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僕の義妹はハーフエルフ  作者: K
第1章
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第3話 平凡な毎日


今日は6月24日の土曜日の朝。曇天の天気、少し湿気のある空気。


洗顔をすませたユミリアは自身の部屋に戻る。スマホで時間を確認し、ユミリアの好きな俳優やアイドルのSNSをみて少しみて学校のジャージ に着替える。ジャージ 姿を鏡で確認するとある違和感に気づく。


「そういえば、もうテニス部引退したんだっけ。ってことは土曜日の朝練もないのかあ。なんか変な感じ。」


ジャージ を着たまま、そのままベッドに再び潜り込む。ベッドで思いっきり腕と足を伸ばしながら、


「もう土曜日も朝早く起きなくていいんだあー 」


再びユミリアは眠りにつく。再び目を覚まし、リビングへと向かうと家にはユミリア以外誰もいなかった。優也は土曜日でも午前中から大学の講義と午後からバイトで1日いない。日曜日はサークルや友達との遊びでいない。叔母のお由美子は祝日は出かけている為不在だ。そうこの時、この瞬間、家にはユミリア1人だけの特別な空間へと変わるのだ。この週末の1人だけの空間をどう過ごすのか思い悩んだ。


時刻はまだ午前9時。


録画にためているドラマや番組を一気見するか、兄の最近買ったVRゲームをプレイするか、好きなためている動画配信者の動画を一気見するか。ユミリアはまず最初にたまりに溜まった学園ものドラマを見始める、だが2話ぐらい視聴したあたりで飽きてしまう。ドラマの内容は幼なじみの学生同士の恋愛ストーリーだがユミリアが見た回は彼氏の学生が成績が足りなくて彼女と同じ大学に行けないという内容だった。そして次の回は彼が成績を上げるために猛勉強する内容だった。恐らく、ユミリアは勉強しろとドラマに促されている気がして途中で見るのを辞めたのだろう。


次にユミリアは兄のVRゲームをプレイする。もちろん優也からも許可をもらっている。VRのカメラを頭に装着すると優也がプレイ中の画面だった。このゲームの内容はまたしてもさっきのドラマと同じ学園ものだった。場面は主人公の家に年上の女子大学生が家庭教師としてやってくるところだった。女子大生は主人公の部屋に入り主人公と2人きりの空間になる。一応ゲームではあるが目の前のノートを触れると問題が現れる。問題の内容はちょうどユミリアが勉強している範囲だった。4、5問解き終わったあたりでVRのゲームをやめる。ゲームの中でも勉強するのはもちろんだが、何よりも問題を問いている最中に女子大生が不必要に胸の谷間を見せてきたり、更に連続で正解すると女子大生が頭をなでてくるのが嫌だった。


VRのゲームを終了し、カメラを外す。時計を見ると時刻はお昼前だ。リビングの戸棚からカップ麺を取り出し、お湯を沸かす。お湯が沸いている間に動画配信者の動画を見て待つ。途中でお湯が沸き、カップの中に注ぐ。動画の内容はドッキリやクイズ系の動画ばかりだった。カップ麺を食べながら動画を見続ける。一番新しい動画が再生される。内容はこれまでのドッキリやクイズ系の動画ではなく配信者の学生時代の頃についてだった。この動画の配信者は勉強について語り出す。学生時代の成績は気にしておいた方がいいこと、そして勉強はいつになっても続けること。


この動画に心を動かされたのかユミリアはカップ麺を片付け、自室に戻り勉強を始める。実はおよそ2週間後に前期期末試験控えている。今までは授業の予習復習だけでテストで結果を出せていたが、中三になると先生たちも試験の内容を難しくする傾向がある。前回のテストも今までとは違い少し難しかった。


====================================


3週間後、期末試験も無事に終わり、学年順位も3番目をとることができた。テストが終わると夏休みに入る。しかし今年は受験で周りの友達とはあまり遊びに行けない。


夏休み1日目を迎えたユミリアはリビングで勉強している。兄の優也がバイトから帰ってきた。


「ただいま、ユミリア! おっ、ちゃんと勉強してるんだな。」


兄の顔を一度だけ確認し、ユミリアはそのまま黙って勉強を続ける。


「ユミリア、さっきコンビニでアイス買ってきたから、食べていいぞ。」


何かを察した優也はにアイスを冷凍庫に入れてからすぐさま彼の部屋に戻る。


ユミリアはきりのいいところで数学の問題集を終わらせ、優也の買ってきたバニラアイスを食べながら少し休憩をする。


実はここ最近、優也とあまり会話をしていない。だからといってお互い仲が悪い関係ではない。ユミリアはハーフエルフとはいっても人間の子供同様に思春期はある。だが、ユミリアは叔母の由美子にあまり心配をかけたくないので無視したり口を聞いたりするような反抗的な態度はとらない。だが、何故か兄の優也にだけ反抗的な態度をとってしまう。


アイスを食べながらユミリアは心の中で兄に対してまた反抗的な態度をとってしまったと後悔している。彼女は何故兄だけに対して反抗的な態度をとってしまうのか疑問に思う。


自分の部屋に戻った優也はまたユミリアに無視されていたことに傷ついていた。だが、本人もユミリアが思春期なのを分かっている。優也の母は、優也が物心着く前に乳がんで他界した。そんな優也の頼りだったのが父、広祐だった。優也も自身が思春期だった頃は父親にかなりの苦労をかけた。だがそれは信頼している父親にしか取れなかった態度であり、ユミリアも優也を信頼しているからこそ優也にだけ反抗的な態度をとってしまう。


優也はベッドに横たわり、


「ユミリアも思春期かあ。俺も父さんに結構迷惑かけたなあ。いや待てよ、あんな可愛い年頃の娘ほったらかしで何1人でアメリカに住んでんだ? 」


独り言を呟き、怒りの矛先は父親へと向かう。


「あー。父さん思春期の娘ほったらかしていいのかよ。誰がユミリアを支えるんだよ。」


「つーかあ、ユミリアも両親いないのも大変だな。」


優也は大きく息をつき、


「つまり俺がユミリアの親代わりか?まあ、今まで1人っ子だったツケが回ってきたのか? とにかく俺が兄としてできることをすればいいんだな! でも周りからシスコン認定されないように気をつけよ。」


夏休みに入ってからユミリアは個別塾に通い始め、優也はバイト、友達と飲みにいく日々が続く。


そんな中、ユミリアは夏休み最終日を迎える。


夏休み最後の日曜日、ユミリアは相変わらずリビングで勉強している。週末は出かけている由美子もこの日は家にいた。由美子はアイスコーヒーをテーブルに置き、


「由莉奈ちゃん、今日夏休み最後の日なんでしょ? ずーっと勉強ばかりしてて疲れないの? 」


ユミリアは問ている英語の問題集を止め、


「夏休みでも、今年は高校受験だし。それに遊びに行きたくても周りの友達も塾とかで忙しいし。」


「でも、たまには息抜きぐらいした方がいいでしょ。今日地元の夏祭りあるから友達誘って遊べばいいのに。」


ユミリアは今までの夏休みを思い返す。中一、中二の頃は部活の朝練や昼練で友達の家で花火をした思い出が蘇る。それに比べて今年は友達と遊ばないで勉強だけをして過ごしてきただけ。ユミリアはスマホを手に取り、駄目元で今日の夏祭りに誘う。

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