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第8話:新しい仲間達

 中に入ると殺風景の玄関で、その水平線上にドアがひとつあるだけだった。

 外から見たら2階建てだったのに、玄関近くに階段がないのは珍しい。

 北条は何も言わずにスタスタと奥のドアのほうに歩いていき、俺は急いでついていった。

「みんなちょっと集まって」

 ドアを開けた瞬間、大声で北条が号令をかけた。

 部屋の中には男1人と女2人の計3人いた。

 3人とも学校で見た奴らだ。

「今日から我が組織、そして私達と同じクラスの陸奥和樹君よ」

 紹介されるのはいいが、ここは俺もよろしくぐらい言っといたほうがいいのか?

 どっちみち音葉達を見つけたらこんな所抜けるんだから、馴れ合いは無用だと思ってたとき。

「始めまして、私は井上美咲(いのうえみさき)。よろしくね」

 黄色い髪のツインテールの女の子が満面の笑みで俺に握手を求めてきた。

 俺より年上みたいな感じだが、背丈が低くて美人っていうよりかわいいほうだ。

「よ、よろしく」

 流石に無視することできずに、俺も手を差し出した。

 まぁ、世話になるんだし、少しぐらいいいだろう。

「俺は長瀬猛(ながせたける)だ。あの時は悪かったな」

 っと俺に後ろから肩に手を回して挨拶してきた。

 肌の色は色黒で、俺よりも背が高くてがっちりとした体つきだ。

 背中にはあの時俺を気絶させた十文字槍を背負っている。

麻生穂多琉(あそうほたる)

 残りの青髪の女が無愛想に自己紹介し、自分の部屋らしき所へ消えていった。

「できるだけ全員のこと名前で呼んでちょうだい。組織としてまとまりがなかったらすぐに崩れちゃうから。

後一人いるんだけど、ある任務を執行中でここにはいないの」

 そんなこと統一してもしなくても一緒だろ。

 それにこいつ達も全く呼び方を統一してねぇぞ。

 え〜とこのおっさんが猛で、この女の子が美咲、さっきの無愛想な女が穂多琉で、北条が薫か。

 呼べないことはないな。

「それで俺にここで何をしろと?」

「そうね、まずは基礎作りね。このまま貴方に任務を任しても魔女狩りハンターの名折れだわ」

 そりゃ悪かったな。だったらこんな変な組織に入れるなっていうんだ。

「確かに坊主は戦い慣れしてるみたいだが、基礎が全くできていねぇ」

「痛ててて」

 猛が俺の腕を片手で掴み、潰されそうな勢いで俺は必死に抵抗した。

「悪い、軽く握っただけなんだが」

 どこがだ。危うく腕一本なくす所だったんだぞ。

「しかもそれ、あんまり使いこなせてないせいか、陸奥君にとっては宝の持ち腐れみたいになっているわ」

 美咲が俺のソウルイーターを掴もうとし、俺はそれを急いで阻止し、笑ってごまかした。

 余所者が触れたら大変なことになるからな。

 それに美咲みたいなかわいい子にそんな目に合わすのは後味悪いからな。

「こういうときは穂多琉に聞いてみるのが一番ね。この中ではあの人が一番頭いいから」

 さっきの無愛想な女のことか。

「穂多琉、悪いけど和樹にこれの使い道を教えて欲しいんだけど」

 確かに薫は名前で呼んでいるな。

 ってか俺のこと名前で呼んだのは初めてじゃないか?

 しかもソウルイーターのことはこれ扱いか。

 穂多琉は机に向かって、読書をしていた。

 よく見ればかなりのスレンダーでそれなりの体格もしていてチャイナ服のせいで足元が気になり目のやり場に困る。

 眼鏡をいているのはマイナス点だけど。

 他にも机の上にはいろんな辞書やら資料やら、壁には何かの情報をグラフ化したものが張ってあって、見ていて頭がいたくなる・

「構わないわ」

 穂多琉はこちらに見て一言言い、また視線を本に戻した。

「じゃあしっかり勉強して、いろんな知識を身につけるのよ。武力はその次でいいわ」

 そう言って薫は穂多琉と二人っきりにして部屋を出て行った。


 知識を身につけるって、ソウルイーターのことは俺が誰よりもしってると思うけど。

「それは早計よ」

 口に出してもい無いのにこ、ちらを見向きもせず本のページを送りながら穂多琉は言葉を返してきた。

「何で・・・口に出してないはず」

「あなたの考えは十中八九わかるわ。態度、行動、言語、視線、それらを解析していけば、考えてることを当てるなど容易い事」

 こいつめちゃくちゃ現実離れしたことを普通に言ってるぞ。

 しかもそんな事できたら、世界など自分の思うように動かせるじゃねぇか。

 それともあれか、本当は他人の心のを読めるとか?

「そんな能力は持ち合わせていないわ。無駄なことを考えていないで、まずは座わりなさい」

 クソ、この女かなりむかつくぞ。

 絶対話をかみ合わないように仕向けたい。

 などと考えながらしぶしぶ、俺は敷いてあった座布団の上に腰を下ろした。

「そのソウルイーターのことね。先日の戦い方を見れば指摘することは山ほどあるが、いっぺんに言っても無駄でしょうね」

 読んでいた本に栞を挟み、机をはさんで俺の目の前に座った。

 先日の戦いって、瞬さんとの戦いの後のことだよな?

 お前はあの時俺を観察してたのか?

 いや、人数はどっちも4人だったから、穂多琉も誰かと戦っていたはずだ。

「一つはソウルイーターに頼りすぎってことね。それは自己防衛機能みたいのがついていて、持ち主の身体能力をアップさせる。

でもそれは身につけているときだけ。和樹はすぐにそれを抜いて戦うから身体能力が上がる機会もみすみす逃しているわ」

「じゃあソウルイーターなしで戦えってことか?」

「簡単に言えばそうね。できるだけ自分の力だけに頼り、あくまでもそれは切り札として残しておくべきね」

 穂多琉の言ってることは一理ある。

 この前の瞬さんとの戦いでソウルイーターを奪われた時は、まったく戦う術がなかった。

「そのために日ごろからの鍛錬を怠らないことね。一度身に付いた身体能力は衰えることないから」

 ソウルイーターにそういう効果があったのか。

「それとその武器を使わないことによって、相手にもソウルイーターの存在を知らせなくてすむわ」

 ん?どういうことだ?

「それが兵器かすることは知っているでしょ?」

 3つのソウルイーターが揃えばの話だろ。

「少なからず、そいつを3つ集めて、世界を征服しようとする低脳な奴が必ずいる。そいつらに気づかせないためにも隠し持つことは大事よ」

「言っておくがこいつは陸奥の血を引くものしか触れないんだ。奪われることなんてあるはずない」

「和樹の言うとおり、でも例外があるのも知ってるでしょ?わかりやすく言えば和樹もその例外の一人よ」

 っな・・・・今なんて――――。

「――――ごめんなさい、ちょっと喋りすぎたわ。これ以上知る権利は和樹にはまだない。あとは猛と一緒に組み手でもしときなさい」

「お、おい。俺が例外ってどういうことだよ」

 っと詳しく聞けず部屋から追い出されてしまった。

「どうしたの?」

「俺にはこれ以上知る権利はないんだとよ」

「あっそ」

 それはそれでこいつの反応はむかつく。

 そういえば猛と美咲の姿が見えないんだが・・・・

 まぁ、そんなことはどうでもいいけど、今日はもう休みたい。

「薫、部屋はどこだ」

「そこを上がって一番奥の右が貴方の部屋よ」

 薫が指を指した先にはらせん状の階段があった。

 俺は言われたとおり2階に上がって奥の右の部屋に入った。

「こりゃまた見事な殺風景な部屋だ」

 6畳の部屋に布団が1枚。

 明らか寝るだけの部屋だ。

 俺はそのまま布団に倒れこみ、夜を明かした。



「坊主、さっさと起きろ」

「ぅるせぇなぁ」

「さっさと起きんかぁ〜」

 叫び声と共に宙に浮いている感覚が襲ってきた。

 ベッドでもないのになぜ・・・・って。

「うわーーーーー」

「いい目覚めだな」

「どこがだ。2階から落とす奴がどこにいる」

 そう、俺は窓から猛に放り投げられたのだ。

「穂多琉から話は聞いてるから安心せぇ。ちゃんとそいつを身につけさせてから落とした」

 そいつとはソウルイーターのことだ。

 ちゃっかりとズボンの中に押し込まれていた。

「さぁ、朝飯ができるまでウォーミングアップといきますか」

「はぁ?」

 この後俺は猛に3時間もそのウォーミングアップに付き合わされた。

 終わった後に気づいたのだが、起こされた時間は5時だったそうだ。




 さて、ここに来て2日目なんだが、何をすればいいのだろうか?

 薫にでも聞いてみるか。

「指令がでるまでは自由行動よ。それか魔女狩りの上級クラスを始末しにいくかね」

 することないし、その魔女狩りでも始末しにいくか。

「それでそいつらはどこにいるんだ?」

「もしかして、乗り込むつもり?」

 何そんなにびっくりしてるんだ?ハンターなんだろ?それが普通じゃねぇのか?

「貴方ねぇ、上級クラスにはそう簡単に出会えないわよ。出会えたとしても、信徒らに体力を削られたあとでしょう」

 その後、延々と魔女狩りのことを詳しく語られた。

 魔女狩りにはクラスがあり、一番上のトップのことをメシアと言うらしい。

 その下にいるのが幹部会、支部長官、その下が神兵、ここまでが上級クラスらしい。

 そこから下のクラスのことを信徒というただの雑兵みたいなものだ。

 上級クラスを倒すと、連盟から報酬がでるみたいだ。

 それぞれかなりの金額が付けられているが、ある二人だけはズバ抜けて高額な金が掛けられていた。

 その二人とは・・・・水無月龍二と光明寺大和。

 メシアの額よりも高くその差、10倍以上はある。

「どうしてこの二人だけトップであるメシアより高いんだ?」

「異例の額でしょ?それほどその二人は強いの。この前の光明寺大和もあそこまで弱りきってたのに、私達では歯が立たなかった」

 と言ってたくらいだから、相当強いんだろう。

 他にも支部やら本部やら、魔女狩りに狙われている魔法使いやらの話を聞かされ、それだけで日が暮れてしまった。



 3日目、昨日と同じく、猛にムチャな起こし方をされ、昨日よりハードな訓練を受けた。

「ここにいたら、身が持たねぇぞ」

 朝食を食い終わり居間で休憩をしていると、薫が俺の目の前にやってきた。

「よかったわね。初の指令よ」

「やっとか。っで内容はなんだ?」

「仲間の川辺耕介を救援ね」

「誰だそいつ?」

「この前言ったでしょ?任務執行中で今はいないって。どうやら魔女狩りに見つかったみたいね」

「じゃあかなりの大仕事になりそうだな」

「そうね、今回は私も一緒にいってあげる。貴方だけじゃ耕介と会うこともできないだろうし」

 そりゃ顔も知らねぇし、そこに魔女狩りもいるんだったら、かなり危険だしな。

「じゃあ行くわよ。一条高校へ」

 高校かい!



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