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6. 邂逅、スィートピィへの道

 イシュリアを出て体感二時間ぐらい経った。


 二時間も経っているのに魔物に遭遇しないな。RPGの世界って普通歩いてたら魔物に遭遇するもんだろ。20歩につき1エンカウントとか。


 ギュルルルルルルル


 腹が減った。ちょうどお昼ぐらいの時間か。そういえば保存食を買っておいてあったな。保存食と聞くと『美味しい』というイメージが沸かないが、どうなんだろう。


 パッケージに『保存食』と書いてあるいかにも冒険にぴったりな缶詰を複数個買ったのだが、果たして美味しいのか美味しくないのか。


 とか言ってる場合ではない。腹が減っては戦はできぬ。まだ戦はしていないが。とりあえず缶詰を開けてみることにした。どうやって開けるんだ。


 どうやら、この世界の缶詰には指をかけて引き上げて缶の蓋を開ける部分(正式名称は知らない)がないみたいだ。


 あ、ナイフ買うの忘れた。まあ、剣であけるか。


 森で拾った剣。初依頼。エルダ。


 あらためて孤独になるとやはり寂しい。


 エルダには本当にお世話になった。またどこかで会えると良いな。彼はイシュリアに永住しているのだろうか。いつか会いに行こう。


 缶を開ける。中身は見ずにまずは香りから。


 スンスン


 うーん、無臭。


 中身を見ます。パンでした。しかもとてつもなく硬そうな。これ、食えるの?


 感からいかにも硬そうなパンを取り出して口へともっていく。


 今生きていることに感謝をして。


 いただきます!


 …いやいや、硬すぎだろ。石かよ。噛めない。え、食べれません。どうしよう。


 あ、ここで『あれ』の出番だな。そう、生活魔法の『ウォーター』を使うときが来た!


 手に魔力を集中させ、手のひらに絞り出す!


「ウォーター!」


 パンがビショビショになる。が、まだ硬い。ふやけるまで待ちながら歩くか。


 そういえば今向かっている街はスィートピィだっけな。一体どんな街なんだろう。


 そうこう言ってるうちに体感一時間ぐらいが過ぎる。パンのことを忘れていた。ベチャベチャだった。食べますけどね。うん、不味い。


 ところでほんとうに魔物に遭遇しない。なぜだろう。


「ん?」


 前方に人が3人いるようだ。いかにも冒険者っぽい雰囲気を漂わせる服装だ。なにか揉めているのか?


「...い...おい!なんで買い忘れてんだ!」

「いやいや、ここからスィートピィまで一日歩けば到着するって言っていたのはそっちでしょ!」

「まあまあ、落ち着いて。魔物でも倒して食べればいいじゃないですか」

「魔物の肉なんて嫌よ!」


 盗賊では無さそうだな。たしか俺は六日分の食料を買っていた。俺は二日分食べるとして、残りの四日分はこの3人パーティにあげるとするか。俺って本当にいい奴。


 さて、話しかけるか、警戒されそうで怖いが。


「あの...」

「誰だ!盗賊か?」


 明らかにゴツい見た目で鎧を着た人に大剣を向けられる。


 うーん。なんかないかな。冒険者だって分からせる方法。


 そうだ。冒険者カードを見せれば良いのか。


 俺は即座に冒険者カードを取り出して彼らに見せる。すると、敵意は無くなったのか武器を下ろした。


「で、俺達になんのようだ?最近、冒険者を名乗る盗賊もいるんだ。安心したタイミングで襲ってくる輩が。だからまだお前に対する警戒は解いていない。」

「あの、さっき食料のことで揉めてましたよね?よかったら余るんで俺の食料あげますよ。」


 三人の表情が一気に変わった。特に女の人の顔がパァっと晴れやかに。完全に敵意も無くなったっぽいな。良かった。


 俺達は軽く自己紹介をし合った。鋼鉄の鎧を着たゴツいやつが戦士のクレイブ。軽そうなレザーアーマーを着た弓使いのリリア。黒いローブを着た魔術師のフロスト。なんやかんやあって三人は一人でスィートピィへ向かう冒険者ランクEの俺のことを心配したのか四人でスィートピィへ向かうこととなった。本当にありがたい。


 日が暮れてきた。


 そういえばテントを買うのを忘れていたな。三人はテントを持っているようだし、お互いwinwinだ。さて、もうすぐ夜になるからテントの準備をしなければならない。


「ユージ、お前はどこ出身なんだ?」


 本当のことを言ったほうが良いのか。変人と思われて捨てられたらやばいので嘘をつこう。


「イシュリア出身です。イシュリアで育って、最近冒険者として活動し始めました。」

「そうなのか、俺達に拾われて命拾いしたな。近頃ここらへんの魔物は活性化していてな、Eランク冒険者一人じゃあ死んでいただろう」

「命拾いしたのは私達の方でしょ。このまま餓死するところだったわ。ユージ、本当にありがとう」

「魔物に毒が入ってる場合もありますしね。魔物を食べるわけにはいきません。ユージさんに感謝ですね」


 月が昇り、辺り一面は真っ暗に。生活魔法のファイアで焚き火を作り、ほのかな温かさを感じる。もう眠い。だが外の世界はとても危険なため見張り番をしなければならない。基本一時間交代だ。つまり三時間は継続して眠ることができる。まあ良いんじゃないか。


 クレイブ→リリア→フロスト→俺


 の順番で見張り番をすることになった。




 無事に二日目を迎えた。今度は3人の仲間がいる。これでスィートピィまでの道は安全だな。

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― 新着の感想 ―
硬いパンにウォーターかけてベチャベチャにして食う友二、貧乏くさすぎて愛おしいwww
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