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第17話:再会

 二人はそのまま沈黙を保ち、俺たちがついてきていることも確認せずに先々と目的地に向かうだけだった。

 素性をまったく表さないのがこれほどめんどくさい相手だとは知らなかったぜ。

 美咲も俺と歩調を合わせて歩いているが、さっきから一言も喋らない。

 きっと俺たちの会話が盗聴されている可能性があるからだろう。

 むやみにこっちからボロを出すわけにはいかば・・・・

「おいお前たちそこから先に来てはだめだ」

 こんな所に見張り?

 しかも見張りにしては数が多すぎる。ざっと数百人はいる。


       パン


 真里菜が不意にその見張りにショットガンを放った。

「いいからそこをどけ」

 最後の忠告と言わんばかりに、真里菜は1メートルほどあるショットガンを、他の見張りに突きつけた。

 しかし見張りはうろたえる事もせず、二人に襲い掛かった。

「俺たちも参戦して二人を・・・」

 助けるぞっと言おうとしたら、美咲に止められた。

「あれは反魔女狩り連盟の兵です」

 連盟の?だとしたら、連盟の兵達と戦っている、二人は俺たちの敵か。

「この兵達はおそらく伏兵として使われる予定だったのでしょう。あの兵達が片付いたら次は私達です。

今のうちに二人の戦い方を知っておくべきです」

 っということはやっぱりあの二人は魔女狩りか。

 しかもこんな状況でもすばやく冷静な判断を欠かさないとは。

「それともここは見張りさんたちを囮にして逃げますか?私達では敵わない相手のようですし」 

 っと急ににこやかに言われ、不意をつかれた。

 確かに二人の動きには全く無駄がない。

 真里菜は敵と火炎放射器と体術で見張りと距離を取りながら、確実に銃で仕留めていき、

黒いローブの女は、右手に紫の光を帯び、一歩も動かずその右手で襲い掛かる見張りを迎撃している。

 こいつらには人数というものは全く苦になってない。

「和樹さん、ここは退くのが賢明だと思います。二人に全く疲れが見えません」

 同感だ。疲れが見えてきた辺りから、不意打ちでもかましてやろうと思ったけど、無意味のようだ。

 俺たちはその場から離れようと背を向けた瞬間、俺の真下の地面に銃弾が飛んできた。

「あたしらから逃げれると思うなよ。ハンターさんよ」

 バレてる。

「ここは俺が時間を稼ぐから美咲だけでも逃げろ。二人とも捕まったらお終いだ」

「和樹さん一人じゃ無茶です」

 俺は美咲の言葉を無視して、真里菜の火炎放射器を蹴り落とした。

「雑魚相手じゃつまんねぇだろ?俺が相手してやるよ」

 今の俺にできることは時間を稼ぐこと。

 手加減なんかできる相手じゃねぇし、最初からソウルイーターを使わせてもらおうか。

「あたしからしてもお前も同じ雑魚なんだよ」

 っと真里菜は何処かからショットガンを取り出し、俺に向けてためらいもなく発砲した。


             【ソウルイーター誓い】


 目の前の複数のショットガンの玉を切り伏せた。

 危ね、ちょっとでも『誓い』を出すのが遅れてたら蜂の巣になるところだったぜ。

「やるじゃねぇかそれじゃあこれならどうだ」

 っと言いながらロケットランチャーを取り出し、狙いを瞬時で定め、放ってきた。

「どこからそんなもんとりだして・・・」

 

   ドゴォーーーーーン


 避ける間もなく、仕方なくソウルイーターを投げつけ、ロケットランチャーを空中で爆発させた。

 俺はその爆風を利用し、真里菜と距離をとった。

 爆煙で視界が悪く、煙が収まるまで、しばらくじっとしていたら、何かが俺の肩を貫いた。

「な・・・・」

「安心するのは早いぜ」

 爆煙の中からリボルバーを持った真里菜が現れ、今度は俺の頭上にそのリボルバーを突きつけてきた。

「名も無いくせによく頑張ったな」

 っとトリガーを引こうとした瞬間

「真里菜やめなさい」

 見張りを全て倒したローブの女の人が、こっちに近づきながら軽く言った。

「ごちゃごちゃうるせぇなぁ」

「これは命令です」

 今度はさっきの言葉とはうらはらに力強く叫んだ。

「っち」

 真里菜は舌打ちをし、銃を消した。

 こいつ、武器を召喚してたのか。

 だから次から次へと武器が出てきてたってわけか。

「あなたがハンターにいるなんて、これは運命なのかしらね」

 っとその場に落ちてあった俺のソウルイーターを拾いローブの女は呟いた。

 あれは陸奥の血を引いてる奴しかもてないはず。

「なんでお前もソウルイーターを持てるんだよ」

「・・・・・・」

 俺の問いかけにローブの女は全く答えなかった。

「ソウルイーターって、隼人の紋章と同じじゃねぇか。何か関係でもあるのか」

 また隼人か。

 あいつも陸奥の血を引いてないのにソウルイーターの紋章を身につけていた。

 クソ、何がなんだかさっぱりだぜ。

「ここから先はあなたが来る場所ではありません。早急に自分の家に戻りなさい」

 そう言ってローブの女は俺の目の前にソウルイーターを置いた。

「俺はお前に忠告される覚えもないし、命を助けてもらう義理もないぞ」

 っと叫んでもローブの女は真里菜を連れて、黙って歩いていった。

「弟を心配しない姉がいるわけないじゃないですか」

「え?」

 一瞬そう言う言葉が耳の中に入ってきた。

「姉ちゃん?」

 そう言うとローブの女は一瞬立ち止まったが、また歩き始めた。

 あのローブの人が姉ちゃんだったら、ソウルイーターを持てるのも筋が通る。

 俺は追いかけようとしたが、姉ちゃんに会えたという喜びと、

その反面の裏切られるかもしれないという恐怖で、身体が動かなかった。


 数分後どこかから爆発音がし、俺たちが向かおうとしていた場所から、火の煙が上がり始めていた。

「作戦実行の合図か」

 頭の中では行かなくてはならないと、わかっていても動く気すらサラサラなく、その場に座りこんだままだった。

 どこから俺の道は変わっちまったんだ。

 俺は何故、今魔女狩りと戦うことになってるんだ。

 そういう考えがグルグル頭の中で回り始めていた。

「和樹」

「無事だったようね」

 美咲と穂多琉が迎えに来てくれたようだ。

 それじゃあ俺もそろそろ動くとするか。

「穂多琉さんから聞いたんです。やっぱりここにいた兵は皆伏兵だったそうです」

「対真幸専用に用意してたのに、こんなことになるなんて」

「・・・・・」

 俺は無言で現地の神社に向かおうとした。

「迷っているの?信じられない姉の姿を見て」

「!!」

 穂多琉が思いがけない言葉を言った。

「やっぱりあの女の人は俺の姉ちゃんなのか?」

「えぇ、あなたの姉でもあって、魔女狩りのトップメシアでもあるわ」

「穂多琉さんここで話すのは・・・・」

「和樹には今迷いがある。この状態で戦われても迷惑なだけだ」

 そう言い穂多琉は真剣に俺の目を見つめてきた。

「全てを受け入れる覚悟はある?」

「真実を知れるなら」

 俺も目をそらさずに穂多琉の目を見つめた。

「だったら死に急いだらだめよ。この戦いが終わったら全てを話してあげるから」

「なんだよ、今話してくれてもいいじゃねぇか」

「今は一刻も争う時なんです」

 美咲が横から入ってきた。

「私達の作戦が乗っ取られたといっても過言じゃないわね」

「乗っ取られたってどういう意味だよ」

「さっきの爆発は私達じゃありません。私達の作戦を知った久遠時が行ったことです」

 っということは、あの爆発は

「合図と関係ない爆発よ。だから今は兵達が混乱し、まったく統率が取れない状態」

「一般市民も巻き込まれ、大変なことになってるの」

「薫と猛はどうした?」

「行方知れずね。今は各自奮戦するのがいっぱいいっぱい。探してるヒマなんかなかったのよ」

 仲間は皆チリヂリか。

「俺にできることはなんだ?」

「和樹は私と一緒に魔女狩りの将兵を討ち取り、美咲は一般市民の救援をお願い」

「わかりました」

 っと美咲は一人で神社のほうへ向かっていった。

「和樹、これは雌雄決する一大決戦よ。敵を討ち取るのも大事だけど、自分の命を大切にしなさい」

 そう言って、穂多琉も神社のほうへ向かって行った。

「っへ、全ての真実を知るまで死ぬわけないだろ」

 っと俺も二人の後を追い、神社に向かった。



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