危険人物
皆さん、これは忠告よと最後に言い捨てルージュは去っていきました。
何が何だか私には分かりませんが、唯一分かったのは
私とシャロンの中身が入れ替わったこと。
ルージュがイアン様と幸せになりたいこと。
あの晩に出会った少年はイアン様で、ここにシャロンが入学することになったのは、監視目的のためだということ。
これに関しては理由を知れて良かったですが、話さなければ私は知ることはなかったはずなのではと思ってしまいます。
いえ、もしかしたら私にそういう立場にあるのだと自覚させるためにおっしゃったのかもしれませんね。
ルージュとの会話を総合的に考えてみますと、私でなければルージュはよく分からないことを言う警戒すべき人物と思われていたということでしょう。
考えてもみてください。
突然話があると言われ、空き教室に呼ばれて何を話すかと思えばいきなり貴女は誰と聞かれるのです。
まず、そこがおかしいところです。
私が誰だか分かっていて呼び出したのはそちらでしょうと大抵であれば思われることでしょう。
私の場合は特殊なので、何故そう問われたのか何となく理由があると分かりますが。
突然自分が経験してきた事柄をペラペラと話始めたことについてもですが、普通の人物であればまるで自分のことをストーカーしていたかのように話されたら警戒されますし、普通は初めて会った人にそんなことされたら恐怖です。
人によっては部屋から出てこなくなる可能性だって十分考えられるのです。
『ゲーム』やら『主人公』、『プレイヤー』と聞き慣れない言葉も、警戒心を高めるポイントとなってしまいますね。
そういえば私はルージュの中身が誰であるか分かりましたが、ルージュには私が誰なのか答えませんでしたね。
あまり気にもしてなさそうだったので、これは良しとしましょうか。
スンリンも心配していることでしょうから、早く寮へと帰りましょう。