見たことの無い武器
その日、ある悲報が届いた。国の北側にある基地が、破壊されたのだ。生存者は、たったの3人。そして、敵は見たことの無い武器を使っていたらしい。僕らはそのせいで、仮小隊や準小隊を飛ばし第七七小隊として活動命令を受けてしまう。
「さて、今から見せるのは敵が使っていた見たことの無い武器だ。見てくれたまえ。」
みんな、何だこれ?と、首を傾げたりしている。1人を除いて……。青ざめる、ファイ。
あれは、火炎瓶と手榴弾……。どちらも、僕の前世の武器である。何てことだ……。ついに、異世界人があちらの情報を渡したのだろう。
世界の均衡が崩れる。
この世界には、爆弾が存在しない。あるのは、銃と剣と魔法のみ。頭が痛い……。
「おい、ファイ。気分が悪いなら、ちょと外に出て来い。顔色悪いぞ……。」
「すみません、少し席を外します。」
ファイが、出て行った後。
「なぁ、ロゼ。お前は、心当たり無いのか?」
「あるはず無いよ。だって、妻の研究資料にもそんな物は無かったんだから。でも……」
ため息を漏らし、真剣な表情で言う。
「ファイは、何か知ってるかも。」
「だろうな。じゃなきゃ、あんなに青ざめねぇ。ただ、大人しく教えてくれるかどうか……。」
「………あまり、無理に聞き出さないであげてください。あいつは、いろいろと葛藤しているようですし。言いにくい事もあります。」
このままでは、不味いと思いレンは真剣な表情で言う。その目だけは、部屋から出て行ったファイを心配しているのがよく分かる。
「もたもたしてる、暇は無いと思うが?」
「そうですね。でも、たぶん今回の鍵を握ってるのはファイです。もし、あいつが葛藤してるのに無理に聞き出そうとしたらどうなると思いますか?ロゼさんなら、分かるでしょ?」
「……たぶん、解決が遅くなる。」
「そもそも、あいつは何の葛藤をしてるんだ。」
「言えません。あいつとの約束なので……。」
その場を沈黙が支配する。
「この緊急事態に、さっさと話せば解決するものを。腹立たしい……。」
「話しても、解決できませんよ。たぶん、あいつが葛藤しているのはそんな簡単な話じゃありませんから。何となく、分かるんです。」
その言葉に、ベテランの軍人たちは何か大きな動きがそのうち起こる予感がすると思った。
「すみません。」
ファイが入って来る。
「ファイ、大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫だ。今のところは……。」
苦笑して答える。その瞳は、悲しみと苦しみでそまり疲れているようだった。
「さて、武器の話はここまでだ。」
その後、状況調査の結果などの報告を聞き解散する。ファイは、真剣話を聞いていた。
会議終了後。会議室に、2人はまだ居た。正確には、気配を消したロゼの小隊が居たのだが。
「でっ、何かまとまったか?」
「ぜんぜんだよ。」
うつむいて、苦苦しい表情で言う。
「お前は、あの武器を知ってるのか?」
「……詳しくは知らない。でも、少しは知ってる。あれが、どんな危険な物かも。それと、これは半分確定に近い予想だけど……。」
「……言いずらいなら……。」
「大丈夫。聞いてるんでしょ、お父さん。」
ロゼは、驚く。まさか、見破られるとは思わなかったからだ。第七小隊は、姿を現す。
「さっきの続きだけど、たぶんこれからも見たことの無い武器が増える可能性がある。」
「どう言う事だい?」
「ごめんなさい、これ以上は……。」
少し、辛そうに言う。
「……いつか、話してくれるの。」
「必ず……。でも、今は心が痛い。」
泣きそうな表情である。不安と悲しみで、今のファイはまともに考えられなかった。




