我が子の嘘
ファイの父親ロゼ視点。(´-ω-`)
帰って、我が子を見て心が痛むのが分かった。今のファイは、前より少し痩せていて今こそ笑顔を浮かべてはいるが。あきらかに、纏っている雰囲気がガラリと変わっていた。
「ファイ、寂しかったかい?」
「うん、でも大丈夫だよ。」
えへへっ、と笑顔で言う。嘘だ……。子供は、正直者だと言うがもう嘘をつくことを覚えてしまっている。チクリと、また心に突き刺さる現実。
「そっか、それよりご飯はちゃんと食べてる?少し、痩せたんじゃない?」
「そうかな?ちゃんと、毎日3食たべてるよ?」
嘘じゃない。けど、何だろうこの気持ちは。もしかして、何か隠してる?
「量的は、どれくらい。」
「いっぱい食べてるよ。」
嘘だ……。なるほど、ストレスによる食欲の減少が少し痩せた理由か。ていうか、8歳の子供に何ストレス与えてるんだ僕は……。ため息をつく。
「疲れてるの?お茶でも、入れてくるね。」
あきらかに、子供の対応じゃない。これは、まずいかも知れない。どうするべきか……。
「ファイ、そろそろ学校に行く時期だけど。」
一瞬、ほんのわずかな一瞬だがファイの表情に疲れたような辛そうな表情がよぎる。
「うん、そうだね。僕は、軍のセレナリ学園に行こうと考えているんだ。」
「それは、ファイが本心から行きたいのかい?」
「うん、行きたい。」
思わず、真剣に聞き返してしまう。そこに入ってしまえば、教師になりたいという夢は叶わなくなるからだ。ファイは、躊躇なく頷く。まるで、もともと考えていた言葉を言うように。
何度目だろう、こんな気持ちになるのは。
「ファイ、そこに入れば教師にはなれなくなると分かってて言ってるの?」
次のファイの言葉で、僕はさっしてしまう。
「お父さん、何言ってるの?教師なんてならないよ。僕は、軍人になるんだから。」
あぁ、幼い息子の夢を周りの奴らが砕いたのか。怒りがこみ上げるが、ファイが決めた以上は親としては何にも言えない。だから、最後の確認の意味を込めて告げる。
「本当に、良いんだね?」
「うん。」
嘘だ……。ファイは、嘘をついている。
「ファイ、周りは優しくしてくれてるかい?」
「えっ?あっ、うん……。みんな、優しいよ。」
少し慌てたように言う。嘘だ、しかもあきらかに動揺した。周りに、何かされたのかな……。
「それにしても、お父さんが帰って来るなんて珍しいね。どうかしたの?」
このままでは、まずいと思ったのか話を変えてくる。ファイ、おまえは本心をかたる気は無いんだね。なら、仕事の合間にでも調べてみるかな。
「ファイに会いたかったから帰って来ちゃった。びっくりしたでしょう?」
「うん。帰るのなら、電話してくれればよかったのに。今から、ご飯作るね。」
慌ててキッチンに入って行く。こっそりため息をつく。リンドさん、ファイはもう人として壊れたのかも知れないです。考える仕草をするロゼ。
キッチンから、おいしそうなにおいがする。
「ファイ、料理できるの?」
「だって、最近は近所のおばちゃんも来ないし自分で作らないとご飯回らないから。」
なるほど、僕は近所のおばちゃんたちにファイを任せていたのだがお金だけ取ってろくに世話もしなかったのか……。なら、ここに居る理由は無いのだしいっそうのこと引っ越すかな。
「そっか。ねぇ、まだ学校は少し早いしお引っ越しでもしない?ここも良いけど、もっと田舎の方でも言いかなって。どう思う?」
「良いんじゃない?楽しみ♪」
うん、少し本音混じりかな。なら、やることは決まっている。さて、お引っ越しだ。
ファイは、沢山ご飯を食べているので大丈夫かなと思う。少なくとも、少しは体に栄養をと思っていたのだが僕が部屋に入るフリをするとファイは素早くトイレに行った。吐いているのだろう。
このままでは、体を壊す。いや、もう壊しているのかも。しばらくして、何事も無かったように皿を洗いだす。僕は、本気で心配になった。
「ファイは、あきらかに無茶をしている。」
だが、時間は容赦なく過ぎていく。結局、何も出来ず時間になってしまった。
「お父さん、行ってらっしゃい。」
「うん、行ってくるね。」
さて、ちょっと調べますかね。