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21. アメリア船長、出航!

 ゴーン!ゴーン!


 俺は小鳥のさえずり...ではなく、今回は鐘の音で目を覚ます。ミントは先に起きていた。


 「ユージ、おはよう」

 「ああミント、おはよう」

 「昨日は興奮しすぎて眠れなかったよ!」


 興奮?俺に対しての?いや、船のことだろう。


 「ところでさっきの鐘の音はなんだ?」

 「船が出航する30分前になる鐘だよ」


 え?30分前?結構やばくないか。なぜそんなに平然とした顔で言えるんだ。

 俺とミントは急いで支度をして宿屋を出て活気に満ちた港へと向かう。



 船着き場では巨大な船が既に出航準備を終えていた。これがアメリアの船か。大きいな。アメリアっぽい大きさだ。船長のアメリアが甲板から乗組員に怒鳴り声をあげている。こわ。


 「野郎共、さっさと荷を詰め!海が俺様を呼んでるぞ!」


 熱い男だな。おっと、こちらに気づいたようだ。


 「おう、来たか!嬢ちゃんたち!遅れるんじゃねぇぞ!チケットを見せてくれ!」


 俺とミントはアメリアにチケットを渡す。


 「よし、乗れ!」


 どうやら無事乗船完了。


 しばらく待っていると再び鐘の音がなった。最初に聞いた時より音が大きい。出発の合図だろうか。と色々考えていると、船が動き出した。どんどん小さくなっていくヴェルマリーナの街並みを眺める。本当に色々なことがあったな。少し寄っただけでこんなにも思い出が出来るとは。この船の旅が終わったらミントともお別れだな。

 ミントは周りの景色を見て耳や尻尾をパタパタとしていた。


 「船、久しぶりに乗ったけどやっぱり海の景色とこのヴェルマリーナの街並み、本当に綺麗だね!」

 「ああ、そうだな。俺がこの町に来る途中のオークとの戦闘でミントが助けてくれなかったら今頃俺はどうなっていたんだろうな」

 「ふふ、ここまで来れたのは私のおかげだね。ところで他の乗客の様子を見に行かない?」


 と、俺とミントは乗客の偵察に向かう。単純にどんな人が乗っているのか気になる。


 ほかの乗客の様子を見ると、裕福そうな商人や家族連れ、自分と同じような冒険者が複数見られる。

 中でも俺の魔力探知に強く引っかかる魔術師のような冒険者がいた。彼は船のマストに1人もたれかかり、遠くの水平線を見つめていた。軽装だがその雰囲気は他の乗客とは異なっている。

 一応鑑定をしてみることにしよう。


 鑑定!


 ザンダー (28) 種族:人間

 HP:363 MP:742 攻撃力:245 防御力:341 素早さ:198


 MPが高い。イリスほどでは無いが、相当の強さを持った魔法使いなのだろう。

 俺が鑑定をした瞬間、彼は水平線から目を離し、俺の目を真っ直ぐ見つめてきた。え?怖い怖い。

 ザンダーは俺の方へ歩み寄ってくる。その顔は無表情だったが、凄まじい圧がある。

 ザンダーは俺の目の前で立ち止まり、静かに口を開いた。


 「あなた、今私に『鑑定』を使いましたね?」


 こいつなんで分かったんだ?怖い怖い怖い。


 「え、いや、は、はい。使いました」

 「はぁ...鑑定は無闇に使うものではありません。今は私が敵ではなかったから良かったですが、もし敵がこの『鑑定検知』スキルを持っていた場合、あなたは真っ先に危険に晒されることになります。」


 ザンダーは続けて言う。


 「鑑定は、相手に『あなたの能力を分析している』と知らせる行為でもあるのですから。その自覚を持ってください。…今後は気をつけるように」


 それだけ言うとザンダーは去っていく。ん、なんか戻ってきた。


 「ああ、忘れていました。私の名前はザンダーです。Bランク冒険者、雷魔法の使い手、ただの旅の者です」


 彼は自己紹介を済ませると、元いた場所へと帰っていった。ふぅ、結構怖かった。命の危機を感じた。優しい人で良かった。てか、鑑定検知なんてスキルあるんだな。不意打ちを宣言するようなものだからな。今後は気をつけよう。ミントは怯えていたのかずっと黙っていた。


 ザンダーとの一件から数時間が経過する。俺はあることに気づいた。そう、俺は酔いやすい体質だったのだ。


 「オエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!オロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ!」


 盛大に吐きました。スッキリ!


 「ユージ、大丈夫?」

 「はぁ...はぁ...まじで船酔いやばい...ミントは酔わないのか?」

 「私は大丈夫だよ!」

 「羨ましいな」


 船の方は順調に進んでいるようだ。新大陸、楽しみだ。ん?なんか騒がしいな。

 甲板の見張り台から焦ったような声が響き渡る。


 「船だ! 船影発見! 北東より高速で接近中!おそらく海賊船と思われる!」


 乗客たちがざわめき始める。すぐにアメリアが甲板に飛び出してきて、望遠鏡を覗き込む。


 「チッ…! あいつら、こんなところまで嗅ぎつけやがったか!」


 アメリアが望遠鏡から顔を上げ、船全体に響く大声で叫ぶ。


 「野郎ども、戦闘準備だ! 骸骨の旗だ…海賊船だぞッ!!」


 警鐘がけたたましく鳴り響く。

 俺とミントが水平線に目を凝らすと、黒い帆を張った一隻の船が、猛烈な速度で波を切り裂きながらこちらに迫ってくるのが見えた。

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