村人達
やはり、僕には無理かな。ため息をつく。まさかの、軍人になるための技術で村長の孫子を捕まえる事になるなんて。絶対に、嫌われたよね。
「まったく、外に出たとたんこれだ。」
ピーンポーン♪
うーん、多分レンと大人たちだ。何て言うか、出たくない。でも、それだと騒ぎが大きくなって父親ロゼの耳に届くかも。仕方ない、出るか……。
「はい、何でしょう?」
村長と村の大人たちが、こちらを見て頭を下げるのを見てギョッとしてドアに隠れてしまう。
大人たちの反応は、様々である。困る者、ため息をつく者と本当にさまざま。
「ファイくん、孫がすまなかった。村長として、あのような孫をここに居させる訳にはいかない。わしは、ジョイを村から追い出すと決めた。」
えっ?えぇー!いやいや、いくら何でもあんな小さい子供を1人追い出すなんて駄目でしょ!
「待ってください、村長。」
静かに、僕は真剣に言う。大人たちは、驚いていたが僕と村長の会話を邪魔しないように黙って聞こうとする。村長は、周りを見て僕を見る。
「何だね?ジョイは、人を殺そうとした。しかも、感情にまかせてだ。罪人は、いらない。」
「確かに、彼は感情にまかせて銃を持ちました。しかし、僕はケガ1つしていません。それに、まだ彼は8歳の子供で善悪のくべつも曖昧な年頃だと思うのです。僕だって、彼に暴力してしまったのでおあいこだと思うのですが。」
「君は、正当防衛だ。しかし、あの子は……。」
「僕は、気にしてません。追い出すのは、少々やり過ぎだと思うし何か別の罰をお願いします。」
遮るように言う。大人たちは、優しい笑みを浮かべる。必死に、ジョイを庇うファイを甘いと思うがそれ以上に彼の心のあり方を気に入ったのだ。
「ふむ。では、どんな罰にすべきか君が決めてくれるかな?わしは、思いつかん。」
なるほど、難しい問題だ。でも、本当に気にしてないのも本音なので子供っぽく笑って言う。
「そうですね、3週間おやつ抜きくらいにでもしとけば大丈夫ですかね。まぁ、お説教でげっそりしている頃でしょうし。どうです?」
大人たちは、軽すぎるのでは?と思うが何も言わない。彼は、ジョイに傷ついて欲しくないのだろう。でも、罰は与えなければならない。そして、出した答えがこれな訳だ……。
なるほどな、子供にとっておやつ抜きは痛い。しかも、3週間……。まぁ、彼の優しさにめんじて罰はそれにすべきだろう。
「うん、俺もその罰だけは受けたくないな。」
真面目な顔して、レンがうんうんと頷く。
「分かった。では、ここで失礼しよう。あと、また村の子供と遊んでおくれ。皆、君に感謝しているんだから。君が、気に病む必要は無い。」
「えっ?」
大人たちも、笑みを浮かべ頷く。子供達を、銃の恐怖から守ったのだから感謝はするが避ける理由にはならない。もし、彼が弾を避ける選択をしていれば子供達に被害がいき銃の性能上では恐らく……いや、確実に……死んでた……。
さっき、村人会議でもこの事は大人子供にも話してある。大人たちは、真っ青になって聞いていたのだ。子供に至っては、泣き出す者もいた。
「君は、優しい子だ。だから、怖がられたら家に余計に閉じこもるじゃろう?」
「………。」
「それに、何か知らんが幼い子が格好良かったらしく目を輝かせて待ってるぞ。」
それは、どう言う意味の輝きですかね。内心、げっそりしながら無言で頷くと大人たちは帰って行った。うん、しばらくこもろう。