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第19話:新たなる旅立ち

すっごい間が開いてしまってすみません。

作者でさえ、前話の話を忘れてるぐらいですから、もう一度読み直していただくことをオススメしますw


 1段落して俺は立ち上がり、爆発が起こった場所を確かめることにした。

 正直見に行くのは怖かった。

 人の死体はもちろん、何より仲間の死を見届けるのが怖かった。

 でもその不安は一瞬にして消し去られた。

 もと神社であった場所は何もない荒地になっており、人ひとりもおらず、建物があった痕跡すらも残っていなかった。

 10年前と全く同じ光景。

「うっ・・・頭が」

 ものすごい頭の痛みを感じ、立ちくらみをし、その場にしゃがみ込んだ。

 一瞬10年前の記憶と今の現状と重ならない部分があった。

 光景とか全ては10年前と誰が見ても同じなのに、何か変な違和感に包まれた。

「ぐっ・・・・」 

 それを思い出そうとすれば、更に頭痛が激しくなる。

 そうだ、こんな想いをしたのは初めてなのか。

 でもそれだと10年前の出来事は・・・。

 考えれば考えるほど頭の痛みがひどくなってくる。

「うわぁーーー」

 俺はひどい頭痛にやられ意識を失った。

 もしかすると思い出してはいけないものを思い出そうとしていたのかもしれない・・・。


「俺が二人?」

「違うよ、この子は君とは別人だよ」

 白衣をきた男の人が俺に話し掛けてきた。

 向かいにいるもう一人の俺は俯いているだけで、生気は感じられない。

 場所は研究所っぽい場所だ。

 そうかこれは昔の記憶だ。

「和樹?」

 部屋の扉が開き、お姉ちゃんが俺に歩み寄ってきた。

「本当にこっちが和樹なの?」

「あぁそうだよ。成功とはいえないが失敗ではない。綾乃君には悪いが・・・」

「違う、じゃあこの子は一体誰なのよ」

 お姉ちゃんが俺とは違うもう一人の俺に指を指して叫んだ。

「この子が我々の研究の成果だよ」

「違う、和樹はこんな人形みたいなのじゃない。返して、返してよ私の弟を」

 お姉ちゃんはその白衣を着た男の人に、何度も両手で力なく叩きながら泣き叫んだ。

 僕はここにいるよ。

 俺はその一言が何故か言い出せなかった。

 それは目の前に僕がもう一人いたからだ。

「ん?」

 目を覚ましたら、俺は何処かの布団の上に寝かされていた。

 誰かが運んでくれたのだろうか。

 場所はただの小さな小屋の中で、布団以外なにもなく、全く生活感がない小屋の中だった。

 それにしてもあの記憶は一体なんだったのか。

 思い出そうとするとまた、頭に激痛が走る。

 あの時、お姉ちゃん俺ではなく、俺に似たもう一人の奴を和樹と呼んでいた。

 だとすると俺は誰なんだ?

「ぐぁ・・・・」

 また意識が飛びそうなほどの頭痛が襲ってきた。

「これ以上考えるのは今はやめた方がいいわよ」

 小屋のドアが開き、そこから穂多琉が入ってきた。

「無事だったのか?よかった、もうてっきり死んじまったのかと」

「私達がそう簡単に死ぬはずないじゃない、薫も美咲も皆生きてるわよ。今は出払ってるけどね」

「マジか?音葉と琴葉たちも無事なのか」

 ハンターの仲間ではないけど、一応心配だったので聞いてみた。

「そいつらもいたの?でもあの爆発の中にいたんじゃ生きている方が難しいわね」

 でも返ってきた答えはいい返事ではなかった。

 そりゃあれほどの爆発で全員無事なのは奇跡に近いだろう。

「とにかく今は寝てなさい。あなたは今極限の混乱状態に陥ってるから」

 そう言って穂多琉は、俺を無理矢理寝かしつけた。

 でも今は寝ている場合じゃない。

 自分のこともそうだけど、あの後のことも気になる。

「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいか?」

 俺は横になりながら、隣で座っている穂多琉に話かけた。

「私が答えれることならいいわよ」

「まずは俺は誰なんだ?」

「変わったことを聞くのね。あなたは陸奥和樹。それ以外なんでもないはずでしょ」

 穂多琉は淡々と答えた。

 俺はさっきの過去の夢の話をした。

 俺と似たもう一人の奴がいて、お姉ちゃんがそいつのことを和樹と呼んでいたこと全て。


「もうそこまで思い出しかけてるのね」

 予想外の答えが返ってきて驚いた。

 一体どこまで俺のこと知っているのか。

 何故そこまで詳しいのか、不気味なくらいだった。

「疑われてもしかたないわね。でも私もつい最近知ったの。和樹の監視役に選ばれた時からね」

 意味がわからない。何故俺が穂多琉に監視されなきゃならないんだ。

「単刀直入に言うと、あなたは人造人間。氷室教授に作られたもう一人の陸奥和樹。でも本物の陸奥和樹もあなた」

 意味がわからない。俺は普通の人間じゃないっていうのかよ。

 じゃあ俺じゃないもう一人の俺は一体誰なんだ?

 それを聞こうとしたが穂多琉が話を続けた。

「事件は10年前、片桐源一郎が起こした爆発で本当はあなたは死んでいたの」

 あの事件か。でもあれはお姉ちゃんが守ってくれて・・・・

「それは作り出された記憶よ」

 うそだろ・・・・

「だから陸奥綾乃もあなたを置いて出て行き、もう一人の所へ行った」

 そうだ、あの時もう一人、俺と同じ姿をした奴がいた。

「そのもう一人って奴はいまどこに?」

「綾乃と同じ魔女狩りよ。あなたも一回会ったことあるはず」

 うそだ、うそだ、うそだ、俺と同じ姿した奴がいたら、すぐに気づくはずだ。

「当然容姿はあなたとは、全然違うわ。あなたは作られた体だからね」

「・・・・・」 

 俺は全く頭の整理が追いつかず、自分でも考えているのか分からず、ただただ時間だけが過ぎていった。

 そして長かった沈黙は穂多琉の意外な言葉で破られた。

「冗談よ」

 穂多琉が軽く笑って言った。

「へ?」

「全て冗談、あなたは何も気にしなくてもいいの」

 クソ、タチ悪い冗談はやめろよな。

「あの夢はなんなんだよ。どうしてそんな嘘を・・・・」

「夢は所詮夢よ。和樹は何も考えなくていい」

「は?」

 話の途中、ドアが開いた。

 外からは薫と美咲と猛がいた。

「おぉ目を覚ましたか坊主、心配したんだぜ」

「和樹さん大丈夫でしたか?」

「お騒がせしてすみません。なんとか無事です」

 本当、皆無事でよかった。

「穂多琉、やっぱり穂多琉の言う通り、本部は壊滅、とても再興できる状態じゃなかったわ」

「やっぱりね。それより薫も和樹の目覚めを喜んだらどう?」 

「今はそんな時じゃないでしょ?本部が落ちたのよ。他の支部も壊滅。これから私達はどうすればいいっていうのよ?」

 本部が落ちた?一体どう言う事だ?

 俺が寝てる間に何が?

「まんまと敵の計略にハマってしまって、連盟は壊滅状態ってことよ」

 穂多琉が俺にわかりやすく、説明してくれた。

 残ったのは俺を含めて、5人。

 他のやつらは、本部救出に向かう途中、迎撃されたりで戦死したらしい。

「英雄王はどうしたんだ?本部にはそいつがいたんだろ?」

「消息不明さ」

 猛が言った。

「とりあえず、今日はゆっくり休みましょ。行き詰った時は、決してうろたえず、無理をせず、十分に休養して力を養うのも一策です」

 美咲が両手を合わせてそういい、料理の支度を始めだした。

「おぉ、俺も手伝うぜ」

 猛も槍を壁に立てかけて、調理場に向かった。

「確かにそうね。こういう時こそ休養が必要ね。ちょっと風に当たってくるわ。できたら呼んでちょうだい」

 そう言って、穂多琉は出て行ってしまった。

 それについていくように薫まで出て行った。

 俺も少し外の空気でも吸ってくるか。

 布団から起き上がり、外に出た。


 山の中らしく、回りには木が立ち並んでいた。

「ちょっと、穂多琉まで逃げ出す気」

 奥から薫の声が聞こえてきた。

「少し別行動をするまでよ。必ず帰ってくる」

「どうしてそんな嘘をつくの。穂多琉は仲間だと思ってたのに」

 俺は悪いと思いながら、隠れて聞き耳を立てていた。

「私がいたら、和樹をダメにしてしまいそうだ」

「どういう意味よ?」

「和樹に本当のことを話すのは早すぎただけよ。それにあれで誤魔化せたとも思えないし」

「本当のことってなんなのよ」

「それは薫が知る必要はない。薫には薫にしかできないことをして」 

「その間穂多琉はどうするのよ?」

「それは・・・言えない。でも信用してほしい。必ず帰ってくるから」

 薫は考えているらしく、長い沈黙が続いた。

「わかった。穂多琉のこと信じるわ。それで私にしか出来ないことって何?」

「今、和樹は例のロザリオを持っている」

「どうして?あれは耕介が受け継ぐはずだったんじゃ」

 これのことか?

 俺は服の下に隠していた、耕介から預かったロザリオを取り出した。

「薫も薄々気づいているはずだけど、耕介はもうこの世にいない。だけど死ぬ前に希望を和樹に託したの。

私がいたらその希望まで壊しかねない」

「・・・・うん、わかったわ。後のことは私に任せておいて」

「ありがとう」

 そう言って、穂多琉は一人で先へと進み、姿を消した。

 俺も聞き耳立ててるのバレないうちに戻るとするか。



「明日から、私達は魔女狩り本部を攻める準備をするわ」

 食事中、薫が急に言った。

「確かに今は攻めどきだが、4人じゃあ向かい討たれるのがオチだ」

 猛が異を唱えた。

「今が攻め時にしても、準備してる間に好機は失ってしまいますよ」

 続いて美咲も反論した。

「その前にどうして今が攻めどきなのか教えてくれ」

 俺だけ、意味がわからず、質問した。

「あぁ、例の爆発、あれは魔女狩りの内乱の結果」

「謀反人が現れたんです。幹部会の大半が寝返ったと聞いてます」

 美咲が付け加えて教えてくれた。

 思い当たる節がいくつもあった。

 お姉ちゃんの言う事聞かない久遠時、お姉ちゃんも知らなかった計画。そして、久遠時に肩入れする水無月。

 っということはお姉ちゃんが危ない。

「お姉ちゃんを助けにいこう」

「はぁ?和樹、戦いに私情をはさむもんじゃねぇよ」

 猛に怒られた。

 そりゃそうだろ、敵を救うって考え事態・・・

「和樹がそう言うんだったら仕方ないんじゃない」

「え?」

 薫が予想外の言葉を発した。

「本気でいってるのかよ」

「えぇ、猛もそれを見たらわかるんじゃない?」

 そう言って、俺の服の下に隠していたロザリオのネックレスを、引っ張り出した。

「おまえそれ、連盟の後継ぎが持つはずのロザリオじゃねぇか」

「っということは今の連盟長は和樹さん?」

 えぇ〜〜〜〜。

 このロザリオがそんな意味をもつ物だったなんて。

「まだこれがある限り反魔女狩り連盟、魔女狩りハンターは死んでないわ」

「まぁ、連盟長の命令じゃ仕方ないか」

「これで再興も夢じゃないですね」



 俺の存在の意味。穂多琉の言う通り、俺は普通の人間じゃないかもしれない。

 でも今はそんなことはどうでもいい。

 お姉ちゃんを助け出せばそれも、明らかになるだろう。

 今は自分の信じた道を進むのみ。

 俺の本当の旅はここから始めるのだろう。



色々詰め合わせすぎた感がありますが旅立ち編はこれで終わりです。まぁ3章のための伏線みたいな感じですね、旅立ち編と次回の逃亡編は。まぁ途中挫折しないよう頑張りますので応援ヨロシクお願いします。

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