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第14話:夜襲

前半は前回の続きの薫の話から入るため三人称・・・・のはずです。


 次の日の朝、耕介は朝食を食べ終え、急に身支度を始めた。

「どこか行くの?」

「あぁ、ちょっくら仲間集めてくるわ」

 そう言うと耕介は、薫の有無を聞かず、家を飛び出してしまった。

 薫も急いで後を追おうと、身支度を始めるが、既に耕介の姿はなかった。

 仕方なく薫は耕介が戻るまでその家で待機することになった。


 その次の日の夜、耕介はすごい勢いで帰ってきた。

「薫、魔女狩り支部に乗り込むぞ」

「帰ってきて早々なに?」

 玄関入り口まで行くと、耕介は30人くらいの男を連れて帰ってきていた。

「予定通り夜討ちを仕掛けるって言ってんだよ」

「夜討ちってそんな寄せ集めの人たちも連れて行く気?返って足手まといよ」

「ちゃんと使い道は考えてある」

 そう言って、魔女狩り支部の目の前までやってきた。


「ねぇあんた一体どれくらいの資金を使い果したの」

「ちょっとだよちょっと」

 薫はAクラスに与えられている資金の心配ばかりしていた。

 たかが2,3日でこの人数を集めるのはかなり金をを積まないと集まるはずがないからだ。

「それより見ろ。やっぱ見張りは手薄だ。俺の予定通りすぐには攻めてこないと思ってたんだろ」

 自分の策が成功しかけに喜びを隠せない耕介。

 見ると門番は二人、しかも二人とも居眠りをしていた。

「このまま突っ込むぞ」

「ちょっと、正面からは行かないんじゃなかったの」

「大丈夫だって」


              【真空斬】


「ぐはっ・・・・」

 剣で斬撃を飛ばし、居眠りをしてる門番は起きることなく、壁に叩きつけられた。

「どうして、必要以上な技を出すかなぁ。普通に切り倒せばよかったじゃない」 

「へへ、念には念をってやつだぜ」

「今のあんたじゃ全然説得力ないわよ」

「よっしゃあ、このまま俺たちだけでこの支部を落とすぞ!」

「おぉ」

 調子に乗った耕介は、30人の兵を連れて、真正面から魔女狩り支部の中へ特攻していった。

「入り口の掃除だけじゃなかったの?」

 薫の叫びも虚しく、耕介達はどんどん奥のほうへ入って行った。

「もう、和樹は一体何をしてるの」

 まだ来ぬ援軍を待ちわびながら、薫も耕介の後を追った。


 塔の中は誰もがおかしいと思うぐらい、人の気配がなかった。

「耕介、これって罠じゃない?」

「考えすぎだって、こんな真夜中だから皆寝てるんだろ」

 っと進みつづける耕介達。

 そして塔のてっぺんの大広間まで誰一人会わずにきてしまった。

 しかし薫は不審に思い、大広間に入る一歩手前で立ち止まった。

 その瞬間、大広間へ繋がる入り口が壁で封鎖され、中から兵たちの叫び声が聞こえてきた。

「耕介、大丈夫なの?」

 中からは太刀が交わる音が聞こえてきて、既に戦闘中なのがわかる。

「早く助けなきゃ」


        【破壊魔法・ギガデリックス】


 カラフルの玉をいくつも入り口を封鎖している壁にぶつけるが、傷1つつかなかった。

「どこまで強固な壁なのよ」

 壁を破壊するのは止め、どこか違う通路がないか探し始めた。

「さすが一網打尽とはいかなかったですか」

 後ろから男の人が話し掛けてきた。

「久遠時真幸」

 薫が瞬時に振り向き、服の下に隠していた双剣を取り出し、その男の名を叫んだ。

 その男は魔女狩り幹部会の一人、久遠時真幸だ。

 幹部会はほぼ、本部を拠点として滞在していて、支部にいるのは珍しいことだ。

「はいそうです。あなたは魔女狩りハンターAクラスリーダー北条薫とお見受けしますが?」

 真幸がにこやかに返事を返してきた。

「さすが幹部会ともなれば、私達の情報は全てお見通しってわけね」

「それもありますけど、僕はこれでも軍師ですから」

 幹部会でも軍師でもこの際関係ない。

 和樹たちがここに来ないように知らせなきゃ。

 そのためには私がここで捕まるわけにはいかない。

 薫は耕介の救援を断念して、ここからの脱出を試みた。


             【霧時雨】


 辺り全体が霧で包まれ、周囲が見えなくなった。

「今のうちに脱出を」

 見えない真幸に背を向け薫は走り出した。

「無駄です。イクシオン」

             【ジゴスパーク】


 真幸の魔力の化身イクシオンから一筋の電撃が迸り、背後から薫の胸を貫いた。

「あっ」

 そのまま床へ倒れこんだ

「身体が・・・・動かない」

 必死に逃げようとするが、先ほどの電撃で全身が麻痺してしまい、身体が言う事を聞かない。

「とりあえず、あなたは使い道がありそうだから、生かしておきます」

 そう言われ、薫は信徒に連れられ、牢獄に入れられた。



「うぅ・・・」

 目覚めた時は既に日は上がっていた。

 辺りを見渡すと、他の牢屋の中には誰も入っておらず、耕介の姿もなかった。

 多分耕介のことだからうまく逃げ切ったのだろう。

 いたのは見張りの・・・・明日香だけだ。

 ずっといてくれたのか、壁にもたれてそのまま眠っていた。

「明日香」

 柵から手を出して届く距離だったので、薫は明日香の身体を揺すった。

「ほぇ?」

 目を覚ました明日香は、まだ寝ぼけていたのかぼ〜としていた。

「明日香起きて。あなた見張りでしょ?こんな所で寝てたら、私じゃなかったら殺られてるわよ」 

 っと更に明日香の身体を揺すった。

「あ、会長。よかった、会長は無事で」

 明日香が柵越しで薫に抱きついた。

「ハハハ、会長か。その名前で呼ばれるのも久しぶりね」

「はい。会長と離れてから一時も会長のことは忘れたことはありません」

「ありがとう、明日香。それで私はこれからどうなるのかしら?」

 薫は自分の立場と現状を見極め、明日香と離れて言った。

「会長は解放されるみたいです。私と鬼庭君と必死にお願いしましたから」

「無条件でかしら?」

「そうだと思います」

 薫はその言葉を未だ信じられなかった。

 普通に自分を交渉の道具にされてもおかしくないからだ。

「あの、会長も魔女狩りに入りませんか?私がなんとか言って私と一緒にいられるようにお願いしてみますから」

「ごめんね、明日香」

 薫は即答した。

「わたしはAクラスの魔女狩りハンターリーダーとして、そっちに寝返ることはできないわ」

「・・・・」

「ごめんね明日香。あなただけ魔女狩りに入れてしまって」

「大丈夫ですよ。これでも結構ここは楽しいですし」

 明日香は笑顔でそう言った。

 でも薫にはその笑顔が嘘の笑顔だとすぐわかった。

 しばらく、沈黙が続き明日香が急に口を開いた。

「それとこれはどうしても会長の耳に入れておきたいと思いまして」

「なに?」

 明日香は真剣な眼差しで、話し出した。

「これは秘密事項なんですけど、明後日に本部で年に一度の魔女狩り主催のお祭りがあるらしいです」

「え?お祭り?そんなの聞いたことないわよ」

「し!外部には秘密事項なんですから、支部長官クラスまでしか知らされてないみたいです。」

 っということは普通の神兵では知らされないってわけか。

「それを私、たまたま烏丸さんと久遠時が話してるのを聞いちゃって」

「よくやったわ明日香」

 薫は優しく明日香の頭をなでた。

「エヘへ」

「でもこういうスパイ行為は感心できないわよ」

「大丈夫です。会長だけですから」

 明日香は最後まで笑顔で接してくれた。

 そのあとは他愛もない話をして、烏丸が呼びに来た。

 和樹が迎えに来た、と。




「これだけ詳しく話せば分かるでしょ?」

 薫が疲れきった顔で、話し終えた。

「それと軍を動かすのとどう関係があるんだ?」

 猛が無神経にも薫に聞いた。

「・・・・・・・・和樹、説明してあげて」

 え?俺が?

 もう話す気力もなくなった薫が俺に話を振ってきた。

 また支部を総力をかけて攻めるとか?

 それともその魔女狩り主催の祭りを潰す?

 いや、これは絶対違うな。

 それじゃあ耕介と何か関係あるのかな?

 耕介があのあと一体どうなったとかわからないし。

「なに?和樹もわからないの?じゃあ美咲は?」

 痺れを切らした薫は今度は美咲に話を振った。

「えと、魔女狩り主催の祭りに奇襲をかけるのですか?」

 美咲がおどおどしながら言った。

「そう。それだけの秘密事項が外部に漏れるはずがないとタカをくくっている魔女狩りは、警戒を薄めるはず。

それを利用して私達が全軍で急襲するのよ」

「戦争か。腕がなるぜ」

 猛は嬉しそうに雄たけびを上げた。

「でも場所は魔女狩り本部だろ?ヤバくないか?幹部会もメシアも当然いるだろ?」

「大丈夫よ、メシアは高みの見物だろうし、幹部会もメシアの護衛で忙しいわ。今回の私達は本部を潰すのが目的だから」

 本部相手か。本部を相手にするにしても苦戦は強いられるだろう。

 それまでに俺が出来ることと言えば・・・・。

 今よりも強くなるだけだ。

「それじゃあ詳しく作戦を立てるのは穂多琉が戻ってきてからにして、今日はもう寝ましょ」

 そう言って、薫は部屋に戻っていき、猛も美咲も部屋に戻っていった。

 俺も部屋に戻ろうとし、電気を消し、2階に上がろうとした瞬間、ドアのノック音が聞こえた。

 こんな時間に誰だ?

「どちらさんですか?」

「・・・・・」

 返事は全くない。

 気のせいだと思い、2階に上がろうとすると、またドアがノックされた。

 こういう場合は薫達に知らせたほうがいいのかな?

 でも一刻を争う場合もある。

 俺は決心し、恐る恐るドアを開けることにした。



 ドアを開け、外には誰もいなかった。

 やっぱり勘違いだと思い、ドアを閉めようとした瞬間、見た事ある人影が目に入った。

「耕介?」

 うっすらだが、遠くで後ろ姿が見えた。

「おーい耕介ー」

 叫んだが、耕介は振り返りもせず、ひたすら歩いていった。

「しょうがねぇなぁ」

 俺は仕方なく耕介を呼びに行くため、後を追いかけた。

大広間で戦っている耕介の話は独立編で語られま〜す!

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