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008 (☆☆☆☆☆)コント:底無し

「底無し沼は深いのか」


  行ってみた


意外とぬるい もう少しお湯を入れるべきではないだろうか

これでは底無し沼の中で寝てしまうではないか 溺れたら大変だ

絶対 お酒を飲んでから入ってはいけないな

ゆっくりゆっくり落ちる僕は思う ズブズブとズブズブと

もう大分落ちたのだろうか なんせズブズブしているのでわからない

落ちる速度は多分 体感よりも遅いだろう

まだ士農工商でいうとこの工だろう 食物連鎖のピラミッドでいうとこの魚だろう

いや十分か これだけ落ちれば十分か うん そうだ いや 本当に十分なのか

体感だけではなく 脳内も狂わせる 底無し沼は何故こんなにズブズブしているのか

ここまでズブズブしているとあまり良くない 誰も喜ばないであろう

片栗粉の入れすぎではないか これでは中華職人になれない

料理長に食べ物で遊ぶなと怒られる程度じゃ済まないだろうし

下手したら減給である そのことをわかっているのだろうか この底無し沼を作った職人は

僕が料理長なら厳しく破門だ いや それだけじゃない

根回しして 知り合いの寿司屋でも 雇わないようにしてやる それ程の罪だ

片栗粉をなめるな 片栗粉をなめるな 片栗粉をなめるな

片栗粉をなめると 舌にぷるんぷるんのコーティングをされてしまい 味覚が悪くなるぞ

僕が口を酸っぱくして 舌をサラサラにして 言っていた事だとわかっているよな

オマエなんか破門だ よし 根回ししに行かなければ


  行ってみた


「寿司屋のおやっさん アイツを雇わないでくれ」

何をキョトンとしている アイツのことだよ アイツのこと

僕が料理長をしている中華料理屋の若いやつさ

アイツが片栗粉の無駄遣いをしやがって 底無し沼をバカにしやがって

本当にダメなやつで 破門してやったから雇わないでくれ アイツの性格だ

片栗粉だけでなく シャリも無駄遣いしやがるだろう

シャリを握りすぎるに違いない シャリをもてあそぶだろう

アイツの農産物への思いは行動にすぐ表れるんだ 大切にする気が見えない

わかったな おやっさん 頼むよ 本当

あういうやつが料理人になっちゃいけんのよ 本当

食べ物を粗末にするような 食べ物が服に付いたらすぐ払ってしまうような

料理人と食べ物は一心同体という感覚が足りなすぎる

服に付いたら子のように扱い 後で食べろ

士農工商の農の厳しさを 一から知らしめてやらないといかんのだよ

アイツに カタクリシャリカタクリシャリ リリリーリーだ

アイツのためにもいい農家を紹介しないとダメだな


  行ってみた


「アイツを雇ってください」

そんなキョトンの繰り返しは望んでいない やるならもっと別の反応を

片栗粉とシャリを無駄遣いするアイツに 農業の大変さを

汗血を流し 築き上げて作った物を売られる悲しさを

教えたやらないと 僕の気が狂ってしまうんです

どうか アイツに片栗粉かシャリを作らせてやってください

片栗粉かシャリ つまり 粉か粒でいいんです どうかアイツに どうかアイツに

いくら破門したとはいえ アイツの腕は買っているんです

あっ アイツには今のセリフ 言わないで下さいね

アイツには一人前の中華沼職人になって欲しい親心です

早く適度の片栗粉を覚えて欲しい一身です

お願いします お願いしまーす お願いしまーーす


  その後 僕はその場で3年寝た その後 底無し沼へ行った


底無し沼はサラサラになっていた

これだ 中華にもサラサラ料理は必要だ ついに片栗粉がわかったか 嬉しい

僕は底へ向かった いつ到達するかわからないが サラサラと サラサラと

料理長は深みを究む

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