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ルージュ・グランディオ

皆さん、スンリンが無事到着しました。

これで寂しい思いをしなくて良くなりそうです。

同時にそれは明日入学式を向かえることを指すのです。

その場にもしかしたら以前の私が居たりするのでしょうか。

それとも居ないのでしょうか。

以前の私は寮に住んでいなかったので、それを確認する方法が現時点ではありません。

これはもう明日確認するしかありませんね。

気持ちが高まって眠れなそうですが、明日のためだと思い込み瞳を閉じました。


翌日、過去に着ていた制服と同じ制服を見に纏い鏡の前に立ちました。

以前はくるくると巻いたようなピンク色の髪だったのが、今ではオレンジがかったストレートヘアです。

目だって目力のあるばっちり二重ではなく、左右差のある二重な上にタレ目です。

何もかもが異なり、本当に別人になってしまったのだと鏡を見る度に思ってしまいます。



「シャロン?もう出ないと間に合わないかもよ」



「は、はい!」



こうして鏡を見ていても仕方ありません。

もう行くしかありませんね。

洗面を終わらせ、スンリンと共に部屋を出て校舎へと向かえば、何やら門の方で人だかりが出来ておりました。

あれはもしかして王子様が到着されたのでしょうか。

だとすると近くに私がいる可能性があります。

そう思って中心部に視線を向ければ金色に輝く髪が見えました。

あれは確実に王子であられます、イアン・スゥエイド御本人ですね。

処刑を言い渡されて以来です、お見掛けしましたのは。

あの金髪に碧色の瞳。

整った顔立ちに何もかもが綺麗な骨格。

誰もが目を引く存在で、彼の周りにはいつも女性が近寄っていたのです。

それをひたすらに排除していたのですが、この世界はどうでしょうか。



「ま、待ってください!イアン様!」



すたすたと校舎に向かうイアン様を追いかけてきたのは、ピンク髪を靡かせた1人の女性。



「一緒に行きましょうと言ったではありませんか!」



大きな声をあげながらイアン様の手を触ろうとして、避けられているのは以前の私そのものでございました。

ただ、私とは異なりイアン様に馴れ馴れしく話しかけているようですし手も触ろうとしているようです。

私はただ側にいて近寄ってきた女性をひたすら攻撃していましたが、イアン様に気安く声をかけたり況してや触れようとなどしたことは一度としてありませんでした。

いくら婚約者と言えど、相手は王族ですし、おいそれと触れて良いようなお方ではないことを理解していたからです。

それを当たり前のようにされているなんて、以前の私とは異なっているように思えます。

まるで、今の私のように以前の私の中に異なる誰かが入っているか、昔の出来事が変わりそれが通用するような関係となったのかどちらかでしょうか。

もし後者だった場合ですが、おかしな点がございます。

それはイアン様の態度です。

その態度が通用するのであれば返事は返すでしょうし、避けたりしないと思います。

イアン様の全てが分かるわけではありませんが、基本的に返事は返すような人でしたし、今のような不機嫌そうなお顔は女性に向けているのは見かけたことがないからです。

処刑を言い渡したときは流石に怒り狂い、今にも私を殺そうとしていた顔をされておりましたが、今はそこまでではありませんが機嫌がわるそうですね。



「うるさい。婚約者だか何だか知らないが俺の周りを彷徨くな」



冷たい一言にそれを見ていた学生たちは見て見ぬふりをし始め、校舎へとぞろぞろと向かい始めました。

言われた以前の私の姿をした人物は泣きそうになっておりました。

自分のあんな顔始めて見ましたが、何だか変な感覚です。



「酷いです…イアン様…」



このままではイアン様が悪者になってしまいます。

どうにかしたいところですが、ここで私がでしゃばるわけには。



「シャロン?行くよ」



制服の袖をスンリンに引っ張られ、私は2人のことが気になりながらも校舎の中へと入ることとなりました。

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