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05.白の山の霊獣

翌日。

アルフィンへの手土産の準備が終わったのを見計らったようなタイミングでジェラルド様は現れた。

「彼も同行させるが良いか?」

後ろに立った、昨日も一緒だった騎士を示す。

「はい」

「殿下の護衛を務めるディオン・ブレーズです」

正直ジェラルド様と二人きりは気まずかったので第三者がいるのは有難い。

ディオンさんは見るからに真面目そうな人だな。


「それは?」

ジェラルド様は私が手にしている、瓶を入れた袋に目を留めた。

「手土産のハーブ酒です」

森で採れる植物を漬け込んだ自家製だよ。このレシピを完成させるのに五十年かかった自信作だよ。

「霊獣は酒を飲むのか?」

「飲みますよ。このハーブ酒はアルフィンの好物なんです」

「…君は霊獣と親しいのか?」

あれ、言っていなかったっけ。

「ええ。もう長いつきあいです。会うのは二十年振りくらいになりますが」

そう、〝この姿〟で会うのは初めてなのよね…彼が余計な事を言わないかちょっと不安だけど。

一応昨夜アルフィンには今日の訪問と目的を手紙にして魔法で送った時に念押ししておいたんだけど。アイツ気が利かない所があるからなあ。



「それでは行きましょうか」

外に出ると私は手にした杖を二人に見せた。

「霊獣の山へは魔法で移動します。移動魔法のご経験は?」

「いや。そもそも王宮にそのような魔法を使える者はいないはずだ」

ジェラルド様が確認するように振り返るとディオンさんが頷いた。

そうなのか。便利なのに。

昔私が王宮へ出入りしていた頃は何人かいたはずだけれど…。最近人間の使う魔法のレベルが下がってきているという噂は本当なのかな。

時代は変わるんだなあ、と思わずしみじみしそうになる。

「では魔法陣を描きますので、ここから動かないで下さいね」

私は杖を振り上げると呪文を唱え始めた。


私の声に呼応するように、三人の足元に金色の輪が現れた。

徐々に輪の中に模様が現れていく。

やがて完成した魔法陣から光の柱が立ち上り、その光が消えると私達は尖った岩が多くそびえ立つ山の中にいた。


「これは…すごいな」

感心したようにジェラルド様が周囲を見回す。

「どこへでも行かれるのか」

「一度行った場所か、詳しい位置が分かる所ならば行かれます」

「そうなのか…」

見回すジェラルド様の動きが止まるとその視線が鋭くなった。



真っ白な毛皮を持った一頭の大きな獣が立っていた。

静かな光をたたえた真っ赤な二つの瞳がこちらをじっと見つめている。

「久しぶりね、アルフィン」

私は一歩前に進んだ。

「久しぶりだな…アデル?」

「…フローラよ」

あ、今の名前を教えるの忘れていた。

背中に何か言いたそうなジェラルド様の視線を感じる…。

「そうかフローラか。お前はコロコロ名前が変わるな」

「仕方ないじゃない」

私は背後の二人を振り返った。

「こちらがシャルロット王女の兄君、ジェラルド殿下と従者のディオン様よ。…殿下、この白の山の霊獣アルフィンです」

「初めてお目にかかる、義兄上」

あ、ジェラルド様が露骨に不快な顔になったわ。

「———私はまだ妹をお前に嫁がせると認めてはいないからな」

「そうか、それは残念だ」

わあ、空気が痛い…。


「アルフィン…家に案内してくれる?」

ディオンさんが縋るような目線を送ってきたので私はアルフィンに声をかけた。

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