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第18話:過ち

皆さん遅れましたけど、あけおめです!

今年もFUSEとも魔女狩りをヨロシクお願いします。

「なんだこれは・・・」

 神社っという形はほとんど残ってなく、見えない所から子供の泣き声、その子供を捜す親の叫び声、

それに1秒でもいたくないというゴムみたいのが焼けた臭いが辺りを覆っていた。

「この光景どこかで・・・・」


『お母さーん』


「うっ・・・」

 子供の声と10年前の出来事が重なり、めまいを起こした。

「たすけてく・・・がはっ」

 俺に助けを求めてきた男が目の前で誰かに刺された。

「信徒か」

 こいつらは服装が統一されてるからわかりやすいが、なんで罪のない市民まで。

 しかもヘラヘラしながら何故殺せる。

「うっ・・・・・」

 またさっきの出来事のせいで10年前の出来事がフラッシュバックされ、次々に蘇ってきた。

「やめろ」

 罪もない市民たちを虐殺している信徒たちを、片っ端から殺していき、市民救援を援護した。

「今の俺は10年前の俺とは違う。守られる方じゃなくて守るほうだ」

 穂多琉には敵将を討ち取る指示をされたけど、そんなことしてる間にも10人20人と罪もない人たちが・・・

「お前みたいな奴が、何こんなところで遊んでるんだよ」

「あ・・・・」

 俺はそいつの姿を見た瞬間声がでなかった。

「君、手が空いているなら・・・・」

 一般市民がその男の肩に手を乗せた瞬間、急に倒れた。

「俺に触れただけで死ぬとは生きる価値などない」

 触れただけ?違う、こいつはさっきの人が触れた瞬間何かしたんだ。

「水無月龍二、何故こんな所に」

「どこにいたって俺の自由だろ」

 水無月といえば今では魔女狩り最強の男。

 そんな奴に俺が太刀打ちできるはず・・・いや、ここで俺がやらなきゃここにいる人は全員やられる。

「俺とやりあうつもりか?」

 いつのまにか俺はソウルイーターを抜き水無月に向かって構えていた。

「例え刺し違えてもお前を倒す」

「笑わせるなよ小僧。お前に刺し違えるほどの力があると思ってるのか」

 その瞬間水無月は消え、頭にものすごい衝撃が来た。

「がっ・・・」

「そう簡単に死なれたらおもしろくない。もうちょっと耐えてくれよ」

 地面に叩きつけられて、一回バウンドした俺の身体を蹴り上げ、今度は上空から地面に叩きつけられた。

 全く攻撃できずにやられちまうとは情けねぇ。

 せめて1太刀・・・。

 それに俺はこんな所で死ねないんだ。

「そうこなくては面白みがない」

 動かない身体に無理矢理ムチを打ち、ぶざまな姿だがかろうじて立つことが出来た。

「でもこれでトドメだ」


           【生命奪取】


 その瞬間何か見えない手に、両腕と両足をわしづかみにされた感覚がし、身動きが出来なくなってしまった。

「ぐ・・が・・ぐはっ・・・」

 何か見えない物体が次々に俺の身体を貫通していき、徐々に体力を削られ、意識が遠のいてきた。

「龍二ーーーー」

 ある男がそう叫びながら棍を振り回し、水無月に突撃していった。

 それと同時に俺の呪縛も解け、両腕と両足をつかまれている感覚もなくなった。

「大丈夫か和樹」

 この声はどこかで聞いた声。

「なんとか治せる傷よ」

 目も開けられない瀕死の俺を誰かが、抱きかかえてくれてるのがわかり、徐々に痛みも和らいでいき、俺は目を開けた。

「光明寺、それに音葉に琴葉」

「今は喋らないで」


           【ヒーリング】

 

 音葉の腕の中で琴葉に治療される俺。

「本部の隅っこで怯えとると思ったら、こんな弱い者虐めしとったんかい」

「それはこっちのセリフだ。あれから全く姿を現さないで、どこに隠れていたんだ」

「アホぬかすな。次から次に刺客差し向けといて、こっちは端から戦う気満々や」

「それじゃあ久しぶりに楽しませてもらおうか」

「嫌になるくらい楽しませたるわ」

 そう言った瞬間二人の姿は消え、ものすごい風が俺たちに襲ってきた。

「一体なにが起こってるんだ?」

 ほぼ傷が癒えた俺でも、何が起こっているのかわからなかった。

「大和の棍と水無月の爪がぶつかりあってるの」

 音葉がそう説明してくれた。

「じゃあなんで姿が見えないんだ」

「見えないんじゃなくて、和樹君が見切れてないのです。ものすごい速さで移動してるから無理はないですけど」

 次は琴葉が説明してくれた。

「じゃあさっきまで戦っていた水無月の力って・・・・」

「1割も出してないと思います。多分二人ともまだ小手調べ程度です」

 マジかよ。これで小手調べってどれくらいの強さなんだ。

 しばらくぶつかりあった後、二人は距離を取り、にらみ合いながら次の攻撃に備えていた。

「音葉、琴葉、お前ら二人は和樹と一緒に市民の救助に回れ。ここはワイひとりでええ」

「足手まといを逃がすか。だったら場所変えないか?俺は大和と思い切り戦いたいからな」

「龍二にしてはおもろいこというやんけ」

 そう言うと龍二はついて来いと、アゴで合図し、何処かに行ってしまった。

「あいつは任せろ。お前ら3人は今自分ができることをせぇ」

「うん。あんな奴に負けちゃダメだからね」

「任しとけ」

 そう言って、光明寺も水無月の後を追った。


「私はあっちにいくから琴葉は和樹君と一緒に向こうをお願い」

 音葉はそう言い、一番被害が大きそうな境内のほうへ入って行った。

「和樹君私達は入り口付近の市民を助けましょ」

「あぁ」 

 俺は倒れている人を一人一人、息があるかを確認して回り、息のある者を被害に会わない所まで移動させた。

 その救助活動してる中に思わぬ人物がいた。

「お姉ちゃん」

 間違いない、あの黒いローブ姿、しかも今回はフードを外していて、お姉ちゃんだとはっきり確認できた。

 でもどうしてそんなことしてるんだ。

 信徒にこういう命令をしたのはメシアであるお姉ちゃんのはずだ。

 意味がわからない。

 こういうことは、直接本人に・・・・

 俺は救助活動中のお姉ちゃんの目の前に立った。

「和・・樹・」

 やっぱりお姉ちゃんだ。

「・・・・・」

「そんな所に突っ立ってないで和樹は早く逃げなさい」

 お姉ちゃんはそう言い残して、その場を立ち去ろうとした。

「メシアならこんなこと止めるように命令すればいいだろ。

こんな所でチマチマ何をやってるんだよ。そんなことしても、被害は広がる一方だろ」

 俺はいつのまにかそんなことを口走っていた。

「それができたらこんな苦労しないわ」

「お姉ちゃん?」

「メシア様、こんな所にいたのか。早く逃げないと・・・・」

 真里菜が慌てて、お姉ちゃんに近づき逃げるように促した。

「嫌です。一人でも多くの市民を救うのです。そのために真里菜も手伝ってください」

 どういうことだ。

 やってることと言ってることが違うじゃねぇか。

 確かにさっき暴れてたのは魔女狩りの信徒だ。

 水無月もいたから魔女狩り仕業には間違いない。

 っということはやっぱりお姉ちゃんは魔女狩りなんかじゃないってことか。

 でも穂多琉ははっきり言っていた。

 魔女狩りのトップメシアであると。

 真里菜もさっきからお姉ちゃんのことをメシアと呼んでいるからそれは間違いないだろう。

「その命令は聞けません。早く本部に」

 真里菜が必死に言ってるのに、お姉ちゃんはそれを聞く耳を持たずに救助活動を続けている。

「真里菜の言うとおりですよ。メシア様」

 久遠時。あいつまで現れるとは。

「真幸。あなたはなんてことをしてくれたのですか。せっかくのお祭りを」

「反魔女狩り連盟を滅ぼせと言ったのはメシア様じゃないですか」

「ですがこんなことをする必要は・・・」

「これが一番効率の良い策なんですよ。かならず吉報を持って帰りますのでメシア様は本部にお戻りを」

 あの久遠時が腰の位置辺りまで深くお辞儀をして言っている。

 でもそれにも関わらずお姉ちゃん、メシアは全くもって聞く耳をもたない。

 言っても無駄だとわかった久遠時は、頭を上げメシアであるお姉ちゃんに手で斬撃を飛ばし、頬をかすめた。

「これだけ言っても聞かないのであれば、力づくで戻っていただきますよ」

「おい久遠時、メシア様に向かって」

 真里菜が前に出て久遠時を止めようとしたが、お姉ちゃんは真里菜の行方を右手でさえぎった。

「別に構いません。、黙っ怒り狂った強い者の猛攻よりも、子供のすすり泣きの方が痛いわ。

和樹ならこの意味わかるでしょ」

 急にお姉ちゃんは俺に話を振ってきた。

 もしかしてお姉ちゃんも10年前のことを・・・・

「何をわからないことを言っておられるのですか。猛攻のほうが痛いに決まってるじゃないですか」

 その言葉を言い終わった瞬間、久遠時が剣を召喚し、お姉ちゃんに襲い掛かった。

 お姉ちゃんはまったく防御のしせいもとらず、そのまま突っ立っていただけだったが、間一髪で真里菜が防いだ。

 今気づいたが、もしかして、これは内乱なのか。

 水無月や久遠時が謀反を起こし、命令違反をしているっていうことか。

 でもそれだったら魔女狩りの本部を抑えれば終わりのはず。

 いや、久遠時は確か、俺たち連盟を滅ぼすとも言っていた。

 じゃあ俺たちがここに集まることを久遠時は気づいていたってことなのか。

「小僧、メシア様を連れて逃げろ」

 久遠時に押され気味の真里菜が叫んだ。

「いけません。真里菜では真幸には敵いません」

 小僧とは俺のことだ。

 何故かいつの間にか、魔女狩り内の戦いに巻き込まれてしまったが、俺はお姉ちゃんの手を引っ張り、神社からでようとした。

「和樹」

 俺は夢中で走った。

 とにかくお姉ちゃんをここから離れた場所に連れて行かないと危ない気がした。


「和樹」

 神社からかなり離れた所で、お姉ちゃんが無理矢理俺の手を振り解いた。

 ここまでくればもう安心だろ。

「和樹は10年前の出来事を忘れてしまったのですか」

 あんな出来事忘れるはずもない。

「今まさにあの10年前の二の舞になろうとしているのよ。

あの時は和樹一人しか、守れなかった、でも今は止めることができる。それをどうして邪魔をするの」

「意味がわからないよ・・・・」

「和樹?」

「この騒ぎは魔女狩りの仕業なんだろ。例えこんなこと命令してなくても、こんなことが起きる前に

防げたんじゃないのかよ。それになんでお姉ちゃんだけなんだよ。水無月も久遠時そんなこと全くしてなかったぞ」

 俺はつい感情的になってしまい、自分でも理解しにくいことを言ってしまったと思った。

「・・・・」

「なんでそこで黙るんだよ」

 その時、神社を中心に大規模な爆発が起こった。

 まるで10年前を再現するかのような爆発だ。

 あの規模だと神社にいるやつは勿論、周囲にいる奴も危ないぞ。

 かなり離れている俺たちの所まで、爆風がひどく、色んな物が飛んできた。

 って待てよ、あそこには穂多琉達がまだ残ってるんだぞ。

 それに音葉と琴葉も・・・・

 俺は全ての力が抜け、膝から崩れおちた。

「所詮、人は無力ということですね」

 お姉ちゃんがフードを被り、俺に背を向けた。

「こんな想いしたくなかったら、これ以上関わらない方がいいわよ」

「お姉ちゃん?」

 そう言って、お姉ちゃんは黒い霧に包まれて、姿を消した。

「ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう・・・・・・」

 地面に力いっぱい拳を叩きつけながら、俺はただただ、嘆くしかなかった。

 






旅立ち編も残り1話ということになりました。

今までお付き合いいただいた方、あと少しだけお付き合いください。

でも旅立ちが終わった後もまだ独立、逃亡、崩壊、決戦、とまだ4章分も残っているので終わりはまだまだですけどw

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