15.どこか異質な村人①
酒場からの帰路の途中、村の子供達がこちらへと走ってきた。
人数は3人で、全員が男の子のようだ。
年の頃は、ミアと同じくらいかもしれない。
俺と同じくらいの年齢になってしまうと家の畑や家事の手伝いに回されることも多いため、毎日遊んでいるというわけにはいかない。
少年達の中でも一番体型が良い少年が俺に話しかけてくる。
彼の名前は名前はメイソンだ。
「おっす、セカイ。今日も買い物か?」
ゴズさんと同じように買い物と予測を付けているあたりで分かるだろうが、俺はこの村で完全に父さん達の使いっぱしりだと認識されているようだ。
まあ、あながち間違いでもないんだけれども。
「ああ、そうだよ。メイソン達は何して遊んでいるんだ?」
「今からゴブリンごっこをしようと思って、一緒に遊ぶ奴らを探しているんだよ。セカイも一緒にやるか?」
ゴブリンごっことは、ゴブリン役が兵士役を捕まえて一か所に集め、ゴブリン側が制限時間内に兵士を全員捕らえきったらゴブリン側の勝ちとなり、捕えきれなければ兵士側の勝ちと言う遊びだ。因みに、兵士側は捕らえられた兵士に触れることで捕らえられた兵士を自由にすることができる。
この世界では一般的な子供の遊びらしい。恐らく、ゴブリンという魔物の恐ろしさを子供に分かりやすく伝えるために作られた遊びなのだと思う。
「いや、俺はお使いの帰りだから、また今度な」
メイソンにそう言いながら、俺はミアの手を引っ張ってその場を立ち去ろうとする。
「そっか~。って待ってくれよセカイ。その子誰?」
メイソンはようやくミアの存在に気が付いたようで、物珍し気にまじまじとその姿を眺めている。
ミアは見られることにあまり慣れていないようで、なんだか居心地が悪そうだ。
そんなミアの姿を眺めてメイソンと他の少年2人は段々と顔が赤くなっていった。
「ああ、ミアだよ。お母さんやお父さんから話は聞いたことないかな?」
俺の言葉に、メイソンは思い当たる節があったようである。
「ああ! ジーク様とシンシア様の子供か! 俺と同じ頃に生まれたって母ちゃんが言ってた!」
メイソンの声に少年二人も同調する。
「そう言えばそんな話もあったな」
「話には聞いてたけど、まさかこんなに可愛いなんて……」
「なあ、お使いなんてセカイに任せて俺達と遊ぼうぜ!」
メイソンはそう言って俺と繋いでいる手の反対側の手を掴み、遊びに誘う。
「いや! やめて!」
ミアは反射的にメイソンの手を振り払う。
いきなりで驚いたとは言え今のは良くないかもしれない。
案の定、メイソンはムキになってしまう。
「な、なんだよ! せっかく遊びに誘ってやったのに! お使いなんかよりずっと楽しいぜ!?」
ミアとメイソンの会話の一連の流れを聞いて、それまであまりこちらに注意を払っていなかった村人達が一斉に俺達を振り向いていた。
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