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007「ぶぅちゃん」

 結局日曜日はグダグダに終わってしまった。


 アリスのコスプレ衣裳を買って帰ったもんだから、コアちゃんが拗ねてしまったのだ。


『どうせ私より生身のアリスの方が良いですよね。おっぱい大きいですし』


 こんな調子だったから機嫌を治すのに苦労した。

 なんせ相手は自分の心を読めるのだ。

 口だけで褒めたってバレてしまうので難儀な事よ。


 最終的には、


(コアちゃんが生身になったら間違いなくコアちゃんの方がタイプ。お姉さん系にお世話されるのが夢だった)


 なんてゲスな事を考えていたら機嫌を治してくれた。

 時に欲望とは、役に立つものだと実感した今日この頃。


 そんなこんなで日曜日の休日を終えた俺は、月曜日の憂鬱さと共に出勤し、そつなく業務をこなして定時退社で帰宅した。


「ただいま~」

『お帰りなさいマスター。お風呂沸かしといたよ♪』

「あ、ありがとう……」


 彼女面が凄いコアちゃん。

 昨日溜めといた水を沸かしておいてくれたみたいだ。


 そのままお風呂へ直行し汗を流したら、風呂上がりにキンキンに冷えたビールをグビグビ飲み干した。


「くぅぅぅぅっっ!! このために生きてきたまであるな!」

『お疲れ様ですマスター。そんなマスターにご報告があります』


「お、どうした?」

『数時間前にアリスが魔物を連れて帰還。現在はダンジョンの外で待機させています』


「マジか!? それで、どんな魔物だった!?」

『……』


 な、何故に無言?

 なに、そんなヤバい魔物連れてきたの!?


「と、とりあえず見てくるわ!」


 アリスが連れて来た魔物を確かめるため、押し入れの入り口に置いたスニーカーに履き替え、ダンジョンの外へと向かう。


 夕暮れで薄暗くなった森に二つの影。

 一つはピンクの髪をした使い魔アリス。

 岩に座り、足をプラプラさせて待っていた。


 そしてもう一つの影は、アリスの二倍以上も大きくて太い。地べたに体育座りをして、大人しく待っている。


「お、おかえり……」


 恐る恐る声をかけると、二つの影が同時にこちらを向いた。


「マスター! ただいまです! 連れて来ましたよ魔物ちゃん!」

「ああ、そうみたいだな……」


「紹介します……はぐれオークの"ぶぅちゃん"です!」

「ぶぅー!」


 夕焼けに向かい高らかに鳴くピンク色の巨体。


 ぶうちゃんなんて可愛らしい名前だが、重そうな鎧を着込み大きな斧を持った姿はかなり迫力がある。


 うわっ……異世界転生とか転移してる奴って、こんなのと戦ってんの? むりむり。俺には絶対無理だわ。


「よ、宜しくなぶぅちゃん。俺はダンジョンマスターの護だ……」

「ぶぅぶぅ!」

「こちらこそ宜しくお願いします! こんなみすぼらしいオークの私を拾ってくれて感謝のしようもありません。命を賭けてマスターのダンジョンを守らせて頂きます。って、言ってます!」


 ええぇぇ……今のでそんな長い挨拶してたの?

 それが本当なら、凄い低姿勢で良い奴だな。


「と、とりあえず腹減ったろ! 飯食わせてやるよ」

「わーい! ぶぅちゃんご飯食べさせてくれるって!」

「ぶぶぶぶぅっ!」


 すんごい嬉しそう。

 しかもさっきの挨拶より長めに鳴いたよな。


「ぶぅちゃんなんだって?」

「私のようなものに食事を頂けるとは身に余る光栄。こんなに素晴らしいお方の元で役に立てる幸運を噛みしめて、是非ともご馳走になろうと思います。って、言ってます!」


 うん。ぶぅちゃんめっちゃ良い奴やん。

 こんな良い子どこで拾って来たんだ?

 まあ、そのへんは食事の時に聞く事にしよう。


 一人と一体を連れてダンジョンに入り俺の家を目指す。

 五分の散歩。あっという間です。これから広く長くして、なるべくダンジョンを育てていかないと……。


 じゃないと、俺の平和が乱されてしまう。家に魔物や探索者が来て、外に出てしまうなんて事になったら目も当てられない。


 その前に、出来るだけ防衛対策をしておこう。その点で言うと、強そうなぶぅちゃんを仲間に出来たのは大きいな。


 なんて事を考えていたら押し入れまで到着。

 そこでとある事に気づいた。


「お前ら臭いな!!」

「え? 私ですかぁ?」

「ぶぅ?」


 獣臭というかなんというか。

 この状態で家に入れるのは抵抗がある……。


「お前らちょっとここで待ってろ」


 アリスとぶぅちゃんを押し入れの前に待機させ、一先ず俺だけ部屋に入っていく。


「なあコアちゃん。アリスが連れてきた魔物のぶぅちゃんを洗いたいんだが、何か良い案ないか? さすがにあの巨体じゃ俺ん家の風呂は入れなそうだし……」

『それなら、100DPでダンジョンに泉を設置しますか? 更に100DPでお湯に出来ますよ』


 なんだと!? それは、温泉という事!?


『そうとも言いますねDPを使ってしまうのは勿体ないですが、この世界の衛生観念を持っているマスターなら、設置した方が良いかと』

「だな……汚い体で部屋に入られるのは勘弁だわ」


『では、DPを使用するメニューを、マスターのスマホにインストールしておいたので確認して下さい』

「おお、マジか!」


 さっそくスマホを確認してみると、知らぬまに『マスターとコアちゃんの愉快なダンジョン』という名のアプリが追加されていた。


 タップしてアプリを開くと、現在のDPやダンジョンのマップ。それにDPで選択出来る数々のメニュー表が並んでいた。


「装飾品の泉ってやつを選択すれば良いの?」

『そうです。タップすると通常の泉か温水を選べます』


 コアちゃんの言う通り、泉をタップすると通常の泉か温水か選択する項目が出てきた。温水を選択し、設置しますかの問いに『はい』をタップ。


 すると、押し入れダンジョンからアリスとぶぅちゃんにの驚く声が聞こえてきた。


 よし。これでぶうちゃんを温泉に入れて洗ってやれば家にも入れてやれる。ぶぅちゃんを洗っている間に、一応女の子であるアリスは、家の風呂に入って貰おう。


 その後は、アリスにコスプレ衣裳を着せてぶうちゃんと一緒に撮影会だ!


 セクシーな女の子と奇妙な魔物の姿。

 これでバズり間違いなしだな!

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