表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

1 あなたはどこに行きたいの?

 悪い子供たち


 登場人物


 新田さん ずっと影の中に隠れたままの人 原さんの友達


 原さん(原千代) きちんと大人になれた人 二十六歳 職業 小学校の先生


 プロローグ

 

 私は夢の中で、……懐かしい君と出会う。


(ねえ、帰ろう。……あの、懐かしい、すごく優しかった場所にさ)


 本編


 あなたはどこに行きたいの?

 どうして私から、離れていくの?

 あなたは、いったい誰なの?

 ……なんで、あなたは、そんなに楽しそうに笑えるの?


 笑いながら、……ときどき、泣きながら 


 午後の時間


 ゆっくりと、お休みなさい。


 ……ある日、私は懐かしい人の夢を見ていた。


 なんの予定もない、穏やかな晴れた日の午後の時間。

 大地の上には、優しい風が吹いている。

 太陽は光り輝いていて、白い雲はゆっくりと青色の空の中を動いている。草や花が、優しい風に吹かれて、まるで歌でも歌うように、楽しそうに揺れている。

 私はそんな穏やかな、ゆっくりと流れる時間の中にいる。

 白い長椅子の上に寝そべって、本を読みながら、そんな風景をじっと、一人で眺めている。

 幸せな時間。

 本当にすごく、幸せな時間だ。(それは、私がずっと求めていた時間だった)


 そんな幸せな時間の中で、私は不思議な夢を見た。

 その不思議な夢の中で私は、『悪い子供たち』と出会った。


 その夢の始まりは、私がとても深い、真っ暗な穴の中に落っこちるところから始まった。


「きゃぁぁぁー!!」


 原千代は、突然、大きな真っ暗闇の中にある深い穴の中に落っこちて、落下している間、そんな大きな悲鳴をあげた。


 ……やばい。死んじゃう。私、このままだと、本当に死んじゃう。


 その落下の速度と、時間と(それくらい深い、つまり高いところから落っこちたということだった)、重力と加速度を感じで、原千代はこのまま自分が地面のそこにぶつかったら、絶対に死んでしまうと思った。


 実際に、現実の世界の話であれば、千代は、確かにこの深い穴のそこにそのまま自由落下をしたら、その命はまず、助からなかっただろう。(奇跡が起これば別だけど)


 しかし、千代は穴の底の地面にぶつかったとき、「痛い!!」と思わず言葉に出すほど、痛い思いをそのお尻に受けたのだけど、決して命を落としたり、あるいはとても大きな怪我をすることはなかった。


 なぜならこの世界は、現実の世界の話ではなくて、ぐっすりと気持ちよく眠っている千代が見ている、彼女の夢の世界、あるいは、彼女の『心の奥深くにある世界』の話だったからだ。(夢を見ている主体である千代が、この世界で命を落とす危険性はなかった)


 千代は自分が落下の衝撃で命を落とさなかったことで、この世界の出来事が自分が見ている夢の世界の話なのだと、気がついた。(あるいは、思い出した)


「もー、なんなのよ、いったい」と千代は大きなお尻を手で抑えながら、そんな文句を誰にいうでもなく、言った。(いうとすれば、こんな夢を見ている自分自身ということになるからだ)


 ……くすくす。


 とそんな子供の笑い声が聞こえてきたのはそんなときだった。

 その子供の笑い声を聞いて、千代はすぐにその子供が小学生の高学年くらいの年齢の子供の笑い声であるとわかった。

 なぜなら、千代は、普段小学校で教師をしている、それくらいの年齢の子供たちと、とても近い場所にいる大人だったからだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ