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プロローグ

「あ~あぁ、 どうしよう」


就職活動に失敗した愛波アキは、大学卒業後も何をするでもなく引きこもっていた。

このままではいけない。

そうわかっていても何もせずに1日を過ごしてしまう。

こんなことをしていてはダメだ。

そうわかっていても結局1日何もせずに過ごしてしまう。

そんな日々を過ごしていたある日のこと。


「……ん?」


何気なくつけたテレビに映ったのはとある企業の広告だった。

『VTuberオーディションエントリー受付中!専属VTuber募集!』

その言葉がやけに耳に入ってきた。


「Vtuber……」


興味本位で調べてみたら、そこには様々な姿かたちをしたキャラクターが動画投稿サイトの中で楽し気に活動していた。

その中でも一際目を引いたのが猫耳をつけた少女のキャラクター。


「この子かわいいな」


そのキャラクターは歌を歌いながら踊っているのだが、それがとてもかわいかったのだ。

しかし、それと同時にアキには一つの不安があった。

それは……。

「私って人前で話すの苦手だし、そもそもコミュ障だから面接とか無理だろうなぁ……」


とまあ、自信がなかったのだ。

だが、同時にこうも思っていた。

(でも、もし受かれば私の人生が大きく変わるかもしれない)

それから数日後、アキは再びあの企業のCMを見かけた。

相変わらずのかわいさに自然と笑みを浮かべたその時だった。

『あなたもこのチャンスを掴みませんか?』

まるで心の声が聞こえていたかのようにそんなテロップが表示された。

それを見た瞬間、アキの心は大きく揺らいだ。

自分が変われるかもしれないという期待と不安が入り混じった複雑な感情が渦巻いた。

そして、気が付けば彼女は応募ボタンに触れていた。


その後、無事に書類審査を通過し、二次選考に進んだ彼女だったがそこで大きな問題に直面した。

一次選考を通過した時点で顔出しをするかどうか選択することができるらしく、多くの応募者たちは顔出しをして配信を行っていたらしい。

だが、生憎とアキはそういったことに抵抗があったため顔を出さずに面接を行うことにした。だが、問題はそれだけではなかった。

実は、アキは極度のコミュ障であり、大勢の人間の前で何かを話すということが大の苦手であった。

そのため、いざ本番となった時まともに話せるのか心配になっていた。

それでも何とかなるだろうと自分に言い聞かせて面接に挑んだ。

しかし、結果は散々なものになった。

緊張して上手く喋ることができず、質問にもうまく答えられず、挙句の果てには声が小さいと言われてしまった。

その結果を受けてアキは落ち込んでいた。

(やっぱり私はダメなんだ……)

自分の情けない姿を思い浮かべてしまい、自己嫌悪に陥っていた。

こうして、夢への第一歩を踏み出したはずの彼女の人生は大きな曲がり角に差し掛かってしまったのである。



あれから数か月後……

未だにニートを続けているアキであったが、最近になってある変化が起き始めていた。

きっかけは1本の電話だった。


「合格です」


挨拶の後に告げられたその言葉を聞いて最初は理解できなかった。

何度も聞き返してしまったほどだ。

だけど、何度聞いてもその言葉が変わることはなかった。

ついに念願のVtuberデビューが決まったのだ! それもただのVtuberではない! なんと、あの憧れのVTuberのいる事務所所属のVTuberとしてデビューすることになったのだ!!

これはもう運命といっても過言ではないだろう。

これを機に自分も人気者になれるのではないか? そう思ったらいても立ってもいられなかった。

早速マネージャーさんに、これからのことを相談した。



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