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20. 友との別れと漢アメリア

「優勝者は!テスラさんです!」


 俺の名前…じゃないか。


「ユージ…」


 ミントのしょんぼりした声が聞こえる。

 横を見れば耳としっぽが垂れているミントがいた。

 いや、俺も勝てると慢心してたからまじで悔しい。


 その後片付けをして会場を去る。

 優勝者に賞金はあるものの、2位や3位には特に何も無い。

 1位以外は意味が無い。

 少し悲しい気もするが、今は悔しさの方が強い。


 とりあえずどうするか。

 お金が無いし、船には乗れない。

 ゼファーノスに行くのは諦めて、フローディア方面に行こうかな。


 そう考えているとキルバスに話しかけられる。


「すまない。今回優勝を逃したのは僕のせいだ。キミの世界の料理を再現できなかった僕の実力不足…本当にすまない」

「いや、いいんですよ。俺もうろ覚えのところもありましたし、無い素材ばっかでしたから…」


 キルバスは本当によく頑張ってくれた。

 再現もしっかりしてくれた。

 結構マジで俺が戦犯だな。


「謝るついでにひとつ、提案がある」

「提案?」

「金貨50枚でキミの料理を買わせてくれないか?」


 キルバスの提案をざっくりまとめると、料理のアイディアを金額50枚で買うとのこと。

 ラーメン以外にも寿司やカツ丼、ピザだったりのレシピを教えてくれればお金は惜しみなく払うらしい。

 ぶっちゃけ俺的にはそんなに価値あるのか?と思ったが、異界の料理を作るのが楽しみで仕方がないとのこと。

 知識は金に勝るといったところか。


「その提案、ぜひ!」


 その日はキルバスの家に泊まり、俺が覚えてる限りの料理のレシピを伝えた。

 ミントは最初は嬉々として聞いていたが、途中から寝落ちしてソファに項垂れていたが…。


「なるほど…素晴らしい!僕が知らない世界ばかりだ!となると僕が最初にやるべきは…米の入手だな!」


 夜通し喋っていたからか日が昇っている。

 キルバスは早速荷物を準備し、この街を出て西の方へと海を渡るとのこと。

 俺は寝ぼけているミントを抱えて船の方に行くことにした。


「これでお別れだな。今度戻ってきたらスシもカツドンもラーメンも、キミに振る舞わせていただくとしよう」

「その時はぜひ!」


 握手を交わし、互いに背を向ける。

 またキルバスと会う時が楽しみだ。


 俺は再び、チケット売り場へと向かう。

 そして窓口へ行き、冒険者カードを提示する。


 「はい、Dランク冒険者のユージさんですね。チケットは金貨50枚となります」


 ふっ、今回の俺は前回の俺とは一味違うぜ?


 「はい。金貨50枚、これでお願いします」

 「はい、確認できました。出航は明日の朝となっておりますので遅れないように注意してください」


 チケットを受け取りチケット売り場を離れる。

 あとは明日になるのを待つだけだ。


「ユージ、やることないなら買い物に付き合ってよ」

「あぁいいぞ。ちなみに俺は昨日寝てないからそこは配慮してくれよ」


 首を傾げるミント。

 いやお前は寝落ちしてるもんな。

 俺はずっとキルバスと喋ってて寝れてないんだって。


 ということで買い物に。

 船旅は基本料理だったり必要な物資は最低限提供してくれるらしく、特に用意するものはないとの事。

 ただし、海賊なども出るらしくその場合有償で乗り合わせた冒険者が対峙することもあるという。


 ミントの後をついていくと見たことの無い外観の店に着く。


「ここは?」

「普通の薬屋だよ。ポーション切らしてて」

「え、ポーションなんてあるの?」

「知らなかったの?」


 まじかよ、ポーションあるのかよ。

 いやそりゃあるか、薬草採取依頼があって回復アイテムないとか普通に考えてないもんな。


 薬屋に入り品物を眺める。

 いやポーション高いな。

 今の俺にこれを買う財力は無い…諦めよう。

 ミント曰く回復魔法もあるみたいだが、教わるなら教会に行った方がいいとのこと。

 初級回復魔法ならある程度みんな使えるらしいが、回復のエキスパートである聖職者に聞きに行くのが一番いいらしい。


 海を渡ったら教会とやらを探して寄ってみるか。

 旅には不可欠だろうしな。


 一通りミントが買い物を終え、一度宿屋に戻ることに。

 昨日寝てないし、ゆっくり寝て過ごすかぁ。


「テメェ!喧嘩売ってんのか!」


 海岸の方から怒鳴り声が聞こえてくる。

 ミントと顔を合わせ、その場へ急いで向かうことに。

 声の元を辿りその場につけば、1人の男性を複数人が囲っている。

 これは助けた方がいいのでは…?

 そう視線をミントに送るが、ミントは待ってと制止してきた。

 え、あの人ボコられない?


 囲っている男の1人が拳を振り上げる。


「ウォーターブロー」


 囲まれていた男がそう言うと、海から水の手が生える。

 それは囲っていた男たちをなぎ払い、一瞬にして鎮圧して見せた。


「フンッ、俺を誰だと思ってやがる雑魚ども。海を愛し、海に愛された男、アメリア様だぞ!」


 あの人強くね…?

 そうだ、鑑定があった。

 こういう時の鑑定だろ。


 アメリア (37) 種族:人間

 HP:330 MP:257 攻撃力:223 防御力:123 素早さ138


 …俺より強くね?

 なるほど、だからミントは助けなくていいって制止したのか。


「で、そこの影で見てるオメェら…用があるなら出てこい!」


 まじか、気づかれてたのか。

 敵対する意思とかは無いし、素直に出た方が良さそうだ。


「えっと…大丈夫ですか?」

「こんな雑魚どもに負けるわけねぇだろ?海賊の方が手応えがある」


 海賊…?

 あ、異世界だから海賊とかもそりゃいるか。

 というか海賊の方が手応えがあるって言うことは…。


「もしかして、明日の船の船長さんですか?」

「なんだオメェ、俺のこと知ってんのか?」

「ユージ知ってたの?」


 まぁそうだよな。

 状況推測したら船長かもってなるじゃん。

 ミントは気づいてよ…。


「えっと、明日船に乗ってゼファーノス方面に行こうと思ってて…」

「なんだ客じゃねぇか!俺はアメリア。海を愛し、海に愛された男。船の操縦は任せろ…オメェらを新たなる大陸へと導いてやる!」

「私はミント、明日はよろしくね」


 …これ自己紹介の流れ?


「ユージって言います。よろしくお願いします!」


 自己紹介はしたものの、話すことは無いな。

 気まずくなる前にさっさと去るか。

 そう思っていた時、アメリアがチンピラ達を持ち上げてどこかに連れていこうとしていた。


「アメリアさん、そいつらどっかに運ぶんですか?」

「あ?あぁ、ギルドに渡しに行こうと思ってな。なんぐせつけて金を巻き上げるカスどもだ。俺だから良かったが、女子供が狙われたら大変だろ?なんなら運ぶの手伝ってくれてもいいんだぜ」


 うわ、めんどくさい。

 絶対手伝いたくない。

 けどここは手伝っておいた方がいいよな…。


「じゃあ手伝わせていただきます!」

「気が利くじゃねぇか!」


 チンピラ2人を背負い、ギルドへと歩みを進める。

 途中少し雑談をしたが、どうやらアメリアは長いこと航海士をしているらしい。

 海が好きで海に出て、そのまま仕事として海を渡っているとの事。


 ギルドにチンピラどもを引き渡す。


「ありがとな嬢ちゃんたち!明日は俺に任せておけ!」


 そういうとアメリアは背を向け海辺へと向かっていった。

 かなり頼りになりそうで安心だ。


 アメリアと別れて宿屋に着く。

 アメリアが言っていた海賊という単語が少し気になるが、まぁ大丈夫だろう。

 明日に備えて今日は早く寝よう。


 そう思いながらまぶたを閉じ、体を休めるのであった。

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