


 3人の目が点になり、固まるのはそれから1秒。老婆がいつまでも固まっている3人に苛立ち、どつくのはその5秒後。同時に早くも3人に興味がなくなり先に行こうとするスカイ(勿論出口など知る筈もない)に秋斗が気付き、止めるのはその2秒後。



◇◆◇



「ん~、やっぱ外の空気はいいな!」


 皆より先に行くスカイは、伸びをしながら雲一つない空を仰ぐ。


 あの後、なんとヤンスが外に出られる抜け道を知っていた。(何故知っていたかはあえて聞かないでおいた)

 いろいろな障害(主に金眼の青年関係)はあったものの、秋斗達は無事脱出に成功したのだ。


「おっと、まだ気は抜けないぜ」


 緊張感を緩ますスカイに兄貴(仮)は待ったを掛けた。


「家に帰るまでが遠足、ってか」


 兄貴(仮)の言動の意図を読み取った秋斗は続ける。


 脱出中、最初は両者ギクシャクしていたものの、その内打ち解けたのだ。


「そういう事だ。そろそろあちらさん《・・・・・》も感づいてる頃だろう」


「ならあたしの家へ行こう。すぐ近くにあるよ」


「それは助かる」


 かくして一行は老婆の案内により、足早に再び歩みを進めたのだった。



◇◆◇



 森に佇む一軒の少し古い家。近くに村があるらしいが、老婆はあえてそこよりも少し外れに建てたらしい。


 チンピラ3人組はその村の者だったらしく、途中で別れた。

 そして今、秋斗、スカイ、老婆の3人はテーブルを囲んでいる。(スカイは成り行きで)


「…で?」


 好奇心を抑える事なく、眼を爛々とさせながら老婆に詰め寄るスカイ。


「そう急かすんじゃないよ」


 老婆は先ほど淹れた紅茶を含みつつ、やんわりと彼を止めた。


「さて、じゃあまずは世界の"異変"について話そう」


「異変…?」


 秋斗の反応に老婆は頷く。


「そう、一番表に表れていると言えば、モンスターの大量発生じゃな」


「モンスター…って…」


 おいおい、モンスターまでいるのかよ。

 確かに俺のいた"世界"とは違う点は沢山あったが……、ここまでとはな…。


「それなら俺も知ってるぜ!」


 スカイが元気よく身を乗り出してきた。彼の傍らに置いてあカップの中の紅茶が大きく揺れる。


「変わった事っていえばそれだけじゃないぜ。確か――」


 バタンッ


 突如開かれた外へと続く扉。それと同時に見覚えのある兜と鎧を纏った兵達が入って来て素早く銃器を構える。


「全員大人しく投降しろ」


 兵達の後から入って来たのは一度見たら忘れられないちょび髭。

 彼は引き摺っていたソレ《・・》を秋斗達にも見えるように上げた。


「この男のようになりたくなかったらな」


「「「!!?」」」 


 秋斗達が絶句するその先には――所々から生々しい血を流している兄貴(仮)がいたのだった。


 ――そう、秋斗達が気付いた時には既にコト《・・》は起こっていた。


 秋斗達が気付くには遅すぎたのだ――。

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