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第15話:再会

「ったく、一体どこに行く気だよ」

 何度呼んでも振り向かず、一向に距離も縮まない。

 明らかにおかしいだろ。

 それにこのまま進めば、たどり着くのは魔女狩り南支部だ。

 そんな所に誘い込んで、耕介は一体どうするつもりなんだ。

 しかし、魔女狩り支部が見えた辺りから、姿が消えいつの間にか、近くの雑木林の中に入ろうとしていた。

「どうなっているんだ?」

 この時、俺はあいつが耕介じゃないと感じたが、俺をここまで連れてくる理由が知りたく、その後を追った。


「確かこの辺りのはずなんだが・・・・」

「誰だそこにいるのは」

 急にライトを当てられて、しかも背後から襲われかけた。

「っち、しくったか」

 こいつらは信徒か。

 もしかしてこいつらが俺を?

 次々に集まってくる信徒に俺はどうすればいいか戸惑った。

 まさかこんな罠が待ち受けてるとは、予想外だったからな。

「待て、あいつじゃないぞ」

 信徒の一人が言った。

 どうやら誰かを探しているみたいだ。

「とりあえず邪魔される前に殺しとくか」

 ピンチには変わりないか。

 まぁ、ざっと20人くらいだから、負けるはずは無いと思うんだが。

 まずは一人命知らずの信徒が飛び込んでき、俺は受け流し、信徒の方へ蹴り飛ばした。

 これで5人くらいは逝ったな。

 っと余裕をかましていたのだが、明らか信徒の数が増えていた。

 まずいな、更に集まってきてるじゃねぇか。

 でも一人一人の戦闘能力は低いからなんとかなるはずだ。

 次々に襲い掛かってくる信徒の攻撃をかわしつつ、確実に一人づつ仕留めていった。

 猛との訓練は無駄にはなってないようだ。

「あなたたち、一体何をしているのですか?」 

 男の声が響き渡った瞬間、信徒の動きが止まった。

「あなたたちの任務はその男の始末ではないはずですよ」

 そう言った瞬間、信徒は散らばり始めた。

 危なかった、体力が持つか心配だった所だ。

 信徒全員が散り、その男の姿が現れた。

 会ったことはないが、俺の知っている奴だった。

「久遠時真幸」

 手配書でしか見た事なかったが、手配書の写真通りスマイル顔で現れたからすぐにわかった。

「川辺耕介の化身にでも誘われましたか?」

「耕介の化身?」

「その顔は図星のようですね」

 流石は幹部会だけあって、ものすごい観察力だ。

「俺を殺すのか?」

「いいえ、あなたの後を追えば、川辺耕介と接触できると思ったのですが、どうやら見破られてたみたいですね」

 スマイル顔で話してくるせいで、全く殺気などは感じない。

 でも話の内容がいまいち俺には把握できない。

「あなたはわからなくてもいいのですよ。川辺耕介もあなただけに会いたいみたいですから」

 そう言って俺に背中を向けて去ろうとした。

「待てよ。多人数じゃきついけど、一騎打ちなら負ける気は全くねぇ」

 俺はここで幹部会の一人、久遠時を討とうと試みた。

「あなたはまだ若いです。早死にする必要はありません」

 っと振り向きもせず、歩を進めた。

「嘗めやがって」


               【ソウルイーター・裁き】


 ソウルイーターを抜き、一気にけりをつけようとした。

 頭上に円を描くように8本のソウルイーターが現れ、一直線に貫いた。

「っへ、幹部会も大した事ねぇじゃ・・・うっ」

 どこも傷は負ってないはずなのに、、身体にものすごい激痛が走り、俺は倒れこんだ。

「情報を制する者が戦に勝つと言います」

 確かに『裁き』で貫いたはずの久遠時が俺の目の前に立っていた。

「無闇に敵を挑発しないべきですよ」

 流石に俺では相手にならないようだ。

「これは・・・・」

 俺から落ちたソウルイーターを見て久遠時は、初めて驚きを見せた。

「とうとう見つけました。3人目の使い手を」

 3人目?もしかしてこいつはあとの二人の使い手を知ってるのか?

「こんな所で見つかるとは驚きでした」

「っく」

 久遠時は倒れている俺の髪の毛を引っ張り、無理矢理立ち上がらせ、木に押し付けた。

「貴方はこれから僕の役に立ってもらいます。まずは・・・・あなたのお味方の穂多琉によろしく言っておいてください」

 なんで穂多琉にそんなこと言わねぇといけねんだ。

 その前に何故こいつが、穂多琉のことを名前で呼んでいるんだ?

「敵の言うことなんか聞けるか」

「別に構いませんよ。どんな行動をとっても貴方は僕の手のひらで踊ることしかできないのですから」

 そう言って俺の髪の毛から手を離し、ソウルイーターを俺のほうへ蹴り飛ばしてきた。

 こいつ、自分がソウルイーターを持てないことまで知ってる。

「ソウルイーターの使い手ならもう少し行動を自粛したほうがいいですよ」

 そう言って去っていった。

 それと同時にさっきまでうろついていた信徒の気配もパタリとなくなった。


 クソ、本当にムカつくやろうだぜ。

 俺はソウルイーターを拾い、その場に寝転がった。

「自粛しろと言われたばかりじゃねぇのか?」

 背後から声が聞こえ、瞬時に立ち上がった。

「耕介、お前生きてたのか?」

 声の正体は耕介だった。

「今はな。とりあえずこっちにきてくれ」

 っと言うだけ言って、更に暗い奥のほうへ招かれた。

 今はって一体どういう意味だ?

 俺はいろいろ疑問に思いながら、耕介の跡を追った。

 するとそこにもう一人、血まみれで横たわっている耕介がいた。

「え?耕介が二人?」

「よくやった。もう消えていいぞ」

 横たわっている耕介が、俺を連れてきた耕介に言い、そいつは一瞬炎と化し消えた。

「なんなんだあいつ?」

「俺の魔力の化身のドッペルゲンガーだ。動けない俺の変わりに誰か連れてくるように命じたのだが、運が悪かったな」

 それは俺じゃ不満ってことか。

 とりあえず耕介の出血量は異常だ。

 早く薫達の元へ・・・・

「和樹、俺のことはいいから、話を聞け」

「話より、まずは耕介の治療が先だろ」

「もう遅い。自分の身体のことは自分がよくわかる。でも死ぬ前にお前たちに伝えなきゃなんねぇことがあって

死にたくても死にきれなかったんだよ」

 もう遅いとか誰が決めたんだよ。

「諦めたら終わりだ。だから…」

「触れるな」

 耕介が傍らに刺してあった剣を引き抜き、俺に向けてきた。

「いいから話だけ聞け」

 俺はその威圧感に負け、傷だらけの耕介を目の前にし、何もせず話を聞いた。


「俺がお前らに言いたいことは3つだ。一つは今は絶対に軍を動かすな」

 動かすなといわれても、もうそれは手配済みだから遅いんだけど・・・

「まさかとは思うが、薫は軍を動かそうとしていないだろうな?」

 俺が顔を見て察知したのか、すぐに気づいた。

 こいつも人の顔見て、人の心理を知ることができるのか疑わしい所だ。

「遅かったか。あれは魔女狩りの罠だ。敵がわざわざ寝首をかかすようなことをするはずないだろ」

「なんか信用できる奴からの情報だって」

「明日香か。あいつも利用されているんだ」

「利用って・・・その前にその明日香っていう奴はどっちの仲間なんだ?」

「そういえば、明日香が魔女狩りに入った時はまだいなかったんだな。まぁその話は他の奴らに聞け」

「なんで教えてくれないんだよ?」

「ガハッ、悪いな、俺にはもう時間がないんだ」

 耕介が血を吐きながら言った。

「おい、大丈夫かよ」

 俺はうずくまって倒れそうになった耕介に近づき、背をさすった。

「2つ目だ。これを持っとけ」

 っと、ロザリオのネックレスを自分の首から外し、俺に手渡した。

「なんだよこれ」

「3つ目だ。このことは穂多琉だけに伝えろ。それ以外の奴には口外するな」

 耕介は焦っているのか、俺の意見など耳にいれず、淡々と話し続けた。

「そろそろお迎えが来たようだ」

「探しましたよ。川辺耕介」

 そこには信徒を数人連れた久遠時がいた。

「行け。3つ目のことは絶対守れ。これは命令だからな」

 そう言って、俺を突き飛ばし、剣を持ち、久遠時に突っ込んだ。

「うおぉぉぉぉ」

「愚かですね。仲間を逃がすために自分が身代わりになるなんて」

 あの傷で戦うなんて無茶だ。

 でも・・・・・

 俺は耕介の言葉を穂多琉に伝える義務がある。

 それに耕介の話が本当なら、このままだとヤバイことになる。

 仕方なく俺は耕介を置いて、薫達の所へ引き返すことにした。




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