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第4話:謎の味方

反魔女狩り連盟の誘いを断り、一人でしかも今日中に魔物の件を片付けると言い切った和樹。

そして一人で、黒幕が潜んでいる学校に向かうが・・・


 その夜、俺は真っ先に学校に向かった。

「黒幕がいるとしたら絶対ここのはずだ」

 しかも今日は退くことは許されない戦いだ。

 謝れば済むことだろうけど、俺が北条より弱いと思われてることが気にいらねぇ。

 ここで俺は本当は強いって所を見せておかなくておかなくてはいけない。

 当然学校の門番はマンティコアでお決まりだ。

 しかも今日は2匹並んでいる。

「今度は数で脅されたりはしねぇ」

 俺はチャージしながら2匹のマンティコアに突っ込んだ。

 至近距離10メートル前後で相手も気づき、こっちに身構えた。

「っへ、気づくのが遅かったな」


        【0距離ソウルファイアー・ツイン】


 ソウルイーターを横に薙ぎ払い、マンティコアの鼻先をかすめた時に発射した。

 捨て身覚悟で挑んだのがよかったのか、2匹のマンティコアは1発で消滅してくれた。

 だがこんなのを1匹や2匹倒したぐらいで喜んでいられない。

 今日で決着をつけなければならないんだからな。

 俺は門をよじ登り、堂々と運動場を横切った。

 すると地面が急に青く光りだした。

 よく見ると、線や模様などが書かれていた。

「まさか魔方陣?」

 青く光る地面からは四足のレッドドラゴンから巨大なゴーレム、でかいコウモリみたいなガーゴイルまで揃っていた。

 しかもその数種類の魔物が無数に俺の周りを囲んできた。

「むこうも迎い撃つ準備万端だったってことか」 

 首と足をフル稼働して四方八方を見渡しながら、ソウルイーターを構えた。

 

 一番最初に先陣を切ったのは2本足で立つ格闘型の魔物、ウォーウルフだ。

 素早い格闘技で俺に襲い掛かってくるが、それを紙一重でかわし、下から上へ払い上げ、ウォーウルフを真っ二つにした。

 その瞬間一斉に魔物たちが俺に襲い掛かってきた。

「ただでは死なねー。少しでもお前らを道連れにしてやる」

 前方からの魔物の手を足で払いのけ左右の攻撃はしゃがんでかわし、後方の攻撃はソウルイーターで受け止めた。

 我ながらすごいと思ったが、問題はここからだ。

 この最悪の体勢からどうやって、攻撃に移るかだ。

 俺は自ら体勢をできる限り低くして地を転がり、瞬時に立ち上がり、見境なくソウルイーターを振り回した。

 こんな所で死ねるか。

「っぐ」

 急に背後から、1メートルほどある手に身体を鷲づかみされた。

 最強の魔物のドラゴンがこんな所に潜んでいたとは。

 次第にドラゴンの手に力が入っていき、俺の体の骨はミシミシと悲鳴をあげてきた。

「うわーー」

           【シャドウフレア】


 どこからか飛んできた無数の黒い火の玉がドラゴンに襲い掛かった。

 ドラゴンは俺を手放し、そのまま消えていった。

「大丈夫ですか?」

 腰まで伸びた黒い長髪の女の子が俺に手を差し伸べてきた。

「こんな所にいたら危ないぞ」

「大丈夫ですよ。ほら」

 その女の子が指を指し、その先を見ると今までいた魔物の大軍が消えていた。

 いや、消えていたのではなく、一瞬であの魔物を倒したんだ。

 いたのは肩まで伸びた黒髪の女の子と、茶髪でボサボサ頭の眼鏡をかけた男の人一人が立っていただけだった。

 この人達は一体誰なんだ?

「こんなに魔物に囲まれるまで何やっとってん。ワイらが来んかったら死んどったぞ」

 男の人が如意棒を肩に乗せながら、俺に近づきながら言った。

「でも間に合ったんだからいいじゃない。あなたはもう家に帰りなさい。後は私達に任せて」

 短めの髪の女の子がそう言った。

「これは俺の戦いだ。今日中に決着をつける必要があるんだ。助けてくれたのは礼を言うが、後はほっといてくれ」

 俺はその3人にそういい残し、アバラ骨を押さえながら学校の旧校舎のほうに向かった。

 こりゃ2,3本骨逝っちまったかもな。


 何かあるとしたらこの旧校舎だ。

 誰が見ても空気が淀んでいるのがわかる。

 なんで立ち入り禁止なのかわかる気がする。

 俺は旧校舎の中に足を進めようとしたとき、さっきの女の子に呼び止められた。

「ちょっと待って」

「何だよ?止めても無駄だぞ」

「止めないよ。その代わり私達も手伝ってあげる」

 これは嬉しい吉報だが、誰の手も借りるわけには・・・・

「何を考えとるねん。このさきお前一人で行ったら、10秒も持たへんねんから、さっさとせえ」

 痺れを切らした男の人が俺にどなってきた。

「10秒とか心外だぞ。取り消せ」

「なんで取り消さなあかんねん。ワイは嫌々付き合ったっとるねん。お前に意見する権利はないんや」

「嫌々手伝ってくれるんだったら、こっちから願い下げだ」

 俺はそのままその3人をほっといて中へと入っていった。

 しかもここは運動場と違ってまた雑魚ゴブリンばっかりだ。

 この調子だとここの大ボスもカスかったりな。

「・・・・・・カッカ」

 ん?どこからか笑い声みたいなのが聞こえてきた。

「・・・カッカッカッカ」

 段々笑い声が近づいていき、地下室への階段がポッカリ空いていた。

 その地下室から異様な笑い声が聞こえてきている。

 この先に・・・

 階段を降りる音が不気味に響きそれにシンクロするように笑い声も大きくなってきた。

 それにこの笑い声どこかで聞いた覚えが・・・・

 っと後ろからすごい勢いで階段を降りてくる音が聞こえてきた。

「ちょっと君、ここから先は私達も一緒に行かせてもらうわ」

 さっきの女の子だ。

 男のほうはいないみたいだが。

 でもこの2人なら大歓迎だ。

 あの男は気に入らないけどな。

「私の名前は片桐音葉。こっちは私の妹の琴葉」

「よろしく」

 髪の短いほうが自己紹介してくれて、長い方の琴葉という女の子が小さくお辞儀した。

 片桐っで瞬さんと同じ苗字だけど、もしかして兄妹とか?

 いや、ただ苗字が一緒なだけだろう。

「俺は陸奥和樹。よろしくな」

 自己紹介を終わった所で、俺たちはまた階段を降り始めた。

 かなり長い階段だったが、ようやく部屋らしき場所に出てきた。

 奥の方では両手を広げ、地面につくほどの長いマントをなびかせているシルエットが見えた。

「カーカッカッカッカ、待ちわびたぞ陸奥大輔の子供と我が孫達よ」

 っな・・・陸奥大輔って、何故俺の親父の名前を、それにこの子たちがあいつの娘?

「やっぱりおじいちゃん、こんな所で何してるの」

「説明せぬとわからぬか?」

 そのシルエットの人は振り向きこっちに歩いてきた。

 白髪のオールバックで、右目に眼帯をしていて、胸まで伸びる白いあごひげ、多分年齢は70代くらいだろう。

「そちらから来たのは嬉しいが、まずは我が孫をしつけぬといかんからな、大輔の子供はあとで調理してやる。それまでは・・・」

 っと言った瞬間、俺の真下の地面だけ穴が開き、真っ逆さまに落ちていった。

「カーカッカッカ、その程度で死なれたらそこまでじゃと言うわけじゃ」

 そいつは俺を見下しながら俺に言い放ち、消えていった。



「いってー」

 ゴツゴツした地面に叩きつけられ、しかも背から落ちたせいで、体の自由が利くまで時間がかかった。

 辺り周辺は壁に10メートル間隔ぐらいでたいまつ付いていて、それ以外はなにもない。

 あとは俺の真下にあるゴツゴツしたのがたくさん――――無数の骸骨だ。

 多分ここに叩きつけられて亡くなった人たちか、もともと死んでた人が落とされたのか定かではないが、そういう人たちだろう。

「あのクソジジィまた犠牲者を増やしたのか」

 誰かがこっちに来た。

 俺は死んだふりをして、その場で仰向けに倒れた。

「おい、なんでお前なんだよ」

 俺は薄目で相手の顔を見た。

 瞬さん、なんでこんな所に・・・

 しかも瞬さんの右手にはナイフが握られていた。

「悪いな、お前だけはちゃんと俺が介錯してやるからな」

 そう言って、俺の首にナイフを突き刺そうとしてきた。

 俺は瞬時にそのナイフをソウルイーターで弾いて、瞬さんと間をとった。

「まさか瞬さんが裏で動いていたなんて・・・見損ないました」

「妹を見つけるためだ。仕方がなかったんだよ」

 そういうと瞬さんは狛犬みたいな30cmくらいの生き物召喚した。

「和樹、お前にこいつを倒せたら、ここは退いてやる。いけ、シーザー」





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