第3話 生徒会の七夕祭り
七夕祭り、懐かしいなぁ。
一年生たちと親睦を深めるために、ぜひってお願いしたんだ。
生徒会のみんなが、一緒に頭下げてくれてね。
それでようやく、先生方も許してくれたんだ。
その代わり、準備は全部生徒会。
あれは大変だったぁ。
短冊とか笹とか、そういうのの準備は全部うちら。
流石に食べ物までは気が回らないから、そういうのは個人で買って来てね、♡ってポスターには書いたなぁ。
七夕当日もすごく忙しかったけど、その前一週間くらいがかなりきつかった。
計画を綿密に立て、笹を準備し、短冊を切り、かろうじて飲み物は用意し、生徒たちが羽目を外しすぎないためのルールを決めたしおりの量産、などなど、仕事はたくさんあった。
当日は、ルールブックを配ったにも関わらず、生徒会メンバーが一堂に会することができないくらいに忙しかった。
「津姫会長、次こっちお願いします!机が足りなくって!」
それぐらい自分でやってよ、って叫びかけちゃったっけ。
「わかった、今行く!」
文化祭と同じくらいの騒ぎになるとは思わなかった。
何にも言ってないのに、各クラスがなぜだか演し物をやり始めて。
劇とか、お化け屋敷とか、当日になっても生徒会に内緒でやってるクラスもあれば、当日にちゃんと言ってくれるクラスもあれば。
私たち、突然のことで慌てちゃって。
後日、後輩の奏くんに聞いたところ、七夕祭りなんて始めての試み?だったから、みんなはりきっちゃったらしく、文化祭よりクオリティは劣るけど、各々が小物を作ったりして演し物をしてた。
みんなすごく楽しそうで、生徒会としては嬉しかった。
でも、代わりに。
生徒会は大混乱になったの。
だって、考えても見てよ。
当日、急にお化け屋敷の看板が教室の扉にかかっていたり、体育館で劇をやり始めたり。
先生たちは生徒会に内緒で知っていたらしく、対処できるようにしていたけど、知らされていなかった生徒会の身にもなって、って叫びかけた。
ま、かくいう感じで、私たちは息つく暇もないくらいに走り回された。
「ちょっとそこ、なんで備品使ってるの!ちゃんと申請してからにしてください!」
「あ、その飲み物、ちゃんとチェック入れてから持って行ってください!」
「短冊大量にもっていかないでください!その場で書いてください!一人三枚までですよっ!」
最終的に声が枯れて、七夕祭りの最期、ようやく一息ついて生徒会が集まると、みんなが労いあった。
「優斗、物運びに手伝わされて大変そうだったねぇ。お疲れ様。」
「そう言う津姫こそ、対応で大変だったでしょ。」
「ううん。そういえば杏利ちゃん、先生たちに言われて写真とったり、ホームページに載せる記事作ったり、他のクラスから渡された書類さばくのとか、大変じゃなかった?」
「いいやぁ、私より、一香ちゃんの方が大変だったでしょ。だって、どこのクラスがなんの行事をしているか、見回って書いてを繰り返してたんでしょ?」
「アァ、まぁね。でもさ、喜綺ちゃんは、出費の計算とか生徒会費&予算の何割使ったかとか、先生への報告書とか書いてたんでしょ?あたしにゃ無理だわぁ。」
なんて感じで、おしゃべりしながら葡萄ジュースを飲んでいた。
終わった時にはクタクタで、後片付けはあしたやろうと約束した。
んだけど。
次の日、私たちはたくさんの書類やお叱りの言葉の渦にまみれていた。
教頭先生から、
「生徒会の皆さんが、責任持って管理するっておっしゃったから許可したんですよ。
でも当日、結構生徒会の皆さん大慌てで、ルールを守らないものもいましたよね?」
と言われ、その前で私たちは正座していた。
「ま、でも。」
と言い、教頭先生はほおを緩めた。
「みんな楽しんでいたみたいですから、よしとしますか。
後片付け、頑張ってくださいね。」
「ありがとうございます!」
と、説教は早く済んだものの、片付けは早く終わるほど楽なものではなかった。
結局放課後には、私たちは生徒会の大きな机で突っ伏していた。
「か、帰ろう。もうそろそろ暗くなるから。」
と私が言うまで、私以外はみんな眠っていた。
「わかりました、会長。」
みんなは大アクビをしながら、足をふらつかせながら帰って行った。
大丈夫かな、と思った途端、一香ちゃんが派手にこけた。
あれのおかげで、いまの残業にもそんな疲れないのかもしれないなぁ。
その点では、良かったのかも………しれない。
ってか、教頭先生は、「みんな楽しんでた。」って言ってくれたけど、本当にそうだったのかな?
私の後の後の生徒会長の遙ちゃんに聞いてみよっかな?
それか、北山くんとかに。
読んでくださってありがとうございます!
締め切りまじかで泣きそうです。
それでも日々頑張ってます。
と言うことで、次の話もよろしくお願いします!