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第6話  螢を見る会のおかしな流しそうめん

 (はるか)ちゃんと電話で高校最後の夏休みの話をしていると、(ほたる)を見る会の話になった。


(ほたる)を見る会というのは、私や(はるか)ちゃん、優斗(ゆうと)が住んでいる地区の町内会が考案したイベントで、夜ご飯に流しそうめんを食べてから、川辺に(ほたる)を見に行く行事。


なんだけど。


 「でもさぁ、あの流しそうめんなんなんだろうねぇ。」

「本当ですよね。そりゃ、流す台もちゃんと竹でしたし、そうめんだって美味しかったですけどねぇ。」


じゃあ、何が問題だったのか。

「缶詰のフルーツが流れてくるのは、ねぇ。」


そう、(はるか)ちゃんの言う通り、その流しそうめんの普通で無い点は、缶詰のフルーツや、タピオカが流れてくる点。


え、それ、つゆつけて食べるの?ってかんじで、みんな戸惑ってた。

タピオカ単体、フルーツ単体だったら美味しいけど、しょっぱいものと合わせるとどうなんだか。


 でもさぁ、タピオカって、箸で掴みにくいでしょ?

つるん、って逃げちゃってさ。

だから、掴もうとする男子が出てきたわけ。


(みなみ)先輩、めっちゃ必死にタピオカ追っかけてましたよね。」


そう、優斗(ゆうと)を筆頭に、大人気のない男子たちがタピオカを取ろうと必死になっていたのだ。

私たち女子は、何やってんの、こいつら、という冷めた目をしていたと思うけど。


掴めた優斗(ゆうと)や隣の家の田中(たなか)くんとかは半分勇者みたいになってた。

あれ、楽しいんかね。


「あ、でも、缶詰フルーツはそんなにまずくなかったよね。」

と、私が思いついたように言うと、

津姫(つき)先輩、よく食べる気になりましたよね、あれ。」

(はるか)ちゃんは呆れたような声を出した。


「私、パイナップル好きだから。」

いやまぁ、自分でも、いくら好きだと言ったってよく食べる気になったなとは思うけどさ。


黄桃(おうとう)も食べてましたよね。」

「あれ、気づいてたの?」

黄桃(おうとう)も好きだから、いけるかなと思ったんだよね。


「はい。そりゃあ、隣で食べてましたから。」

黄桃(おうとう)はあんまり美味しくなかったなぁ。パイナップルは、まぁまぁ。」

「私も、津姫(つき)先輩の真似してパイナップル食べてみましたけど、あんまり美味しいと思えませんでした。」

「そりゃあ、味覚の差ってやつだよ。」

私が笑って言うと、(はるか)ちゃんは少し吹き出して、


「そんなら、津姫(つき)先輩の味覚がおかしいんですね。」

と言った。


「ちょ、(はるか)ちゃん、ひどい!」

「だって津姫(つき)先輩、大抵なんでも食べちゃうじゃないですか。」

「そうだけどさぁ。」

言い方考えてよ、と言いたくなった。


「結局あれ、(ほたる)に集中してる子いた?」

「え〜、ほとんどいなかったのでは?」


そう、みんなが流しそうめんに夢中になって、真の目的である(ほたる)を見る会はみんな、どうでもよくなってしまっていたのだ。


 「でも、私はちゃんと見たよぉ。」

「はい、わたしも見ました。綺麗でしたよね。」

キラキラ光って飛び回る(ほたる)

東京などの都会で見る、どんなイルミネーションよりも綺麗だった。


「ねぇ。キラキラ光って、後、結構いっぱいいた。」

「はい。上京してから、(ほたる)を見る機会なんて無くなっちゃいましたからね。」

「ねぇ。そうよね。帰ってる暇もないし。」

本当は一月に一回くらいのペースで帰りたいけど、全然時間がない。


「あ、じゃあさ、うちら上京したもん同士、東京あるある言ってこうよ。」

「いいですね、それ。」

珍しく(はるか)ちゃんが乗ってきたので、嬉しくなる。


「じゃ、リズムに合わせて言ってみよー!

 『パンパン』めっちゃ人が多い!」

「『パンパン』流行りのものがいっぱい。」

「『パンパン』ブランドとかいっぱいある!」

「『パンパン』安いものも多い。」

「『パンパン』めっちゃカラフルなデザートとかある!」

「『パンパン』ハチ公前は多分待ち合わせに向かない。」

   ・

   ・

   ・

  などなど


「後、なんかある?」

「もうないんじゃないですか?ほとんど言い尽くしました。」

「だねぇ。

 あれ、そういえば(はるか)ちゃん、今どこ?」

「アァ、会社ですけど。」

「え、ごめん!もう帰らなきゃだよね?」

「まぁ。でも津姫(つき)先輩が電話かけてきたので。」

「ごめん、本当にごめん!」


見えてないのに、必死に頭を下げると、近くを歩いていたサラリーマンが私をみて気味悪そうな顔をした。


「それじゃあ、もう電話やめたほうがいいよね?ごめんね、おやすみ。」

「お休みなさい、津姫(つき)先輩。」


 電話を切ると、私は顔をあげた。

もう、住んでいるマンションの前に立っていた。


(はるか)ちゃんと話してると、時間が立つのが早いねぇ。もう、着いちゃった。」


そう呟くと、近代的なガラスの自動ドアを通り抜けて、エレベーターに乗り込んだ。


優斗(ゆうと)、もう帰ってるかなぁ。」

と言って。

読んでくださってありがとうございました!


今回は、一人が語るスタイルというよりも、二人が会話で喋ってくれる、って感じになってましたか?

私はそれ狙ったんですけど、できてない気もする、っていう感じです。


次はえ〜っと、夏休み明け?の話になります。


今まで名前だけ出ていたあの人が主役?っていうか語手です。


ではまた次の話でお会いしましょう!




追伸 東京あるあるはただの自分の想像です。

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