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義兄妹LOVE入門編  作者: はるやこやな
2/15

大人な義兄にアピール中




 兄に、実況動画の投稿を妨害された翌朝――

 今日はいよいよ高校の入学式だ。


 私はいつもより早起きをして、新品のブレザーの制服を身に着けた。

 そして私室の隣の、兄の部屋へといき、そのドアをゆっくりと開けた。

「お兄ちゃーん? おはよー……」

「ん? なんだあや。早いな。具合は大丈夫なのか?」

 部屋を覗くと、清一はちょうど今起きたところのようで、ベッドの上で上半身だけを起こしている。

 私は部屋に入って、兄のもとに歩み寄った。

「だから具合は悪くないって。それより見てよ。制服可愛い?」

 軽く腕を広げてみせると、兄の視線が、頭のてっぺんからつま先までゆっくりと移動する。自分で見せておいてなんだけど、それだけでドキドキした。

 しかし、可愛いよ、といわれるのを当然期待していたのに、清一はふっ、と軽く笑うだけだ。

「な、なに? なんか変?」

 不安になって鏡を探すけれど、清一の部屋に鏡は見当たらない。

 キョロキョロしていると、兄の優しい手が、頭にポンっと乗っかった。

「可愛いよ。でもなんていうか……まだ初々しいな。制服が浮いてる感じがする」

「えぇー……」

 クックッと笑い続ける兄はそのまま立ち上がって、部屋を出ようとする。子ども扱いされたようで悔しくなった私は、兄のシャツの裾を引っ張って、彼を引き留めた。

「お兄ちゃん……」

 そして兄の肩に手を置いて、背伸びをする。

「んっ……」

 ゆっくりと目を閉じて、兄に顔を近づける。

 すると、唇に柔らかい感触のものが当たった…………が、それは兄の唇ではなく、人差し指だった。

「……こーら、あや。お兄ちゃんにすることじゃないだろ」

「むぅ……」

 拗ねたように唇を尖らせると、そのまま人差し指と親指でつままれる。

「ふっ。鳥みたいだぞ、あや」

「もーっ!」

 怒って兄の腕を振り払うと、清一は気にした風もなく、そのまま部屋を出ていってしまった。

「……ばかぁ」


 ――私は兄に恋をしている。

 普通の兄妹ならおかしいのはわかるけど、私と兄の清一は両親の再婚によって兄妹になった義兄妹だ。

 単純かもしれないけど、初めて兄に会った4年前、私は10歳も年の離れた彼に一目惚れをした。

 それ以来、今のような、かなり積極的なアピールをしているにもかかわらず、兄は私を受け入れてはくれない。何度スキだといっても、キスをしようとしても、大人の対応でスルーされてしまう。

「なんでよぉ……」

 今朝もまた、子ども扱いだけされて、終わってしまった。

 彼に私の気持ちが届く日は来るのだろうか。




「お兄ちゃん、好き」

「はいはい。ありがとな。俺も好きだよ」

「違うの。好きなの」

「だから、俺もだよ?」

「だから違うの。LOVEなの。私は」

「わかったから、あんまりくっつかないで、あや」

「なんで?」

「だってほら……親の前だし」

 兄の部屋で失敗したLOVEアピールを、朝食の席でも当てつけのように続行していると、ダイニングテーブルの向かいに座っていた両親が、私たちを微笑ましそうに見ていた。

「ははっ! いいんだよ、私たちのことは気にせず続けてくれて。清一も、あんまりあやを拒絶するんじゃない。可哀想だろう」

 県立病院の院長をしている父は、清一の実の父親で、実におおらかな性格をしている。

「そうよ。素敵じゃない。両親の再婚によって出会った義理の兄妹が惹かれあい、恋人同士になって、いずれは結婚……なんて。まるで少女漫画みたいじゃなーい」

 おっとりうっとりした口調の母は、結婚後の今も、父の病院で看護師をしている。

 両親ともに私の恋を応援してくれる、これ以上ないほどの頼もしい味方だ。

「はぁ……もういくよ」

 私を咎めるどころか、もっとやれと言わんばかりの両親に、呆れた様子の兄が玄関へと向かう。

「あっ、私もいく!」

「ほんとに大丈夫なのか、あや。今日は昨日みたいに(せき)は出てないみたいだけど……」

「だから何ともないって。昨日だって1回咳しただけじゃん。お兄ちゃんもお母さんたちも心配しすぎ」

 小さいころに、喘息でよく発作を起こしていた私のことを、兄や両親はいまだに過剰なほど心配する。でも薬をきちんと服用し続けてきたおかげで、最近は発作が起きることもめっきりなくなっている。

「……ならいいけど」

 まだ完全には納得していなさそうな兄だが、私に背を向けて靴を履きはじめた。

 ――ここだ! 隙あり!

「んむっ!」

 屈んだところを狙って口づけようとしたら、またもや唇を摘ままれてしまった。隙なんてなかった。

「ダメだろ、あや」

「……意気地なし」

 最後に呟いた私の言葉に、兄の顔から余裕の笑みが一瞬だけ消えた気がした。

ここからですな( *´艸`)

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