第一〇話「場外乱闘で退場」その2
……金曜の午後と土曜の日中、美咲としのぶは家からほとんど出ずに過ごしていた。掃除をして洗濯をして料理をして、家事を済ませるとやることがなくなってしまう。普段であればゆかりとおしゃべりに興じたり、美咲であれば庭で素振りをしたり、しのぶであれば巽の姿を見に行ったりと、それぞれに穏やかな時間を過ごしているところだ。だが今はおしゃべりをするような気分ではなかったし、家の外に出るのもできるだけ控えなければならなかった。考え過ぎかもしれないが用心に越したことはないのだから。
土曜夜の深夜に近い時間、美咲としのぶはファミリーレストランへと出勤する。熊野が自家用車を出して二人を店まで送り届け、ついでに二時間ばかりを店で過ごした。熊野の次はゆかりが、その次は巽が客の振りをしてその店で二時間ほどを過ごし、何かあった場合の事態に備えていた。
土曜日はそうやって過ぎていき、幸い何事もなく日曜日を迎える。
『大分書き込みが少なくなっているな。話題も今は二人から離れて他の石ころや青銅の女冒険者の方に移っている』
二人をネタにしていたそのスレッドを読んで激高せず、冷静でいられる自信は巽にはない。だがスレッドの状況を窺う必要はあり、それは熊野の役目となっていた。
「そうですか……このまま沈静化してくれるといいんですけど」
『そうだな』
巽と熊野は揃ってため息をつく。この二人にできるのは状況が改善することを神様か何かに祈ることくらいであり――その願いはどうやら聞き届けられたようだった。
『おい、元スレを開いてみろ』
熊野からそう連絡があったのは昼過ぎのことである。
「何かあったんですか?」
『読めば判る。おかしなことになっている』
巽はゆかりのノートパソコンを居間の卓袱台に置いて、某匿名掲示板の「超絶可愛い冒険者が発見されるww」というスレッドに接続する。巽の横にはゆかりだけでなく美咲やしのぶも集まり、ノートパソコンを覗き込んでいた。
「……『かわゆさ黄金クラス』? これか?」
変な固定ハンドルの人物が連続で書き込みをし、スレッドの住人との応酬が続いているらしい。巽は上へとスクロールし、その人物の最初の書き込みを探した。
『お前等、こんなレベルの低い連中で喜んでるんじゃねーよ! 「かわゆさ黄金クラス」の冒険者様が降臨してやったぞ!』
「かわゆさ黄金クラス」は自分のブログへのリンクも貼り、多数の写真もアップロードしている。巽はリンクを辿ってそれを見に行ったが、
「ああ、うん。まあ確かに可愛いかな……」
写真には軽装鎧を身にした女冒険者の姿が写っている。その他、アニメや漫画のコスプレ等、様々な扮装の写真がサーバが落ちるかと思うほどに貼り付けられていた。
「でも、美咲ちゃんやしのぶちゃんの方がずっと可愛いわよね」
「それはそうですね」
「かわゆさ黄金クラス」を自称しているがそれはさすがに誇張が過ぎるというものだった。この女性の容姿は大甘に見積もっても青銅クラスがせいぜいで、それに対してしのぶや美咲は白銀クラスに達しているだろう。写真は山のようにありながら写っているのは全部同じ角度だし、かなりの加工もされている。
『何この人?』
『呼んでねーよ。帰れ』
『痛い痛い痛いwww』
そしてスレッド住人の反応も非常に辛辣なものだった。一部の住人は「玩具が自分から飛び込んできた」と大喜びである。
『この人結構有名だぜ? 大阪支部の石ころで、桃山百香って人』
『おー、お前わたしのファンか? ご褒美をくれてやろう』
「かわゆさ黄金クラス」こと桃山百香は自分のスクール水着の写真をアップロード。阿鼻叫喚の有様にスレッドはあっと言う間に消費されていく。
「何ですか、この人?」
巽は唖然とするばかりで、それは美咲やしのぶも同様だった。熊野が巽達に解説する。
『俺も直接知っているわけじゃないが、結構有名な石ころだ。「歌って踊れるネットアイドル冒険者」を自称している』
「はあ」
『昨日から冒険者SNSの方で今回の一件を愚痴っていたんだ。彼女がそれを読んで、「ちょっと降臨してくる」と』
「はあ」
住人の反応に気を良くしたのか、桃山百香はさらに自分の写真をアップロードした。パジャマ姿、ゴシックロリータ、普段着、どんどんと写真が追加されていく。それらの写真を見ているうちに、巽はある点が気にかかった。
「何かこの人……」
巽が抱きながらも口にするのを自粛したその疑問を、スレッドの住人は遠慮も容赦もなく書き込んでいる。
『なんかこの人、実は結構歳いってね?』
『あ、俺もそれは気になってた』
それに対して桃山百香は『ぎくっ』とだけ書き込み、以降沈黙してしまう。彼女の年齢を問い詰める者達に対して住人の一人が回答を提示する。その彼はどうやら冒険者マニアらしく、桃山百香に対しても好意的な書き込みをしていた人物だった。
『確か今年で二八だったかな』
その書き込みはスレッドの空気を一変させた。サハラ砂漠のような熱気が一瞬で氷点下まで下がっている。
『はい、解散』
『ちっ、無駄な時間をつかっちまったじゃねーか』
『落とした写真、今全部削除した』
『貴殿の今後のご活躍をお祈りしています』
そんな書き込みが続き、桃山百香が、
『お前等全員泣かす。泣いたり笑ったりできなくしてやる』
それで書き込みが一千件に到達し、そのスレッドは終了した。
「……」
巽達は何とも言い難い様子であり、居間は沈黙で満たされている。
『次のスレッドが立っているぞ。桃山百香が自分で立てて、自分のブログの宣伝をしている』
熊野の報告に沈黙はさらに深くなるばかりだった。多少の時間を経て、ようやく巽が気を取り直す。
「ま……まあこれで美咲やしのぶのことはもう古い話題になったわけだし」
「そう……よね。思ったよりも早く沈静化したわけよね」
「この人に感謝しなくてはいけませんね」
「もしかしてわたし達のために身体を張ってくれたんでしょうか……?」
しのぶはその可能性に言及するが、
『いや、多分この人は素でこういう人なんだと思うぞ』
熊野のその推測に、巽達四人もまた全面的に同意していた。
……まだ気を抜いていい状況ではないが、事態は峠を越して改善に向かっているものと思われた。美咲やしのぶも大分顔色が良くなっていて、巽やゆかりもひとまず安堵する。
そして日曜の夜、深夜に近い時間帯。今日も念のために熊野の自家用車で美咲としのぶをファミリーレストランまで送り届けてもらっていた。
「済まん。明日は朝一から用事があって、迎えに来るのは無理なんだ」
「お気遣いなく。巽先輩もゆかりさんもいますし、いざとなればタクシーを使いますから」
色々と済まなかったな、と言い残して熊野は去っていく。そして美咲としのぶは勤務に入った。今日も念のために前半はゆかりが、後半は巽が客の振りをして店に居座り、何かあった場合の事態に備えている。
美咲としのぶはこの夜も基本裏方だが「完全に」とはいかないようで、ときたまウェイトレスとして接客業務にも携わっていた。だからと言って、もちろんそうそう何かが起きるはずもない。巽は頬杖を突いて二人の働きぶりをぼーっと眺めたり、スマートフォンで冒険者SNSに接続して掲示板を読んだりして時間を潰し……そうしているうちに時計の短針が頂点を過ぎ、やがて六〇度近く傾き、あと少しで二人の勤務も終わろうとしている。
「何事もなく終われそうだな」
と巽は大欠伸をした。ずっと座っていて関節が軋んでいるため、一旦店を出てもう一度客として入り直すことにする。生温かい屋内から一歩外に出れば、氷のように冷たい空気が全身を覆う。肌を刺すような冷気を巽は心地良く感じていた。
「いちに、いちに」
駐車場で軽くストレッチをする巽。関節と筋肉をほぐし、程よく全身が温まったところで店内に戻ろうかと考えていると、爆音を轟かせて何台かの自動車が駐車場へと入ってきた。駐車したのは三台の改造車で、そこから降りてきたのは一〇人以上のチンピラの集団だ。因縁を付けられてもつまらないと、巽は適当な自動車の影に隠れてその連中が店内に消えていくのを見送った。
少し時間を置いて巽も店内に再び入り……その途端、下品な笑い声が耳朶に障った。見ると、チンピラ連中が店内の一角を占めて傍若無人に騒いでいる。普段ならその不快な連中からなるべく離れた席を選ぶところだが、今巽がここにいるのは不測の事態に備えるためである。巽はその連中の様子を窺い易い席を選んでそこに座った。チンピラ共は難聴を疑うような大声でしゃべっていて、聞き耳を立てる必要もない。
「確かここだろ? 超絶可愛い冒険者がいる店って」
「どれだ? あれか?」
「ありゃばばあじゃねーかよ! お前あんなのが好みなのか?!」
「てめえ、殺すぞ!」
巽は舌打ちと共に忌々しさを噛み締める。そのチンピラ連中は美咲としのぶが目当てらしく、さして高くないと思っていた「不測の事態」の発生確率は急速に高まっていた。さらに間の悪いことに美咲がその連中の注文を取りに向かっている。
「いや、誰も行きたがらなくて、多分美咲が進んで引き受けたんだ」
正義感の強い美咲ならそうするのも当然であり、
「お、こいつじゃねーか? 超絶可愛い石ころって!」
……この事態も、あるいは必然だったのだろう。
「可愛いじゃん可愛いじゃん!」
「ねーねー、今夜付き合ってよー!」
チンピラ共は聞き苦しく騒いでいるが、美咲は呆れたような冷たい目を彼等に向けるだけだ。
「……申し訳ありませんが、他のお客様のご迷惑となりますので大声での談笑はご遠慮いただけますでしょうか」
「……なんだと、てめえ」
臆することのない美咲の態度はブリキよりも安っぽい彼等の自尊心を傷付けたらしい。チンピラ共の表情が一変、彼等は凶悪な空気を漂わせた。もっとも、レベル三〇のオークとも本気の殺し合いをしている美咲がこの程度で怯えるはずもないが。
「どこに他の客がいるってんだ? 誰の迷惑だって? ああ、言ってみろよ!」
「みなさーん、俺達は迷惑ですかー?」
チンピラが大声で数少ない周囲の客に問うが、彼等は目を背けるばかりだ。美咲の味方をし、彼等の敵意をわざわざ買おうとする人間はそうは多くない。そしてもちろん、
「ああ、すごい迷惑だ」
巽が美咲の味方をするのは言うまでもないことだった。席を立った巽が彼等の前に進み出、
「もう少し静かにしてくれ」
まっすぐにそう言う。それに応え、チンピラ連中が全員立ち上がった。
「なんだ、てめえ。喧嘩売ってんのか?!」
「別にそんなつもりはない。ただ迷惑だと言っただけだ」
「てめえ、舐めやがって……」
チンピラが巽を包囲し、巽はため息と共に肩をすくめた。巽は欠片もたじろぐことがなく、ただ「厄介だな」と思っているだけである。その態度がチンピラ共をさらに苛立たせる。今まさに乱闘が始まろうとした、そのとき。
「そこまでです。暴力に及ぶなら警察を呼びます」
美咲がそう言ってスマートフォンを掲げる。そして実際に一一〇番をタップした。
「もしもし、警察ですか。こちら国道一七一号線沿いのファミリーレストラン『餡な味等』です。店内で喧嘩が起きそうなので……」
そう通報すると、チンピラ共は舌打ちをして逃げにかかった。結局何も注文せず、巽を押し退けてぞろぞろと店を出て行こうとする。一番最後を歩いていたチンピラの中の一人が振り返り、
「てめえ……」
と敵意を溢れさせて巽を睨む。だが巽の方はチンピラのことなどもう気にかけていなかった。しのぶも合流し、互いの無事を確認し合っている。
「済みません、巽先輩。お客さんなのに迷惑をかけて」
「いや、こういうときのために来ているんだから。役に立ったのなら何よりだ」
「ごめんなさい、嫌な仕事を美咲さんだけに押し付けてしまって」
「気にしないでください、適材適所というやつです」
会話までは耳に届かないが、巽達のその姿はチンピラの目に焼き付いた。チンピラの最後の一人が店から出……このちょっとした揉め事はもうこれで終わったのだと、巽は、美咲やしのぶも思っていた――そう思い込んでいた。
この日の勤務を無事に終え、美咲としのぶが退勤する。巽も含めた三人は真冬の夜の国道を歩いていた。
「どうする? タクシーを拾うか?」
「尾行されている様子もありませんし、このままでいいのでは? お金ももったいないですし」
と美咲が言い、巽も「そうだな」と頷く。が、しのぶは後方へと険しい目を向けていた。
「いえ……だめか、もう間に合わない」
何が、と問うまでもない。爆音を響かせて三台の改造車が猛スピードで突っ込んでくる。三人が慌てて避けるが、そうしなければ轢かれていたのは間違いなかった。一台目を避けてもさらに二台が巽達を狙って走ってくる。それは単なる脅しではない。三人がちゃんと避けるものと思っているのか、ぶつけることになっても構わないと考えているのか、それとももしぶつけたならどうなるか想像もしないしできないのか――多分その三つともが正解なのだろう。
「こっちだ!」
少しだけ走って巽達はドラッグストアの駐車場に逃げ込んだ。改造車がそれを追い、駐車場入口に張られたチェーンに突っ込んでいる。
「ちくしょう、傷が入ったじゃねーかよ!」
改造車から何人ものチンピラが降り、三人へと向かって走ってくる。彼等は全員手に金属バットを、鉄パイプを、木刀を、何らかの武器を所持していた。
「絶対許さねえ、あの連中に金を払わせてやる……!」
「まずは身体で払ってもらおうぜ!」
「もちろん!」
「動画を撮影して脅して、金を絞れるだけ搾り取って……」
「男の方はぶっ殺す!」
チンピラ共はたぎらせた欲望を恥ずかしげもなく口から吐き出している。巽は怒りで血が沸騰するかと思ったが、それも一瞬のことだった。巽の精神は完全に冒険者のそれに切り替わっている――「モンスターと対峙したときの冒険者」に。
「二人とも、どこかに隠れていろ」
「お気遣いなく、あの程度の連中など……」
美咲もまた完全に狩りモードとなっている。だが巽は首を横に振った。
「俺一人でいいんだ」
その物言いに、美咲は巽の意志を理解する。美咲は目を見開き、巽に食い下がった。
「そんな……先輩一人に」
そのときしのぶが美咲の手を取り、引っ張って走り出した。
「すぐに警察に通報します、それまでお願いします」
「任せとけ」
巽は振り返りもせずにまっすぐに歩き出す。先頭を走っていたチンピラ二人が金属バットで巽に殴りかかり――巽は腕で頭部を庇い、身体を丸めてそれを受けた。
「へっ、何だよ! この程度かよ冒険者って!」
調子に乗ったチンピラが全員巽の下に集まり、思うがままに武器を振るった。頭部だけは守っているがそれも完全ではなく、額が割れて血が流れる。しばらく暴行が続き、
「そうだ、女共を追わないと!」
「こんな見かけ倒しに構ってる場合じゃねーな!」
そう言ってチンピラが走り出そうとする。巽がその二人の襟首を掴んで引っ張り、地面へと転がした。
「待てよ、もうちょっと遊んでいけ」
巽は何事もなかったようにまっすぐ立ち上がっている。巽が彼等を睥睨し、チンピラ共は気圧されて沈黙した。
「て、てめえ……殺されてえのか」
チンピラが腰の引けた状態で中途半端に威嚇、巽は「やってみろよ」と嘯いた。
「こっちは毎週レベル三〇超の、本物のモンスターとやり合ってるんだぞ? レベル一以下、ゴブリン以下のお前等が俺に敵うわけないだろ」
巽は正直に思うところを述べただけだが、それはこれ以上ない挑発となっていた。チンピラの一人がナイフを取り出し、その白刃を巽へと向ける。
「てめえ、舐めやがって……冒険者だからって偉そうに、前から気に食わなかったんだよ!!」
その発言に巽は首を傾げた。巽はそのチンピラの顔を少し眺め、「ああ」と思い出す。
「あの工場にいて、大分前に辞めた……」
巽の言葉はそこで途切れる。巽はそれ以上を、同じ工場でアルバイトをしていた彼の名前をどうしても思い出せなかった。金髪にピアスの浮ついた姿からとりあえずチャラ男と名付けておく。
「てめえ、馬鹿にしやがって!!」
激高したチャラ男がナイフを構えて突っ込んできて、巽は無造作に前蹴りを放った。顎を下から蹴り上げられ、チャラ男の身体が宙に浮く。顎と下の歯を全部砕かれ、チャラ男は地面に大の字にぶっ倒れた。チャラ男は血と泡を吹き、白目を剥いて痙攣している。
「し……死んでないよな?」
それなりに手加減はしたつもりだったが充分ではなかったらしい。巽は冷や汗を流すが、幸いチャラ男の生命に別状はなさそうだった。
「てめえ!」
チンピラが一斉に巽へと襲いかかり、巽も遠慮なく反撃した。何人ものチンピラが一瞬で骨を折られ、歯を砕かれて悶絶する。巽は「これでもダメか」と舌打ちした。
「難しいな、手加減」
遠慮はしないが手加減は不可欠であり、それがなければ巽は大量殺人者になるところだ。 巽はチンピラの一人を捕まえて放り投げ、別のチンピラにぶつけて二人まとめて始末する。これはいいかも、と思ってさらに一人放り投げるが、そのチンピラはアスファルトの地面に顔面から突っ込んでいた。それを見て「やっぱりまずい」と巽は思い直す。
「この化け物!」
チンピラが金属バットで殴りかかるが、巽は拳でそれを殴り返した。拳で打ち抜かれたバットで自分の頭を殴る形となり、そのチンピラは血を流して昏倒する。
「こ、この……覚えてろよ!」
残されたチンピラがようやく逃げにかかるが、巽に彼等を見逃す理由は何もなかった。一番近くにいた一人の腕を掴んでその身体を振り回し、それを打撃武器として残った二人をまめて殴り倒す。最後に残った、手の中の一人は……肘と肩を脱臼し、痛みで失神しているようだった。巽がそれを放り捨てて、
「まあこんなもんか」
と手を払う。チンピラ一一人全員を始末したところにようやく聞こえてくるパトカーのサイレン音。いつの間にか美咲やしのぶも再び姿を現している。
「巽さん……」
「巽先輩……」
心配そうに自分の名を呼ぶ二人に、巽は顔を見せることができなかった。二人に背を向けた巽は「これで良かったんだ」と自分に言い聞かせている。やがて何台ものパトカーが到着し、巽は警官に身柄を拘束された。
翌日……いや、もう日付が変わっているので正確にはその日の一一時間後。暴力事件を起こしたことを理由に、マジックゲート社は巽の冒険者登録を抹消した。




