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はつこい (1)  作者: 26
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とある恋愛事情について

彼女との出会いは中一で、ちょうど桜が散り始めた頃だったー。


彼女との出会いはそれなりに良かったものだろう。

部活内で初めて知り合った彼女は、気さくに声をかけてくれた。

お互いの名前と名前を交換しあう。

それは友達になるための儀式のようなものに感じられた。


一年の頃はそれなりの仲であった。

私の所属していた部活は合唱部であったので、コンクールにも出場していた。

いつも通りの練習。

それなりに部活に慣れた頃、先輩方の提案により一人1パートを歌うというのがあった。

私は緊張しすぎて上手く歌えなかった。

一年だからこんなものだろう、と思っていたが彼女は違っていた。

自分にとても自信をもち、力強い歌声だった。

無論、同じ学年で同じ練習をしてきたはずなのに。

ただただ尊敬した。


そんなこんなであっという間に一年すぎ二年になった。


この頃からだろうか、彼女と一緒にストレッチ(二人一組)をする仲になった。

彼女からの申し出であったので、少し優越感に浸りながら「いいよ〜」と返事した。

何故自分だったのかは気にならなかった。



彼女は寂しがりやなのか、ただ構ってほしいだけなのかは分からなかったが時々、抱きしめてくることがあった。

最初は物凄く驚いた。

友達という存在から抱きつかれるなんて考えてもみなかったのだ。

無論、小学生の時はそんなことなかったわけで。

そんなこんなで、最初はただ抱きつかれていただけだった。

その内、自分も抱きしめてみようかなと思い始めた。

彼女は暖かかった。

とても、安心感があった。

それが今の私たちの関係を表しているようだった。


その頃から私は彼女を意識し始めた。


始めは、気のせいだと思った。

相手は女子で、自分も女子。

今の時代そんなこと世の中で許されないと思っていた。

自分も普通に男の人と恋に落ちて、結婚したり子供作りをするものだと思っていた。

しかし、私の場合そうではなかったようだ。

どうやら神にちょっとしたいたずら心を仕掛けられ、しっかりと自分からはまってしまったらしい。

それからは、彼女を特に意識し目で追ったり、ちょっと近寄ってみたり…。

今思い出しても恥ずかしことだと思う。


月日は過ぎ、二年目のコンクールに出場した。

結果は、去年よりも遥かに上回った。

けれど、それでも悲しくて泣いてしまった。

釣られ泣きというやつだ。

彼女は凄く泣き虫なのだろうか。

一番泣いていたような気もする。

それだけ、思入れが深いのだろう。

そんな、彼女を横目に見ながら、来年は自分達が最後の番なんだなと改めて思い知らされた。


先輩方の卒業式も終わりようやく落ち着いた頃、卒部式が行われた。

主役の先輩方とはこれが最後なのか、と思いながらその日が終わった。

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