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第2話*夢か現か

お待たせしてすみません;;

やっと2話できました!


感想・指摘・アドバイス気軽にどーぞ!

お待ちしております♪

「―ん、―」


 何故だか頬がくすぐったい。

 まだ半覚醒で脳内がぼーっとしている中、重い瞼をゆっくりと開けた。

 そこには―、


「ニャー」


 黒猫がドアップで秋斗の視界を埋めた。


「ぬをっ!?」


 そこで一気に覚醒。勢いよく体を起こすと同時に、反射的に片方の手を頬にやる。

 秋斗の上にいた猫はというと、秋斗の突然の行動に対し、特に驚いた様子も見せず秋斗の上から下りた。

 頬は少しベトベトと湿っていた。どうやらこの猫が舐めていたようだ。


 なんで猫が…てかさっきの感覚は一体…??いやいやそんな事よりも!


「ここ…どこだ…?」


 秋斗が倒れていた所とは、さっきまでいた住み慣れた空間ではなく、見たこともない裏道のような所だった。


「ニャー」


 かなり混乱している秋斗を呼び戻したのは黒猫だった。

 黒猫は表通りと思われる方向に体を向け、秋斗の様子を窺っていた。

 その姿は――単なる秋斗の考え過ぎなのかもしれないが――秋斗を導いているようだった。


「…お前が案内してくれるのか?」


 黒猫はジッと秋斗を見据える。


 何か手掛かりを掴んだ訳ではない。ただ絶対的な確信が秋斗にはあった。自然と秋斗は立ち上がり、黒猫の方に足を進めていた。

 黒猫はそれに満足したかのように一声鳴き、歩みを進める。


 黒猫を追うこと数分。 いくつ目かの角を曲がると、そこにはいくつもの露店と、賑わった人々の光景が広がった。


「……まじかよ」


 秋斗の視界に入る人々の髪や眼は、見慣れた黒や茶は勿論、赤やら青やら緑やら…色とりどりだった。(←人のこと言えないが)


「俺、知恵熱で幻覚見え始めたかな…」


 ただゲームをしていただけである。


 やや現実逃避がちだった秋斗だったが――、


「止めて下さい!!」


 はっきりとした拒絶の声が耳に飛び込んで来て、一気に現実に引き戻された。

 高さからして、声の主は女性であろう。

 声がした方を見てみれば、大柄な如何にも考えより先に手が出るであろう男、その後ろに細身の男と小太りの男がいた。どうやら大柄な男がリーダー格のようだ。

 それとさっきの声の主と思われる女性が男達に囲まれていた。


「おいおい姉ちゃん、人にぶつかっといて謝罪もなしなのか?」


「だから謝ったじゃないですか!」


 成る程、大体は理解。要するにあのネーチャン絡まれた訳だ。それもかなり質の悪い奴に。

 ……にしても…、


 道行く人々で女性を助けようとする者はいなかった。

 事を横目にそのまま通り過ぎて行く者、お前助けてやれよ・等と呼びかけ結局遠目で見ているだけの者、そもそも始めから気付いていないかの様に通り過ぎて行く者。

 女性も強気で言い返してはいるが、若干声が震えている。


 そんな光景に秋斗は腹が立った。男達には勿論、周りの人々に対してもだ。 普段は面倒臭がりだが、"お年寄りは大切に"等、自分の芯は通す。それが端元秋斗なのだ。

 つまりこの状況も秋斗の芯に反するのである。


「姉ちゃん勘違いしてねぇか?謝るってのはもっとやり方があるだろ?」


「きゃっ」


 大男が女性の腕を無理矢理掴んみ、引き寄せようとした。


「はい、ストップ」


 ――が、秋斗が男の手首を掴み、止めた。

 突如現れた秋斗に周りは唖然としていた。が、女性はすぐに我に返り、男の手から逃れ、秋斗に小さく礼を言った。


「いいから早く行って」


 秋斗の言葉に女性は頭を下げてその場から離れた。

 男達はその一連のやり取りを目を文字通り点にしながら見ていた。

 そしてたっぷり一息。一斉にハッとなり、秋斗を睨みつけた。


「てめぇ、何しやがる」


 凄みを効かせた低い声。だがさっきの間抜けっぷりをしっかり見ていた秋斗にとっては、怖くもなんともなかった。


「さっきの人、嫌がってたじゃん」


「あ゛ぁ!!?」


 手首を掴まれていた男は、手を振り切り、秋斗の胸倉を掴み持ち上げた。


「だから―「待てよ兄貴」


 秋斗は言い返そうとしたが、男の横にいた2人のうち、細身の男によって遮られた。


「こいつの頭」

 細身の男の言葉を、もう1人の小太りの男が繋げた。

 その言葉を聞いて、大男は秋斗の頭――むしろ髪を見、ニヤリと笑った。


「てめぇ、よく見れば"出来損ない"じゃねぇか」


――ブチン


「?兄貴、今変な音――」


メリッ


 そんな音と共に、左頬に痛みを感じたと思ったら、すでに俺は地面とお友達になっていた。((by.最近若干腹回りが気になってきた俺


「ブッタ!!」


 秋斗が小太りの男――ブッタに蹴りを入れたのだ。その蹴りはブッタの左頬にクリティカルヒット。予想している筈もなかったブッタは勿論反応することは出来ず、何の抵抗もなく蹴りを受けたのだった。


 細身の男は見事に倒れたブッタに駆け寄る。

 大男はブッタが倒れた原因――秋斗を更に睨んだ。


「てめぇ……」


秋斗は俯いていたまま、ワナワナと怒りを抑えつける様に震えている。


「アンタさぁ、人には言っていい事と悪い事があるんだよ」


 そう言い、勢いよく顔を上げる。


「そういった何気ない一言がその人を傷つけるんだよ!でもってそれが発展していって差別になるんだよ!!」


 秋斗は昔から例の(・・)体質のおかげで、裏で変な噂やら伝説やら、いろいろ言われて来たのだ。それらは悪口という訳ではないのだが、噂が噂だけに一般人からは軽く引かれ、逆により一層所謂"変わり者"が寄り付いて来たのだ。


「言われた方の気持ち考えた事あるか!?ある事ない事言いやがって!俺に寄り付いて来る奴らが変人なだけであって、俺は至って普通だ!!一般人だ!!!」


 最後の方は私情を挟みつつも、言い切った秋斗は肩を上下させていた。

 聞いていた大男に至っては少し引きつつも、秋斗に少しばかり同情していた。が、今さっきまでの状況を思い出し、拳を作り、振り被った。


「ほざけっ――!」


 秋斗に狙いを定め、振り下ろす。


「――ぐへっ!!」


 短い悲鳴の様な声。


 だがそれは秋斗のものではなかった。

 大男は秋斗めがけて拳を振り下ろしたが、拳はターゲットに当たる前に阻まれた。細身の男が勢いよく秋斗達の方に飛んできたのだ。


「ヤンス!!?」


 大男が――多分細身の男の名前であろう――声をあげる。

 秋斗も予想外の事に少しの戸惑いを見せつつ、ヤンスの飛んできた方向を見た。


 そこにはフルフェイスの兜と鎧を纏った数名の人間と、その一歩前に他とは違い兜をしていないカールのちょび髭の男がいた。

 男は秋斗と大男をそれぞれ見、それから忌々しいといった感じに顔を歪めた。


「貴様らか、騒ぎを起こしていたのは。現在この街にアリアルヴィス・マナ・セルディア姫が来ておられるのを知っての事か!!」


「んなもん知るかよ!!」


 怒りを剥き出しにして、大男はちょび髭に飛びかかっていった。

 ちょび髭の回りにいた鎧はちょび髭を守ろうと一歩前に出ようとしたが、ちょび髭はそれを手で遮る。


「いい」


 それだけ言うと、ちょび髭は迫って来る大男を最低限の動きで足を引っ掛ける様に避けた。大男は言うまでもなく1回転し、仰向けに倒れた。そしてちょび髭は合わせる様に腰にある剣を抜き、大男の鼻先ギリギリの所で剣先を止めた。

 その間数秒足らず。流れる様な動きは、ちょび髭の強さを物語っていた。


「貴様の行動、"死んでもいい"という事だな…?」


「くそったれ…!」


 大男は悪態をつくが、ちょび髭はそれを気にする事もなく剣を構え直す。


「ちょ、ちょっと待てよ、おっさん!!」


 秋斗の何気ない"おっさん"発言にちょび髭はピクリと反応し、剣先を秋斗の方に向ける。その顔にはさっきの歪んだ表情に青筋がプラスされていた。


「私はおっさんではない!!」


 秋斗の発言で周りの鎧達がひそひそと話しているが、ちょび髭の鋭い睨みによって話を止め気を引き締める。

 ちょび髭は再び秋斗を睨んだ。


「…貴様、よく見れば"混濁種"か」


「は?何言って――」


 ――鈍い音。

 秋斗の言葉は最後まで続かなかった。後頭部をいつの間にか背後に回っていた鎧の1人に、鈍器の様なもので殴られたのだ。


 秋斗の視界はそのままシャットダウンした。


 秋斗が倒れたのを見てちょび髭はフンと鼻を鳴らす。


「混濁種風情が…!」


 秋斗を殴った鎧がちょび髭の下まで行き敬礼した。


「大佐、どうなさいますか?」


「こいつら全員牢にでもぶち込んでおけ。処置はその後でもよかろう」


『はっ!!』


 ちょび髭の言葉にその場にいた鎧全員が敬礼した。

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