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第5話:和樹VS片桐瞬

魔物出現を止めるべく音葉と琴葉の3人で学校の旧校舎に入った和樹。その奥には音葉と琴葉の祖父、片桐源次郎がいた。源次郎は孫の2人を相手にすべく、邪魔者の和樹は地下に落とされ、瞬と戦うことになった。

 そんな狛犬の一匹や二匹俺の敵じゃねぇ。

 向かってくる狛犬に、俺も立ち向かい、こんな小さい小動物にソウルイーターを使うまでもなく、俺は蹴り飛ばした。

 けど、確かに命中したはずの俺の足は空を切った。

 蹴られる直前に俺の右足に噛みついていた。

 けど軟弱なアゴで噛まれても、さほど痛くはない。

「そんなので俺に勝てると思ってるのか?」

 俺はソウルイーターで狛犬を突き刺そうとしたが、軽く避けられた。

「一撃一撃は弱くても、それを蓄積していけば、殺すことは容易だ」

 そう簡単にいくか。次はもうくらわねぇ。

 右足のズボンは真っ赤に染まっているが、傷は浅いおかげで血はすでに止まっている。

 さっきは手加減してやったが、もう手加減無用だ。

 俺はソウルイーターをチャージし、何度もソウルファイアを放ったが、全て避けられた。

「遠距離に徹するか?それだと一生こいつには勝てないぞ」

「これがただ適当に撃っただけと思ってたのか?」

 瞬さんの狛犬シーザーは俺の思う通りに避けてくれて、隅っこに移動さすことに成功した。

 隅に追いやられたら、避けるのも難しいはずだ。

「これでおわりだ」


          【ソウルファイア】


 避けきれないぐらいのでかいのを放ったのが、横から瞬さんがそれを弾き飛ばし、邪魔してきた。

「そいつを倒せば見逃してくれるんじゃなかったんっスか?」

「誰も俺は参戦しないとは言ってないぜ」

 悪者はどうしてこう屁理屈ばっかり述べるのか。

 でも一人や二人増えようが、今更関係ないし――――

「まとめてかかってこい」

 俺はいつも以上にソウルイーターのエネルギーを溜めた。

「冥土の土産に見せてやるよ。俺の魔法を」

 そう言って、一瞬で自分の目の前に魔方陣を描き、その魔方陣から人体模型が現れた。

「昔の俺はここまでだったが今は違う」

 瞬さんが魔方陣に触れた瞬間、その人体模型は俺の姿へと変化した。

「これが俺の魔法だ。一度見た奴ならこのように分身を作れる。言わば身代わり人形だ」

「そう言うことだ。偽者は死ね」 

 っな、俺が喋った?

 俺の姿をした人体模型は俺と全く同じ声で俺に語りかけてきた。

 しかも偽者呼ばわりしやがって。

「お前が偽者だろ」


          【ソウルフレイム】


 ソウルファイアより1段階強力な炎を放った。

「これで一網打尽だな」

 俺は余裕で瞬さんと俺の偽者を倒したと思えたが、炎の中から俺の偽者が飛び出してきた。

「悪いな、俺は熱さも寒さも感じないんだよ。当然痛さもな」

 そう言って、俺にナイフで切りかかってきた。

 痛さも感じないって不死身かよこいつ。

 ソウルイーターで偽者のナイフを防ぎ、そいつを蹴り飛ばして、バックステップで距離をとった。

 ん?あいつ声も姿もそっくりなのに、武器だけ違う。

 まぁ当たり前だけどな。このソウルイーターは世界で1つしかないんだから。

「っということは距離を保たれたらお前の負けってことだな」

 俺はソウルファイアを連発し、距離を詰められないようにした。

 偽者はただただナイフで弾くばかり。

 ソウルフレイムを放ちたいところだが、もう一回チャージしないと撃てそうにない。

 そう考えた俺は一瞬の隙を見てチャージした。

 偽者もこのチャンスを逃さず、俺に突撃してきた。

 もっとひきつけて放ってやる・・・・あ。

 チャージ中に狛犬にソウルイーターを奪われた。

「しまった」

 それと同時に偽者のナイフが俺の顔をかすった。

 やべぇ、なんとしてもソウルイーターを取りかえさねぇと・・・・

 意識が自然とソウルイーターのほうにいってしまったせいで、偽者の攻撃を見切れず、腹にナイフを刺され殴り飛ばされた。

「がはっ」

 学校の運動場でドラゴンに捕まれ負傷してたあばら骨にも振動が届き、ありえないくらいのダメージを負った。

 ソウルイーターも奪われ、俺は重症、もしかして死んだか?

 っと諦めていたら、急にソウルイーターをくわえていた狛犬が燃え出して消滅した。

「シーザー、一体どういうことだ?」

 瞬さんは狛犬の亡骸に近づき、嘆いた。

 そうか、ソウルイーターは陸奥の血を引くもの以外は持てないんだった。

 正確には持てないんじゃなくてソウルイーターが拒むのか。

 思わぬ誤算だが、未だ不利には変わらない。

 瞬さんもソウルイーターには触れずに、ただ俺たちの戦いを傍観している。 

 すると偽者の俺がソウルイーターを手に取った。

 よし、これであいつも消滅するはずだ。

 でもそいつは消滅せず、しかもソウルファイアまで放ってきやがった。

「はっはっは、どうして消滅しないか不思議そうだな。教えてやるよ、俺はお前だからな」

 偽者は笑いながら、ひたすら俺にソウルファイアを放ってきた。

 なんとか避けるが、避けるたびにアバラと腹の傷口に響き、動きが鈍くなる。

 万事休すか、こりゃ。 

 勝つ事を半分以上諦めた俺は、腹に刺さったナイフを抜き取り、偽者に突撃した。

「うあぁぁぁぁ」

「っへ、やけになったらそれ終わりだぞ」

 偽者はチャージし始め、ソウルフレイムを出そうとしていた。

 クソ、俺の身体よ、後少しでいいから、早く動いてくれ。

 自分の身体にムチを打って、なんとかソウルフレイムを出すまでに近づきたかったが、少し遅かったようだ。

「じゃあな。本物だった俺」


          【ソウルフレイム】

         【メキドシャドウフレア】


「ぐおわぁ」

 何が起こったのかわからなかったが、何故か偽者の俺のほうが吹き飛ばされた。

「和樹くん大丈夫?」

 え〜と髪の短い方は確か・・・音葉?

「どうしてここに?」

 さっき助けてくれたのは音葉だったらしい。

「音葉、音葉じゃないか」

 瞬さんが嬉しそうに音葉に話し掛けてきた。

「お兄ちゃん、どうしてこんな所に?もしかしてまたおじいちゃんと手を組んで・・・・」

「音葉、それは違う、お前たちを探すために組んでただけで、好き好んであんなクソジジィの言いなりに」

 っとその時、吹き飛ばされた俺の偽者ががれきの山から飛び出てきた。

「いってぇな。どこのどいつだ」

「え?え?和樹君が二人?」

 音葉は俺と偽者の俺を何回も見比べた。

「離れろ音葉、そいつは偽者だ」

 瞬さんは、音葉に離れるように指示し、それに従うように音葉は俺から距離をとった。

「どういうことこれは?」

 音葉が瞬さんに尋ねた。

「あいつはクソジジィ作った人造人間だ。それを今、俺と和樹で破壊してるんだよ。な?」

 そう言って、瞬さんは偽者の俺に同意を求めた。

「そういうことだ音葉。簡単に言えば、源次郎の味方をしてるのは音葉のほうだ」

 あの偽者野郎、ペラペラと嘘ばっか言いやがって。

「音葉違う。あいつが偽者だ。瞬さんの魔方陣から出てきた俺の分身だ。」

 必死に俺が本物だと訴えたが音葉は黙っているだけだった。

 考えているのか、それとも迷っているのか、俺と偽者を何回も見比べている。

「わかった。お兄ちゃん、1つお願いしてもいいかな?」

「なんだ?」

「お兄ちゃんの目の前の魔方陣を消して。そしたら偽者は消えるはず。それで誰が本当のことを言ってるのかわかる」

「お、音葉、お兄ちゃんの言う事を信じてくれないのか?」 

 瞬さんは妙にうろたえている。

「そうだよ音葉、この魔方陣は瞬さんの魔方陣とは全く別の物だから消すとまずいんだ」

 偽者のほうもうろたえているぞ、むしろ消されたらやばいってことか。

「音葉、何が起こるか知らないが、それで真実がわかるなら消せ」

「お前は黙っとけ」


            【ソウルファイア】


 偽者の俺が急に怒り出した。

 俺は紙一重でそれを避けきり、音葉の方に近寄った。

「大丈夫?今治療するから」

 音葉はそう言って緑のビー玉サイズの水晶を取り出して、俺に向けて呪文を唱えだした。

 すると、身体の痛みが消え、傷も治ってきた。

 それと同時に緑の水晶は砕け散った。

「お兄ちゃん、私はこっちの和樹君を信じるよ」

「音葉、お前とは戦いたくなかったんだが仕方ない。どっちが正しかったか兄として教えてやるよ」





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