表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
義兄妹LOVE入門編  作者: はるやこやな
3/15

幼馴染と密談中




 昼下がり――

 無事に高校の入学式を終えた私は、小学校からの長い付き合いである、同級生たち3人とともに、ハンバーガーショップにきていた。


「……そういうわけで昨日は実況投稿できなくて、今朝早起きしてUPしちゃった」

 4人掛けのテーブルに着きながら昨日の出来事を報告すると、向かいの席に座った春奈(はるな)が呆れた様子を見せた。

「相変わらず過保護だねー、あやん家の人たちは。朝に1回(せき)しただけで"今日は外出せずにずっと寝てなさい"なんて。今日は大丈夫だったの?」

 そう。昨日私がコソコソと実況を撮っていたのは、私の体調を(おもんぱか)るばかり、すっかり過保護になってしまった家族に見つからないためだった。

 心配はいらないと再三いっても、昨日の兄のように、両親までもが過保護で、私が安静にしていないと騒ぎ出すため、おちおち趣味の実況動画も撮れやしない。私を思いやって心配してくれているのはわかるけれど、正直、心配されすぎるのにも疲れていた。

「今日は大丈夫だった……っていうか、うっかり咳しないように気を張るのが一番疲れるよ。もう……」

 ドリンクのストローに口をつけながらいうと、春奈の隣に座った丸助(まるすけ)がワハハと大声で笑う。

「まあいいじゃねーか、無事動画は上げれたんだし。俺もさっそく見たぜ。初の全殺しオメ!」

「ありがとー」

 親指を立てて称賛をくれるのは嬉しいけれど、今朝上げたばかりの動画をいつ見たんだろうか。いつも遅刻ギリギリの丸助が早起きして見たとは考え難い。たぶん、入学式のあとのHRの最中にこっそり見たなと予想する。

「それよりさーあやー」

 春奈の顔つきがにやけ顔に変わる。それだけで彼女が何の話をしたいのかよくわかった。

「お義兄(にい)さんとはどうなってんのよぉー? ちょっとは進展あったぁ?」

 やっぱりだ。ここにいる春奈をはじめ、あとの2人も、私と私の兄が血の繋がらない兄妹であることを知っている。

 それだけではなく、私が義兄に特別な感情を抱いていることも。

「ないよなんにも。相変わらずスルーされてばっか」

「えぇー? でもぉ……」

 私の気持ちは、十分すぎるほど伝えてあるはずだ。にもかかわらず、兄は私がどんなに好き好きアピールをしても、いつも大人の対応で(かわ)してくる。私のことなんて、まるっきり子ども扱い。

 そんな兄の態度を思い出してそっけなく返事をすると、春奈の笑みが深まった。嫌な予感。

「でもキスはしたんでしょ?」

 げほおっ! と、丸助が、フライドポテトを食べた直後にむせる。私もかなり慌てた。

「ちょっと! バラさないでよ春奈!」

「いいじゃん、別に。私ら4人の間に、隠し事はナシでしょ」

「キ、キ、キス……? あやが? そんなバカな……」

 男子の前で、人の秘密を勝手にバラしておきながら、まったく悪びれる様子のない春奈と、やたら取り乱す丸助。

 気になって隣に座っている、もう1人の男子を見てみると、彼は会話の内容にまったく興味がなさそうに窓の外を見ていた。あぁこれは、聞こえているのに、あえて無視する気だな。関わり合いたくないと思っているに違いない。

「白状しなさい、あや! お兄さんに"好きだよ、あや……"っていわれて、キスされたんでしょ!?」

「ちょ……っ!」

 キラキラというか、ギラギラといった様子で身を乗り出す春奈は、もう止まってくれなさそうだ。丸助にいたっては、石化したかのように固まってしまった。

 これ以上騒がれるのも嫌だし、もう洗いざらい話すしかなさそうだ。

「……ま、まぁ……たしかに、したよ? でもそれはお兄ちゃんが酔っ払ってた時で……」

「バカね! 酔ってる時だからこその本音でしょ? なんだかんだいって、両想いだってわかってるから、あんたも余裕あるんでしょう?」

「うっ……うーん……」

 無遠慮すぎる春奈に、なんでもいいから反論したい気持ちが湧いてくるが、実際、何もいい返せなかった。

 それは、すべてが彼女のいうとおりだから、なのかもしれない。


 私は、ほんの数日前にもあった出来事を思い返す――


幼馴染の友情っていいよね☆

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ