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第12話:救援

「和樹、昨日あれだけ張り切って寝坊とは何事だ」

「え?え?うわ」

 意味もわからず、猛に足をつかまれ、窓の外に放り投げられた。

 毎回毎回無茶をしやがって、落ちる場所を間違えたら死んじまうぞ。

 運よく芝生のクッションに落ちたものの・・・・

「本当に寝ぼすけね、もうお昼過ぎよ」

 な、なに?

 慌てて、部屋の中に入り時計を見ると短い針が1の所を指していた。

「おはようございます」

 っと台所を掃除中の美咲が満面の笑みで挨拶してきた。

「お、おはよう・・・・・って違うだろ」

 っといつのまにかノリツッコミを入れていた。

 ここには薫以外まともな奴はいないのか。

「坊主、そんなに気にするな。昨日はあれだけの戦いだったんだ。昼まで寝ていても全然悪くないぞ」

 さっき怒ってたじゃねぇか。

 とにかく今は、この遅れた時間を取り戻すのが先決だ。

「俺は今から薫の所行くから、早く準備をしてくれ」

「もう済んでいる」

 っと穂多琉が即答した。

「済んでるってあの書類の手続きもか?」

「愚問だ」

 そう言ってスタスタと出て行った。

 そんなこと言って兵の一人もいないじゃないか。

「それじゃあさっさと行くぞ。急いでるんだろ?」

「え?俺たちだけ?」

 猛にひきづられながら、外に出た。

「少数精鋭のほうが早く着くし、兵力の削減にもなる」

 っということで、俺たち4人で薫達の援軍に向かうことにした。



 移動は馬車で一条高校まで向かうことになった。

「なぁ、俺たち全員、本部を空けても大丈夫なのか?」

「・・・・・・」

「大丈夫です。私達AクラスのほかにもBクラス、Cクラスとありますし、そう何度も本部が襲われることはありません」

 穂多琉の変わりに、美咲が答えてくれた。

 猛は隣で爆睡してるし、穂多琉は瞑想しているのか、その場から全然動かないし、こいつら全く社交性ねぇな。

「和樹君?大丈夫?」

「あぁ」

 相当ひどい顔をしていたのか、美咲が心配してくれた。

 ってか和樹君に呼び方変わってる。

 まぁ、俺もまだ疲れているのだろう。

 着くまで俺も一眠りすることにした。


 一条高校に着くと俺らは、いや、俺だけが愕然とした。

 この前まであった、非公式魔術研究会と書かれていた部室が綺麗さっぱりなくなっていた。

「どういうことだ?薫も耕介もいねぇじゃねえか」

 聞きたいのはこっちのほうだ。

「とにかくこのままここにいては目立ちすぎる。ここは一旦出るぞ」

 学校はちょうど授業中だったおかげで、誰にもバレずに潜入できたけど、確かにあのままあの場所にいたらヤバかったな。

「それにしてもどうするんだ?ここまで来たからには、魔女狩りをぶっ潰さねぇと帰れねぇぞ」

 その前に薫達と合流するのが先だ。

「私達は美咲と共に仮の拠点を用意しておくから、猛と和樹は情報を集めてくれ」

 穂多琉がそう指示し、美咲を連れ学校から離れていった。

「よし、俺は学校外を調査するから、坊主は学校内を頼む」

 っと言うだけ言って、去って行った。

「ちょ、学校内って魔女狩りがいるかもしれないのに」

「大丈夫大丈夫」

 っといい加減なことを言いながら、猛は姿を消した。

「クソ、どうなっても知らねぇからな」


 誰もいない靴箱から侵入し、足音を立てず、階段を駆け上がった。

 どこに行くか全く考えていなかったが、とりあえず俺は屋上を目指した。

 まずはここの生徒の制服を奪わねぇと、闇雲に動けないからな。

 休み時間になれば、ひとりぐらいホロホロ屋上に現れるだろ、っというのが俺の考えだ。

 今さっき思いついたばっかだけどな。

 でもその作戦が今すぐ実行できることになろうとは予想にもしなかった。

 目の前に不良と思われる学生が居眠りしていた。

 こいつはラッキーだぜ。

 しかも男のクセに、立てば腰くらいありそうな長い黒髪が特徴的だ。

 俺はそいつにしのび足で近づき、半日は目が覚めないほどの衝撃を与えようとした。

 今まさにその瞬間、その不良は目を覚まし、俺の腹に両足で蹴飛ばしてきた。

「ぐは・・・・」

 人間とは思えない衝撃が襲い掛かり、壁際のフェンスまで吹き飛ばされた。

「人の寝込みを襲うとはいい度胸じゃねぇか」

 その不良はゆっくり俺に近づいてきた。

 俺はさっきの攻撃のせいで動けずその場にうずくまっていた。

「俺に手を出したことをあの世で後悔するんだな」

 やばい殺される。

 一瞬でこいつはやばいやつと直感した。

 手から黒い渦が漂っていて、徐々に全身に巡って、最後にはサメのようなバケモノが見えた。

 反射神経でそいつの攻撃をサイドステップで避け、回り込んだ。

 もしかしたら、ハッタリだけかもしれない。

 俺はそう言い聞かせ、回り込んだ瞬間、遠心力を利用して、回し蹴りを放った。

 だがその男は振り向きもせず、片手で俺の蹴りをガードし、反撃までしてきた。

 それをガードするものの、相手の破壊力が常識を超えていたため、くらう以外選択肢はなかった。

「魔女狩りか?しかも神兵並の強さだな」

「待て、俺は魔女狩りじゃねぇ」

「命乞いとはみっともないぜ」


              【ダークネスバスター】


「っち、マジで殺す気かよ」


              【ソウルイーター・契り】                 


 紫の結界を張り、俺はなんとか攻撃を凌いだ。

「お前、隼人の言ってたもう一人のソウルイーターの使い手か」

 な、こいつ隼人を知ってるのか。

「敵を間違えるな。俺は魔法使いだ。ハンターなら魔女狩りを襲え」

 そう言って、その男は所定の位置に戻り、再び眠りについた。

「おい、その隼人って奴をここに連れてきてくれないか?」

「今日は休みだ」

 そいつは目を閉じたまま答えた。

 困ったな。ここで会った魔女狩りは隼人ぐらいだ。

「他にも隼人以外にこの学校に魔女狩りがいるのか?」

「神兵が一人と支部長官が一人いる」

 っということは3人か。

「3年3組に行って、烏丸か秋月を呼んでもらえ。その二人が魔女狩りだ」

 烏丸、そういえばこいつ、支部長官という情報があったな。

 そいつなら、何か知ってそうだな。

「でもこの格好じゃあ・・・・」

「放課後なら、皆部活ばどの関係で服装はバラバラだから大丈夫だ」

 そうか、意外とこいつ親切なんだな。

「でもなんでそんなこと、俺に教えるんだ?」

「ハンターが魔女狩りを殺そうと、俺には関係ないからな」

 そうだよな、俺たちは魔法使いのために戦ってるんだもんな。

「ありがとな」

 俺はその男に礼を言い、屋上から出ようとした。

「最後に名前だけ聞いていいか?」

「・・・・・陽河悠夜」

「そうか、ありがとな悠夜。俺は陸奥和樹だ。また会えたらいいな」

 そういい残して、屋上を後にした。


 下の階に降りると無数の生徒と先生が集まっていた。

「君、上でものすごい音がしたけど」

 ヤバ、速攻目立っちまった。

「俺もわからないです」

 そう言って、生徒らを飛び越え、学校から逃げ出た。

 学校から出てどうするんだよ、俺。

 再び、俺は学校に忍び込むチャンスを伺うため、夕方になるまで待った。

 いくらなんでも今すぐ、また乗り込むのは無謀だからな。



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