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004「プランABC」

 ダンジョンに足を踏み入れると、岩肌のゴツゴツした感触が伝わってくる。一応スリッパ履いてきたが、ちゃんとしたスニーカーじゃないと危ないな。


 壁沿いに取り付けられた松明。これは元々の装飾品らしく、永久的に燃え続けているそうだ。


 そんな松明を頼りにダンジョンを二十メートルほど進むと、階段が出現した。俺がいるのは二階層目。つまり最深部である。


 この最深部が部屋と繋がり、有り難くない事に俺の部屋まで最深部扱いだ。


「ここを上がると一階だろ?」

「そうです! 行きましょうマスター!」


 アリスと共に階段を登り、一階へと上がる。一階はなんて事ないストレートが続く、道幅三メートルほどの道だった。


「おー、外は本当に森なんだ」

「そうです! 魔物も人もいない秘境です!」


 ダンジョンの外に広がる光景は、今の所ただの森にしか映らない。これが異世界! という光景でも見れるかと思ったんだがな。


 さて、ダンジョンの全貌も確認したし家に帰るか。

 正味五分ほどのお散歩。うん。


「短いっ!! このダンジョン短いよ!!」

「ど、どうしたんですかマスター!?」


「いや、もうちょっと長いかと思ったの! 五分で俺の部屋までたどり着かれちゃ、う○こも落ち着いて出来ないよ!」

「落ち着いて下さいマスター! ダンジョンなら拡げれば良いじゃないですか!」


 なにドヤ顔で言ってんだ……。


「んな事分かってる! 肝心のDPが少ないから拡げられないの!」

「あ~!」


「あ~! じゃねえわ! お前使い魔だよな?」

「そうです! 私は使い魔のアリスです!」


「じゃあさ、俺の部屋に誰か入って来ようとしたら全力で防げよ?」

「それはお断りします! だって危ないから!」


「清々しい断りっぷりだなおい……分かった分かった。とりあえず作戦立てるのに一旦帰るぞ」

「はーい!」


 おいおい……こいつ"使"い魔のクセに使えねえじゃん。


 《上手い事言いますねマスター。座布団一枚》


 お、コアちゃんの声だ。


(なあ、コアちゃん。一体どこで覚えたのそんな言葉?)


 《たった今、マスターのスマホでこの世界について調べていたんです。ファ○チキ食べたい……》


(脳内に訴えかけるな! しかもそれネットのネタじゃねえか……一体なに調べてんだよ! あ、てか、俺のスマホをどうやって開いてんだよ!?)


 《コアちゃんを舐めないで下さい。遠隔操作でバッチリです。因みに、電化製品も遠隔で動かせるので『コアちゃん。テレビ付けて』など言って頂ければ、リモコン要らずで操作出来ますよ》


(すげえぇ……まるでアレ○サじゃん!)


 《そんなビッチと一緒にしないで下さい。あいつは誰でも認証するヤリマンです。私はマスターだけ。二度と一緒にしないで頂きたい》


(アレ○サの事めっちゃ嫌らってんじゃん……なに、アレ○サに親でも殺されたんか?)


 あれ? コアちゃんから返事が来ない。


 《マスターの検索履歴『ポー○ハブ 巨乳』なるほど、巨乳がお好きなのですね。会社の上司にメールしときます》


「それだけはやめてぇっっ!! 来週から会社行けなくなっちゃうから! もう二度とアレ○サの話題はだ出さないと誓います!!」


 《分かれば宜しい》


 なんとかコアちゃんから許しを貰い通信を終了。


 危なかった。危うくお喋り上司から聞かされた同僚達に『おっ○ぱいの品質管理でも目指してるんか?』なんて、巨乳弄りされる所だった。


「ただいま~」

「ただいまです~」


 五分の道を戻り無事に部屋へと帰宅。


「さてさて、今回のダンジョン"監査"の結果……このダンジョンはもの凄く短いと分かった。それこそ鼻くそほじりながらでも突破出来るユルユルダンジョンだ」

「ユルユルですユルユル!」


『アリス。少し黙って』

「はい……」


 コアちゃんは相変わらずアリスに手厳しいな……。

 シュンとしちゃって、ちょっと可哀想だ。


 《心配いりません。アリスは頭がユルユルなので》

(念話で悪口事言わないの。これじゃイジメみたいだろ。イジメだめ絶対)

 《失礼致しました。善処いたします》


「勿論、アリスにもダンジョンの防衛を手伝って貰うから宜しくな!」

「はいっ! マスターのために頑張ります!」


 アリスの元気が戻った所で、とりあえず暫定的に考えたプランを発表する事にした。


「とりあえずプランAとBを考えたから、どっちが良いか会議しよう」


 そう言いながら『プシュッ』と、キンキンに冷えた缶ビールのプルタブを開け、渇いた喉へと流し込む。


「かあーっ! 仕事終わりの一杯は堪らんぜよ!」


 プシュッ。


「かあ~っ! ホントですね!」

「つまみはスーパーのアジフライとコロッケだ!」


「わあ~! 美味しそうです!」

「だろ? これがビールと絶妙に合うんだよな~」


「ほんふぉでふぅ! 美味しい!」

「口に合って良かったよ~! って!! なんでお前が飲んでんだよ!! お前は山ほど飲んだだろ!」


「それでマスター。プランとはなんでしょうか」

「真面目なフリしても遅いわ! はぁっ、まあ良いか……プランAは、このままDPが貯まるまで待つ。Bは今のDPで出来る対策を講じてしまう。この二択だ」


 半年で八割だとすると、一ヶ月で一割~二割の確率で何かがこのダンジョンへとやって来るという事だ。


 低い確率に賭け、DPを地道に貯める。それとも今のDPでとりあえずの罠や魔物を配置して、突破率を少しでも下げておくか。


「どっちが良いと思う? コアちゃん」

『どちらもリスクは同じですね。それなら、プランCをオススメします』


「プランC? どんなのだ?」

『使い魔であるアリスは、魔物と会話する能力を持っています。そのアリスをダンジョン外の森に使わせ、魔物を仲間にしてくるのです。そうすれば、DPの消費無しに魔物を設置したと同じです』


「それ良いな! てか、アリスにそんな能力があったとはっ!! 見直したぞ!」

「でへへっ、ありがとうです~!」


 という訳で、さっそくアリスを森へ使わせる事に。一応武器は持っていけという事で、台所にあった出刃包丁を持たした。


 さて、どんな結果になるか。

 どんな魔物を連れてくるのか少し楽しみ。


 なんせ、異世界と繋がっているという実感が未だに薄いのだ。魔物の姿でも見ればさすがに実感するだろう。


 とか思っていた自分を殴りたい。

 俺は忘れていた。

 アリスちゃんは、頭ユルユルの使い魔だと言う事を――

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