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第8話  夏休み明けの給食には異物が混入している。

 やっと家、着いた!

そう思いながら、マンションの自室に飛び込んだ。


星見ながら、高校時代思い返してる場合じゃなかった!


 夜ご飯はコンビニで買ってきた。食べよう。

そう思いながらビニール袋の中を覗き、弁当をチンする。


 「チーン!」

と言う電子音で、僕は弁当を取りに立ち上がり、席に着くと、割り箸を割って手を合わせた。


「いただきます!」

ん〜、うまっ!


コンビニ弁当、神かも。

最近レベル、上がりすぎ。


ってか、うまくない弁当なんてほとんど巡り合わないよなぁ。

大抵の弁当はハイクオリティだし、僕そんなに好き嫌い激しくないから。



………いや、あったぞ。


高校の時だね。


夏休み明け一ヶ月後ぐらいじゃなかったっけ。

異物混入が多すぎて、給食が全部弁当になったのって。







 うちの高校の給食は、美味しいことで有名だった。

校内にある給食室で毎回手作りされている給食目当てに入学した者もいるとかいないとか。


………だけど、ある日から、その給食がおかしくなった。


納豆にネギを混ぜたメニューに木の破片が入っていたり、給食の入っている入れ物を開けた途端、虫が入ってたり。

そのたんびにクラスが大騒ぎになって、異物が入っていたクラスから職員室へ電話、そこから校内放送で、

「□−□クラスの〇〇に△△が入っていました。食べるのをやめてください。」

と言う放送が、一週間に何度流れたことか。


それが一、二ヶ月ぐらい続いて、とうとう給食が停止。

そして、不味い弁当生活が始まった。


 なまじ、美味しい給食を食べていただけあって、舌が肥えてしまっていたらしい。

「ご飯が硬い!」

だの、

「なにこの卵焼き、本当に卵?」

だの、

「たくあん以外食べられたもんじゃないわ!」

だの、

「なにこれ、肉硬い!」

などの文句が続出。


特にひどかったのは、ししゃもの南蛮漬け。

めっちゃくちゃ酸っぱくて、ししゃもの良さが消し飛んでいた。

ってかあれ、本当にししゃもだったのだろうか。


全然美味しくなくて、クラスの大半がお腹をすかせた状態で帰っていった。


 帰りにコンビニに寄って、おにぎりやらチキンやら買って帰るのが当たり前になるほどだった。


 どんな物でも基本食べられる味覚の持ち主、津姫(つき)先輩でさえも、白米を食べて終了、というレベル。


 結局、そんな状態が二、三ヶ月続いたっけ。

僕、確か体重三、四キロ落ちた。


 ようやく給食が再開すると、みんなが天国に行ったような顔をして食べてたっけ。

「やっぱ、うちの学校の給食最高!」

「もう二度とあの弁当は食べたくないわぁ。」

「同じししゃもの南蛮漬けでも、天と地ほどの差があるんだなぁ。」

「おい、このご飯の柔らかさ最高!」

「あ、ツナマヨコーンサラダ、あの弁当にも入ってたよなぁ。味は全然ちがうけどっ!」

などなど、給食を褒め称える言葉が、給食再開後二週間ほど、全クラスに響いていた。








 まぁあれが、いい勉強になったよね。

この世界には、こんなまずい弁当もあるんだよ、っていう、勉強に。


「ん〜、美味しい!」

あの弁当のこと考えてたら、このコンビニ弁当が異常に美味しく感じてきた。


ま、実際美味しいんだけどさぁ。

固すぎず柔らかすぎない白米、上に乗った黒ゴマ、程よく酸っぱい梅干し、美味しく焼かれた日本製の鮭、しっかりと漬け込まれたたくあん。


一瞬で食べ終わってしまうと、今度は買ってきたスイーツに手を伸ばした。


いちごソースの入ったロールケーキ。

めっちゃ甘くて、めっちゃふわふわで、生クリームが舌に心地よい。


ん〜、スイーツ、神!

僕は男子だけど、女子と一緒でスイーツも好きなんだ。

だから、男子はスイーツあんまり得意じゃないっていう偏見はやめて欲しい。


 高校の時、バテバテ津姫先輩とまわった夏祭りでも、りんご飴二つ食べたし。

綿菓子も好きだし、フィナンシェも好きだし、ラングドシャも好きだし、シュークリームも好きだし、台湾カステラも好きだし、クレープも好きだし、ミルフィーユも好きだし、カタラーナアイスブリュレも好きだし………


ともかく、僕はスイーツが大好きだ!

でも食べすぎると太るから、太らないようにちゃんと運動してる。



 それから、また袋の中を漁り、今度はカステラを取り出した。

長崎のカステラだ、ちゃんとした。


「ん〜、ふわふわ。」

成人した大人が、マンションの一室で一人カステラを味わい、声を出す。

ちょっと引かれそう。


でも、それだけ美味しいんだもん!

ふわふわで、甘くて、下のザラメもガリガリで歯ごたえがあって、人間を太らせるための食べ物だ。


ううん、人間はなんてものを作り出してしまったんだろう。

愚かな。

自分から自らを不健康にするものを作り出すなんて!



ふわふわ。


うまうま。



 ………カステラ、かぁ。

津姫(つき)先輩にもらったなぁ。

いつだっけ?


………あ、思い出した。

紅葉狩りだ紅葉狩り。


うちの学校の秋の恒例行事。

紅葉を見に行って、持参したお菓子やお弁当を食べる遠足。


全校生徒一斉に出かけて、めっちゃ人が多かった。

毛虫とかでめっちゃ大騒ぎしたりして……いい場所は、すぐに取られちゃったっけ。


でも、すごく綺麗だったなぁ。


少し肌寒くなって、紅葉が真っ赤に色づき始めた秋の頃だった。

読んでくださってありがとうございます!

今回と次の話は奏視点です。


話によっての長さの差が激しい!

そして締め切りがやばい!

ので、構成をちょっと変えました。


多分、支障ありません。

というわけで、これからもこのシリーズをよろしくお願いします。

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